イッタラ(iitala)というブランド名。北欧デザインとか食器に興味がある人なら聞いたことがあるんじゃないかと思う。
オシャレとは無縁の我がロケットニュースでも、毎年イッタラの福袋の開封記事を公開しているのだが、入手困難なのでかなりの閲覧数を稼いでいる。
普段ロケットニュースを読まないような層すら検索してわざわざ見に来ているわけで、つまり人気の食器ブランドである。
で、そんなイッタラのロゴが2024年2月6日に大幅にリニューアルされて、ファンの間で賛否両論を呼んでいるのだ。
・シンプルな赤のデザインが一転
イッタラと言ったら、赤いシンプルな「i」のロゴがトレードマークであった。
食器に付いているこの赤いロゴシールを剥がすか剥がさないか……ということで、たびたび論争も起こるほどである。
NEW ERAのキャップについてるシールを剥がすか、剥がさないか問題と似ているかもしれない。いや、あれはヒップホップの文化的背景もあるから一緒にしたらダメか。
そんな赤い「i」のロゴが変更されるのである。ブランドリニューアルとかロゴの変更なんてイマドキ珍しくもないが……
えええええええっ!! 変わり過ぎでは!?
いきなり赤から鮮やかな黄色に。書体もなんか細くなっているではないか。
いや、これはこれでめっちゃオシャレなんだけど……え〜っ!!
今年の福袋が超大盤振る舞いだったのも、もしかしてロゴが変更になるからだったのだろうか?
公式サイトによると、140年以上の歴史の中で、イッタラは何度かロゴを変更している。
長らく愛されてきた赤い「i」のロゴは1956 年にティモ・サルパネヴァがデザインしたもので、時を経てブランドを象徴するロゴになった……とのこと。
リニューアルによって70年近く歴史を担ってきたロゴを手放すわけで、大胆な変更である。
ちなみに「地球環境に配慮し、今まで商品につけられてきた(i)ロゴのシールは、今後は廃止されていく予定」とのこと。シール論争もこれにて終了である。チーン。
・日常で使えて美しい
さて、イッタラの魅力はシンプルな見た目の美しさはもちろん、普段使いからパーティーメニューまで使えるし、洋食でも和食でもご飯が美味しく見えること。
そして、収納するときも重ねて置きやすい、皿のリム(立ち上がり)は最後の一口まで食べ物をすくいやすい角度……など「用の美」があふれていたからである。
日本でも、プロダクトデザイナーの柳宗理や白山陶器の森正洋がイッタラのデザイナーから影響を受けている。
生活用品でありながら、デザイン的な価値も高いため、日本でも過去に何度も展覧会が開かれてきた。
コレクターも多く、数年ごとに食器のカラー展開が少しずつ変わるのだが、廃盤品にはプレミアがつくほどである。
・インスタ削除でよぎる不安
ちなみに、ブランドの方向性を決めるクリエイティブ・ディレクターも変更になったので完全に新生イッタラというムード。ELLEなどのファッションサイトでは新しいコレクションが紹介されているが、パステルカラーの多色使いで、これまでとはかなり雰囲気が違う。
さらにブランドのロゴが変わった直後に日本公式のインスタから過去の画像がすべて削除されてしまったことにもファンはショックを受けている。消さなくてもええやん!
こういった大胆なリニューアルが賛否両論になるのは当然のこと。ブランドは時代に即して変わらないと続かないし、変化を受け入れるのがファンってもの……。
とはいえ、他のブランドのファンとはまた違うなあと思うのは、イッタラは「タイムレスな美しさ」が魅力だったことである。
時代を問わない「永遠の定番」だと謳っていたはずなのに、急とも思えるブランドリニューアルに、ファンは動揺を隠せないのだ。
言い方は悪いけどハシゴを外されたような……。さらに、もしかしてリニューアルってことは廃盤品がたくさん出るのは……? といった不安もよぎる。
・すでにファンがついてるのになぜリニューアル?
しかし、ここまで世界的にファンがついていて、デザイン哲学も影響があるのにここまで世界観を変えたのはなぜか。
もちろん、ブランドは時代の流れに合わせて変化しないといけない……というのもあると思う。
これは素人の憶測に過ぎないのだが「シンプルゆえにパクられまくったから」というのもあるんじゃないかと思う。
同じく北欧ブランドのIKEAなんかでは、イッタラの定番であるティーマという皿と似たような形の食器が売られている。
流行ったがゆえに、使いやすいがゆえに、似たようなデザインのものが世界中にあふれている。似たような物なら安いものを買ってしまうもの。イッタラとしては商売上がったりである。
ならば本家本元のほうが新しいデザインを考えなければいけない……となったのかもしれない。
ちなみに新しいコレクションは今までのイッタラにピンと来ていなかった層などからは、「オシャレでかっこいい」と好評なので、ファン層の新陳代謝もありそうだと思う。
さて、今後のイッタラはどうなるのか……。だんだんみんな新しいイッタラに慣れていくのか、来年の福袋はどうなるのか、注目したいところである。
参考リンク:iitala
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.
Screenshot:イッタラ公式サイト