鳥山明先生の『ドラゴンボール』や、さいとうたかを先生の『サバイバル』など、漫画史には複数の “伝説の漫画” が存在する。紛れもなく岩明均先生の『寄生獣』も伝説漫画作品の1つであろう。
その『寄生獣』を原作としたドラマ『寄生獣 -ザ・グレイ-』が2024年4月5日からNetflixにて配信を開始した。寄生獣ならば観るしかあるまい……! というわけで、原作の大ファンである記者が第1話を視聴してみたのでご報告したい。
・単なる実写化ではない
まずは『寄生獣 -ザ・グレイ-』について説明しておこう。少々ややこしいのだが、本ドラマの原作はあの『寄生獣』であるものの、単に漫画の実写ドラマではないことをまずはご理解いただきたい。
いっそ「スピンオフ作品」と捉えるとわかりやすく、何なら『寄生獣 -ザ・グレイ-』は韓国ドラマである。つまり演者さんたちは韓国語を操っているため、視聴の際は字幕であった。
ただし、ドラマの根底に流れているのは漫画『寄生獣』であることは間違いない。その理由は監督兼脚本のヨン・サンホ氏が、漫画『寄生獣』の大ファンであるからのようだ。
・監督が寄生獣ファン
ヨン・サンホ氏は韓国での観客動員数1156万人を突破したアクションホラー映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』を手掛けた監督。同監督は自身の “寄生獣愛” を以下のように話している。
「学生時代、漫画『寄生獣』はバイブルのような存在でした。深く好きになって世界にハマり、この漫画で描かれている部分の外の世界はどうなのだろうか? といったようなことまで想像を巡らせるようになりました」
要するにヨン・サンホ監督は “寄生獣マニア” なのだろう。第1話しか鑑賞していないものの、監督の寄生獣愛が随所に見て取れた。
・寄生獣の精神性は健在
さて、ドラマはパラサイトに寄生されるものの、完全に支配されずに済んだ女性「スイン」を中心に物語が展開される。言わばスインは「新一くん」の立ち位置であり、パラサイトとの共存を模索していく……のだろうか?
また原作と同様に「人類 vs パラサイト」の対立軸がベースになっている一方で、ミギーやジョーのように人間に味方するパラサイトも……? 第1話で全ては明らかになっていないが、原作の気配が至るところに漂っている。
さらに言うと、原作をそのまま実写化しなかったことが功を奏しているのではないだろうか? そのまま新一くんが登場していたらどこか違和感があったかもしれないが、主人公は女性で何なら韓国語である。
・意外と……
寄生獣レベルの伝説作品を忠実に実写化した場合、原作ファンを中心に何かしらのアレルギー反応が出たハズ。が『寄生獣 -ザ・グレイ-』は原作がベースとなったスピンオフ的な作品だったので、意外とスッと入って来た印象だ。
あくまで第1話は顔見せ程度の内容であったが、そこは『寄生獣』である。監督の深い寄生獣愛に期待したいところだ。でもやっぱりカメオ的でいいのでミギーも見たいなぁ。
というわけで『寄生獣 -ザ・グレイ-』は「原作ファンでもさほど拒否反応は出ないのでは?」と感じた次第だ。2話目以降はどうなっていくのか? 飽きるまでは見てみるつもりだ。
参考リンク:寄生獣 -ザ・グレイ-
執筆:P.K.サンジュン
Photo:Netflixシリーズ「寄生獣 -ザ・グレイ-」4月5日(金)より独占配信開始/(C)岩明均/講談社