日常に紛れて気づかないことっていっぱいある。時に、外国人の目線はそれに気づかせてくれたりして面白い。外国人観光客にとっては日本にいることがすでに非日常だからかもしれない。
そんな外国人が集まる海外ネットで、墨田区の路上が話題になっていた。一体なぜ?
・話題のブツは
道なんて細かく見てないものの代表みたいなところがあるが、今回話題になっていたものは日本中どこにでもあるもの。いかに田舎でも下水道が整備されてさえいればあるはず。そんな話題のブツとは、そう……
マンホールだ。
一体、墨田区のマンホールの何が外国人の心に響いたのか。現地に向かってみよう。
・名前が1人歩きしてた
都営大江戸線両国駅の近くにあるというそのマンホール。相撲に興味のない私としては、名前は知っているけど実質知らない街の代表みたいな場所である。国技館と相撲のイメージしかない。
ゆえに、都営大江戸線両国駅の出入り口を出た時の相撲オーラの無さには若干肩透かしを食らった。普通の住宅街すぎる。浅草くらい観光地然としてるのかと思っていた。
・知らんかった
駅前通りから太い道を曲がると、そこは「北斎通り」という名前。へー、葛飾北斎ってこの辺なんだ。葛飾区だと思っていた。そう言われると、街路樹もなんか風流な気がしてくる。
逆に言うと、そこまでの知識しかない私でも絵自体は知っているのはマジ凄い。冨嶽三十六景とか常識としてパッと思い浮かぶからなあ。
・現場
話題のマンホールはそんな葛飾北斎のミュージアム「すみだ北斎美術館」に通りかかったところにあった。すみだ北斎美術館前の信号を美術館に向けて曲がったところ……
道に見たことある絵が。
冨嶽三十六景で最も有名な『神奈川沖浪裏』がマンホールに描かれていた。デザインマンホールというヤツである。ラブライブとかのマンホールがあるのは知ってたけど、デザインマンホールってアニメ以外もあんのね。なんかオシャレだ。
これは確かに北斎美術館に来るような外国人ならテンション上がるかもしれない。駅前の観光案内板とかにも載ってなかったし発見した感がある。
・近所にあと2つある模様
そこで東京都下水道局のデザインマンホールの案内を確認したところ、JR両国駅の方にあと2つあるらしい。1つは相撲協会の公式キャラクター「ハッキヨイ!せきトリくん」のデザインマンホールで、もう1つは冨嶽三十六景の『凱風快晴』。赤富士のヤツだな。
場所は共に国技館通りの歩道上のようなので国技館に向かってみると、「ハッキヨイ!せきトリくん」のデザインマンホールは探すまでもなく見つかった。ほぼ両国国技館の前にある。
・最後の1つ
せっかくのデザインマンホールだし、一番分かりやすい位置に配置されているのかもしれない。しかし、相撲像前と場所が記載されているもう1つの冨嶽三十六景は見当たらない。
相撲像ってこの白鵬のヤツだよな? 西口駅前の広場みたいなところにあって待ち合わせスポットになりそうなレベルで目立ってる。
・撤去された?
しかしながら、その相撲像の前にはマンホール自体がないのである。撤去されたけどサイトが更新されてないのだろうか。相撲取りの像ってこれくらいしかないしなあ……
と思いきや……
国技館の逆側にめっちゃあるゥゥゥウウウ!
30分くらい国技館前を行ったり来たりした挙句、諦めて飯でも食べようと、線路を挟んで国技館の逆側に行ったところ、国技館通り沿いに6体くらい並んでいた。そっち!?
・土地勘がない人は分からないかも
西口前の白鵬が目立ちすぎているかつ1体しかなかったので相撲像はこれを指すのだと思い込んでしまった。ちなみに、凱風快晴のマンホールがあったのは、JR両国駅から1番遠い相撲像の前。この状況で相撲像前って説明ムズくない?
両国に慣れた人なら当たり前のことかもしれないのだが、私が外国人観光客だったとしたら普通に諦めていたかもしれない。
なお、私がウロウロしている間にも国技館前のマンホールを撮影している外国人を何人か見かけた。1個見たら他も見たくなるのが人情かと思う。特に冨嶽三十六景なんてコンプリートしたくなる人が多かろう。
というわけで、ネットの話題とかでフラッと来て「ええやん」と思った人に注意を呼び掛けたい。赤富士だけ隠れスポットみたいになってるから気をつけろ。
参考リンク:東京都下水道局
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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