新幹線のお供といえば駅弁。先日も新潟駅から東京駅に向かう前に、駅構内の売店で人気駅弁を買って乗ることにした。別に1位・2位と紹介されているわけではないのだが、弁当コーナーをパッと見てとくによく売れていたのが……「えび千両ちらし」である。
というのも「えび千両ちらし」は、へぎそば・笹団子と並ぶ新潟名物だからだ。駅弁大将軍(いわゆるグランプリ)にも輝いたことのある駅弁で、テレビ番組の企画や東京駅、上野駅でも人気ナンバー1と紹介されるほどのレジェンド。ってことで、買っちゃいました!
・えび千両ちらし
特別感のある駅弁なので、一応、上越新幹線と記念撮影をしてから乗車。えび千両ちらしと書かれた掛け紙には、いか・えび・こはだ・うなぎの絵が描かれている。こんなデザインだと、開けたら多種類の具材が賑やかに登場すると思われるかもしれない。
だがしかし……という話は後述する。もう少しパッケージを見ていくと、掛け紙は絵ハガキになっていて、フタを開けるとお品書きが登場。製造ならびに販売は新発田三新軒だ。新発田(しばた)というと、野球好きの方は新潟の強豪・新発田農業高校を思い浮かべるだろう。
・衝撃のサプライズ
それはさておき、いよいよ弁当と対面すると……タマゴォォオオオオオ! びっくりするほど黄色なのだ。掛け紙に描かれていた魚介類はどこにもいない。マジかよ。
強いて言うなら、厚焼きたまごの上に細かく刻まれた「むき海老のおぼろ」が乗っているが、「えび千両ちらし」という名前から想像するビジュアルと現実とのギャップがあまりにも激しくて不安になる。しかしもう新幹線の中。鬼のようなスピードで購入した売店から遠ざかっていく。
いや、これが本来の姿。厚焼きたまごが小判のように敷き詰められているのだ。1枚だけ食べたら、わさび醤油で絡めた酢締めの「こはだ」と、蒲焼のタレ仕込みだという「うなぎ」が現れた。このように宝探しを楽しむ弁当なので、一気にめくってしまうのはもったいない。
具材の下にはおぼろ昆布が敷かれていて、新潟米を使った酢飯もギッシリ。具材はもちろん酢飯がまたうまい。ひと口ごとに食感や味わいが変化するので美味しい上に楽しさも感じられる豪華な駅弁である。
食べ進めていくと、一夜干しされたイカと鮮やかなむき海老も登場した。むき海老は酢通しとのこと。優しくて品のある味。
ちなみに美味しくて遊び心も詰まった駅弁は「大人の休日」をイメージしたという。小判に見立てた玉子で具材を隠すというのが洒落ている。それでいて、食べてみると結構なボリューム。のどかな田園風景を眺めながら、新潟の味をとことん味わうことができる弁当だった。
価格は1580円。先に述べたとおり、新潟駅だけでなく東京駅や上野駅でも販売しているので機会があればぜひサプライズを楽しみながら食べてみてほしい。
参考リンク:えび千両ちらし
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.
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