CoCo壱番屋のカレーって独特の味をしている。実は、私(中澤)は初めて食べた時からずっと疑い続けているのだ。「本当にカレーなのだろうか?」と。「ココイチのカレー」という別の食べ物と言われた方がしっくり来るくらい、カレーとしては類を見ない味だと思う。
ここで「全く普通のカレーと同じ味」という人は、ひょっとしたら本記事は共感できないかもしれない。逆に、冒頭の感情に多少なりとも思い当たる節がある人であれば分かるはず。私がCoCo壱番屋監修「さばカレー」を問題作に感じた理由を。
・ココイチの欠落
もう少しココイチのカレーの味について言及すると、私はココイチのカレーに欠落を感じる。何かが決定的に足りないバランスの悪さがあるのがココイチだ。
ただ、勘違いしてほしくないのは、そういう味を否定しているわけではないということ。欠落を感じるだけで味自体は普通にウマイと思っている。むしろ、たまに猛烈に食べたくなるからココイチのカレーって凄い。チキンラーメンのように、その独特のバランス感じゃないと満たせない何かは確実にある。
・缶詰
当然、CoCo壱番屋監修「さばカレー」を見つけた時も、ココイチの味が脳裏に蘇ってきて買ったわけだ。ちなみに、御徒町のスーパー・吉池では税込304円であった。
とは言え、缶詰のカレーソースって当たりハズレが大きいイメージ。開けてみると、中身はほぼ鯖が占めていたことも、カレーソースのオマケ感を増幅している。
・衝撃
ご飯にかけてみると、やはりソースは少なめ。サトウのご飯の並盛相手でもソースが足りていない。このソースには店舗で出されるものほどのレベルは望めないだろう。鯖にカレー味をつけるだけのものに違いない。そう覚悟を決めつつ、ひと口食べてみたところ衝撃を受けずにはいられなかった。
深い旨みが口の中に広がったのである。え? めちゃめちゃウマくないか? ふた口目を食べてもその感動は終わらない。ココイチのカレーソースにないコク深さみたいなものがしっかりとある。
しかも、鯖自体に味噌煮的味がついていて、それだけでご飯が進むのでソース量の少なさもあまり気にならない。鯖とカレーソースでダブルの旨みがある。
・ココイチよりウマイ
そのコク深さはインドカレー専門店もビックリなレベル。これが鯖効果だったとしたら、ココイチはただちにカレーメニューにさばカレーを入れるべきだ! むしろ、ココイチのカレーよりウマイぞこれ!!
と、その時ふと思った。ウマさという意味では、おそらく誰もが認めるストライクゾーンを持つこの缶詰。だが、「らしさ」はどうだ?
・問題作すぎる理由
そこでココイチらしさを探したところ、ピリ辛というよりビリビリくる感じの辛さは唯一ココイチっぽい。ただ、それも含めたカレーソースの味のバランスが良すぎる。全てを補い合っている点がココイチっぽくないのだ。完成度が高すぎるがゆえに。問題作すぎる。
失って初めて分かること。俺、ココイチのことが好きだったんだな……。欠落こそが個性とはよく言ったものである。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.