2023年9月28日から、スシローに新しいオーダースタイルの店舗が登場した。「デジタル スシロー ビジョン」、通称「デジロー」なるシステムを導入しているらしい。
公式HPによると、40周年を迎え「もっと笑顔で、もっと安心に、スシローを楽しんでいただくために」ということらしい。どんな感じかよくわからないので、実際に食べに行ってみることに。
・安心に
笑顔はともかく、安心となれば、明言はされていないが間違いなくあの件だろう。
日本全国の飲食店と一般客を恐怖に陥れながら、くだらないバズと承認欲求のために世を荒らす無数の迷惑系インフルエンサーたちと、連中の愚行だ。
テーブルの醤油のボトルをぺロペロしたり、パーテーションをペロペロしたり、共用の天かすやら紅生姜を直接食べるなど、様々なタイプが登場したのは記憶に新しい。
特に注目されたのは回転寿司チェーンの被害だろう。回転寿司チェーン御三家なスシロー、くら寿司、はま寿司は全てやられてしまった。
その結果、回転寿司というスタイル自体、あの手のインフルエンサーに対し脆弱そうなイメージが少なからず広まってしまった感がある。
各社素早く何らかの対策を行ったが、個人的には はま寿司がコロナ対策で導入していた爆速のレーンで注文者のテーブルまで直接届けるスタイル(ストレートレーン設置店舗)こそ、対迷惑系の面でも安全度が高いと思っていた。
しかし、もしかしたらこれからはスシローの時代かもしれない。新しいスシローの様子をお見せしよう。
・3店舗
新スタイルの実施店舗は、2023年9月27日時点の発表で3店舗。「スシロー新宿西口店」、「スシロー天白焼山店(10月オープン予定)」、そして「スシロー江坂店」だ。
今回やってきたのは新宿の店舗。入ると、さっそく実験店舗である旨を告げるポップが。
そしてこれがテーブル席だ! す、すげぇ……ブースの横幅いっぱいなデカいサイズのパネルが設置されている!!
そして、オーダーした商品が自動的に入ってくる専用レーン!! 流れてくる寿司が露出するスペースはここだけで、どのテーブルの寿司なのかが終始管理されている感。
箸は全て袋入りの割り箸。
その他もろもろはセルフコーナーから持ってくるスタイルだ。
醤油はテーブルに備え付けだが、おやおや? 種類が増えてないか? まるで はま寿司じゃないか!
パネルの下部には、明らかに何らかのセンサーなり小型のカメラなりが仕込まれていそうな場所も。肉眼だと何かが内部にあるのがうっすら見える。
・パネル
テーブル回りはこの辺で、いよいよ注目のパネルを弄っていこう。まずはデザイン選びから。「スシローモード」と、スシローのオリキャラ「だっこずしモード」があるもよう。
せっかくなので「だっこずしモード」を選択。なるほど、キャラが表示される感じね。
もしかしたら、今後何かしらのIPとコラボした際には、こんな感じでコラボキャラのイラストなどが表示されたりするのかもしれない。色々と可能性を感じる。
そして、モニター内に流れてくる寿司など。
本物の寿司を回すかわりにタッチパネルに映像の寿司を回す試みは、実は先に はま寿司が試験的に実施していた。
どうやらスシローも同じスタイルに至ったもよう。これからは実物ではなく映像の時代か。
さて、上のモード選択の画面に戻ってほしい。「だっこずしゲームを実施しますか?」とあるのが見えるだろう。
くら寿司の「ビッくらポン!」のパク……もとい、スシロー版みたいなものだろうか。画面右上に謎のゲージがある。きっと注文数に応じてチャージされる感じだろう。
・デカい
だいたい分かったので、注文していこうと思う。パネルを流れてくる寿司をタップしてオーダーするか、メニュー一覧を表示できるので、そこから好きな奴を選ぶスタイル。
メニューを全画面表示にすることも可能。ダイナミックで面白いが、なにぶん画面がデカいため、そこそこ腕が疲れたりする。でもエンタメ性が高いのでアリだと思う。
適当に寿司を選んでオーダー。ほどなくして届いたのがこちら。専用レーンに流れてきます。
これが良い。回転寿司でありがちな「これ俺の頼んだヤツで合ってるのか?」みたいな不安感が無い。あと、急いで取らなくていいのも助かる。
800円分オーダーしたところで、ゲームのゲージを見ると66%まで溜まっていた。
もう数品追加したところで100%となり、よくわからないままゲーム開始。
ゲームの内容はスロットだった。1度タップしたら、あとは自動で結果が決まる感じだと思う。目押しができるような気配は無かった。
はい。
・会計
こんな感じで楽しんでいると、モニターに経過時間が表示された。もうそろそろ帰るか。
会計のシステムは、はま寿司のようにパネルから会計処理をした後……
従来のスシロー同様にセルフレジで座席表っぽい紙のQRコードを読み込ませて支払う流れ。
・気になった点
これは実験店舗とのことなので、反応を見ながら色々試すのではなかろうか。この記事がスシローに巡回されるかは不明だが、せっかくなので気になった点も記しておこう。
まず、パネルを弄っていたら、いつの間にか流れてくる寿司にメニュー名が表示されなくなってしまった。仕様なのか不明だが、メニュー名無しの映像の寿司は、そこそこ判別の難易度が高い。メニュー名は常時表示されるようにした方が良いと思う。
もう1つは、デカいパネルのレスポンスだ。PCで言えばグラボとメモリあたりのスペックが明らかに足りていない。
常時映像のFPSが低く、少しカクカクしているのが気になるのだ。メニューを全画面表示にすると、その症状は顕著になる。これは気持ちよくない。
このデカいタッチパネルでのオーダー体験は武器だと思うので、サクサクしたレスポンスとヌルヌル動く表示による快適な操作感を目指すべきだと思う。
寿司の露出度も、もっと限界まで失くした方が良いと思う。寿司の速度が はま寿司ほど速くないため、迷惑系の俊敏度が高ければ流れる寿司を素早くペロペロしたり、ワサビを乗せたりするくらいは可能。
専用レーンを除いて全てアクリルパネルで封じるべきだとすら思う。客は全員迷惑系予備軍くらいの認識で良いのだ。行儀よく食って、金を払って退店した客だけが良い客。せやろ?
・アドバンスドはま寿司
少し長くなったが、これが新しいスシローのスタイルだ……! 寿司の安全性は、従来よりも確実に高まっている。
そして業界最大であろうサイズのタッチパネルと、映像で流れる寿司。店員が皿を数えないスタイルの会計の導入。あとはミニゲームの実装。
ほぼアドバンスドはま寿司+「ビッくらポン!」。競合する他社の強みを、スシロー風に進化させて導入しているように見える。
全然いいと思う。設備面における他社の良いところは、どんどん取り入れて互いに進化していくべきなのだ。最後の勝負は寿司のウマさでやればいい。
参考リンク:スシロー
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]
▼デカいパネルを操作する様子。楽しいんだけど、メニュー全画面表示だとちょっとラグい。操作中に意図してない寿司がカート入りしちゃうのは仕方ないのでいいかなって。
▼カウンター席はこんな感じ。専用レーンがあるだけで、他はまあ普通。
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]