ロケットニュース24

【コラム】元汚部屋住人が部屋を片付けてから起こったこと / 第5回 部屋と無印と私

2023年9月23日

私は子供の頃から片付けが死ぬほど苦手で、上京してから20年近く散らかった部屋に住んでいた。だいたい5年ぐらいかけて、部屋を片付けてちょっとずつ人生がマシになっていった

その経験を語るこの連載。第4回はようやく部屋の片付けのきっかけをつかんだ話を書いた。

今回は、ついに部屋全体の片付けに着手した話をしたい。

・久しぶりに彼氏ができた

話は前後するのだが、部屋を見せて恋人に振られてから約7年後、ひさしぶりに恋人ができた。

因果はめぐるもので、またしても部屋がありえないほど片付いている人だった。何なら、今までの人生で会った中で一番部屋が片付いている人かもしれない。モデルルームかと思うほど、部屋に物がなくてキレイなのだ。

当然、部屋が汚すぎて振られた忌まわしい記憶が蘇る。

「こんなにキレイな部屋の人に、私の部屋を見せたら一瞬でフラれるに違いない……」

いっしょに過ごす時間が楽しいほど、トラウマが蘇って憂鬱になる。私はどんなに請われても「部屋が散らかっている」の一点張りで、交際から3年間かたくなに恋人を部屋に入れなかった。

何年も部屋に入れない私に対し、恋人は「もしかして結婚してるとか、他の男性と暮らしてるとか?」と疑念を抱くまでになった。違う、そうじゃない……。

しかし、3年も部屋に入れない彼女なんて、疑われてもしかたがない。私は、恋人を家に呼ぶために本気で部屋を片付けることにした。

キッチンの片付けでちょうど弾みがついたタイミングでもあった。今度こそ、きっとできる……! 



・ノーセンス人間が片付いた部屋を作るには…

荷物を出して、いらないものは捨てて、よく使うものは手に取りやすい場所に、めったに使わないものは奥にしまう。

キッチンで学んだ応用で部屋全体を片付けることにした。

ちなみに、もともと私はノーセンスのわりに個性的なインテリアや家具でおしゃれ部屋にしたいと考えてしまうタイプである。

インテリアの本などを見ると、色数を増やすと部屋が狭く見えがちだと書いてあった。


──もろに私の部屋である。


基本ができてないくせに応用をやりたがるというのは、小ダサい人間あるあるだと思う。自己流でやるとトンチンカンな部屋が出来上がりそうだ。

というわけで、収納術などは完全に本の真似をすることにした。書店を見ると無印良品の商品を使った収納術の本がめちゃくちゃ多いことに気づいた。

思えば無印に行くと気持ちが整う感じがする。まずは色や雰囲気が統一されていることが片付いた部屋への第一歩だと思ったので、いったん自分を捨てて、とりあえず無印で統一することを決意した。


・無印良品を駆使して仕分けと収納

無印良品ならサイズ規格も、商品の色味も統一されている。近所に店舗があるから買いやすい。何より安いので買いやすい。

というわけで、無印良品を使った収納術で部屋を片付けることに決めた。

どの片付け本にもむやみやたらに収納用品を買ってはいけないと書いてあったので、まずは物を処分して、何をどこにしまいたいかを考える

そして部屋の家具の大きさなどをメジャーで測って手帳にメモした。

というわけで便利だった無印グッズを紹介したいと思う……って言っても定番品ばかりなんだけど。


①やわらかポリエチレンケース

とにかくサイズ展開が多いので役に立った。その辺に物をバラバラ置いておくのじゃなくて、このケースにまとめて入れておくだけでも見栄えが違う。掃除用品とか、虫除けスプレー類とか見せたくないものはここに入れると整理されてる感が出る


②ファイルボックス


定番中の定番だけど、実際使うと便利だった。外に出しておくものはグレーを、戸棚の中は中身がうっすら透けて見えるクリアを使用。下にキャスターを付けると掃除もしやすくてよかった。


③アクリル仕切棚

お皿を置いたり、机の上に文房具を置いたり……仕切り棚は地味にめちゃくちゃ便利で何個も使っていた。狭い部屋でも収納スペースが増えるし、取り出しやすくなる魔法の道具である。物をつい重ねて置いてしまいがちな人におすすめ。



・片付けのモチベが落ちても無印に行く

個人的にオススメしたいのが、片付けのやる気がなくなったら、無印良品の店舗に行くこと。

そこにはスッキリと片付いた理想的な部屋があるからだ。

無印のディスプレイを見ているうちに「自分もこういうスッキリした暮らしがしたいから頑張ろう……」とめちゃくちゃ片付けのモチベーションが上がるのだ。

無印の店内には整理整頓のアイデアも豊富にあるし、いいなと思ったらその場で買って真似できる。とにかく部屋を片付けたいなら無印に行くべし、である。



・そして迎えた運命の日

捨てる、適切な場所に置く、整頓する、やる気がなくなったら無印に行く。それを繰り返して約1ヶ月。完璧とは言えないが部屋が片付き、ついに恋人が家を訪ねてきた。

ひょっとしたら、これで別れになるかもしれないと思うと死ぬほど緊張した。心理的には死刑か無罪か……みたいな気持ちだったと思う。

恋人は私の部屋を見渡したあと


「え、思ったより綺麗じゃない? がんばって片付けたんだね」


と言ってくれた。恋人は私の部屋に文句を言ったりしなかったのだ。それどころか


「俺は片付け得意だし、手伝うからさ。苦手なことは補っていけばいいんだよ」


と言ってくれた。長年のトラウマが解消された瞬間である。誰にも自分の部屋なんか見せられないと思って、コンプレックスを抱えて20年近く過ごしてきた自分にとっては救いの一言だった。多分、この一言がなかったら、こうして散らかった部屋を公開して、記事にしたりもしなかったと思う。


しかし、このときは部屋から出られない生活が始まるなんて思ってもいなかった。奇しくもこの1ヶ月後、新型コロナウイルスの脅威が世界を襲ったのである。次回はそのときのことについて。


執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.

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