暗黙の了解という言葉があるように、話にも上らないのが常識というものだ。だが、ところ変われば真っ先に変わってしまうのも常識。この度、日本では常識のアレが、海外ネットで話題になっているのを見つけた。
日本に関する情報を英語圏向けに発信するFacebookコミュニティ『Destination Japan』で、「今、店で見つけて買ったけど、どう調理したらええんや?」というコメントと共に添えられている画像が、我々がよく知るあの野菜だったのである。
・アメリカ人に聞いてみた
え!? あの野菜って日本以外だとないの? 一瞬そう思ったのだが、キムチに普通に入ってる。中国でもニュースになってるの見たことあるし。少なくともアジア圏では普通にあるはず。
じゃあ、英語のコミュニティだしアメリカはどうだろうか。そこでロケットニュース24の英語版soranewsの記者であるアメリカ人・ケーシーさんに話を聞いてみたところ……
ケーシーさん「確かに、アメリカにその野菜はない。まぁ、まったく存在しないわけじゃないけど普通のスーパーで売っていないし一般人(日系や日本料理や日本文化に特に興味がない人)は知らない。
おまけに『ジャパレス(海外にある伝統的の料理を作るより一般人の好み向けにアレンジする和食のレストラン)』にもあまりない。アメリカ人が初めてこの野菜を見れば「デカっ!」と思うだろう。ちなみに俺は日本生活が始まった時にけっこう苦手だった。苦辛さがあまり口に合わなくて、今でも、大体の場合、なくてもいいやと思っている」
・その野菜とは
どうやらアメリカには本当にないようだ。マジで!? サラダとかにも大活躍のあの野菜やで? なんならコンビニのサラダとか8割くらいアレのヤツあったりするくらいなのに。勘の良い人は、もう分かったかもしれない。その野菜とは……
大 根。
ケーシーさんいわく、そもそもアメリカ料理に存在しない材料だから名前はそのままで、「daikon」か「daikon radish」と呼ぶのだとか。ロスや他のアジア人がたくさん住んでいる町にある日本スーパーの専門店に行ったら買えるらしいので、アメリカ在住者はご参考までに。
・大根はこうやって使え
とは言え、買えたところで、ケーシーさんの言う通りの状況であれば、アメリカ人がいきなり大根を料理するのは厳しかろう。キッカケとなった海外ニキも同じことで悩んでいたし。というわけで、その悩みを解決して進ぜよう。
オカンの力で。何を隠そう、私のオカンは帰省したら一度は大根料理を出してくる大根の使い手。というわけで、オカンに大根料理をインタビューしてみることにした。普段よく作ってる大根料理ってありますか?
オカン「大根と鶏肉炊いたん」。
・作り方
料理名なんてないからな! これぞガチのジャパニーズ家庭料理!! ちなみに、オカンいわく、肉は豚肉を使うこともあるそうで、人参とかゴボウとかナスとか、なんか入れたらウマそうなものを適当にぶっこめばいいとのこと。作り方は以下の通り。
1. 大根を1cmくらいに切って皮を剥く(外側は固いから厚めに剥けとのこと)
2. それをさらに4分の1に切ったものをレンチン5分(本来は米のとぎ汁で茹でるが、レンチンで時短するとのこと)
3. その間に鶏肉を一口サイズに切ってフライパンでしっかり焼き色がつくくらい火を通す
4. 鶏肉が焼けたら余計な油をふき取って水400mlと大根を入れてしばらく炊く(あったら落し蓋する)
5. 灰汁を取って、大根が柔らかくなったら適当に調味料を入れていく
6. またしばらく炊く
7. 汁がほぼなくなったら完成
──なお、5で適当に入れた調味料について目安を聞いたところ、水400mlに対しては「酒大さじ2、みりん大さじ2、醤油大さじ2、和風だし個包装1個、しょうが大さじ二分の一」くらいらしい。普段は勘で入れて味見しながら整えているのだとか。甘めの味付の場合、砂糖を入れることもあるらしく、こちらも割と気分のようだ。
・おふくろの味
食べてみると、確かにこれはうちで超出てくる料理の味。自分で煮物を作る時はあまりしょうがを入れないし、なんなら料理酒も砂糖も全部みりんでなんとかしていたので今度から参考にしようと思う。あと、今まで煮物は鍋で作ってたけど、フライパンで煮物作るの便利だな。
なんだかんだで、私の自炊的にも大いに参考になった。実家で当たり前に出てくるものすぎて作り方を気にしたことはなかったが、改めて聞いてみるとゼロからは思いつかない積み重ねがある。
常識ってそういうもんだよなあ。そりゃあ初めて見たら食べ方分からんかもしれん。というわけで、大根と初対面してしまった海外ニキは参考にしていただけると幸いだ。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
▼煮物は難しいという人のために超シンプルなオトンの大根料理を以下に紹介します
▼大根を擦り下ろし……
▼ジャコをかけて醤油かポン酢をかけたら……
▼完成!
▼辛い場合は、酢をかけてちょっと置いたら辛みが抜けるとか