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トロピカルアイランドな与論島で、島民支持率No.1の店でゲットした晩飯が最高だった / 神ですらも知らないガチ穴場

2023年4月7日

海の綺麗さは沖縄超えもありそうな、鹿児島県最南端の島 与論島。3月上旬に島を訪れていた私(江川)は、トロピカルな海を前に重大な問題を抱えていた。

腹が減っていたのだ。これが東京なら、その辺のチェーンのバーガーなり牛丼なりですませるところ。しかしここは1周20㎞程度の南海の小島。そんなものは無い

ググったらウマそうな飲食店がいくつか出てきたが、なんだか陽のエナジーをまとった「観光!」な感じが強くて陰キャの私にはつらい。もっとこう、島民がリアルに一番よく利用する店が良い。

・島民に聞いた

そうなると、島民に聞いて人気の店を調べるしかない。しかしこういうのはけっこう難しい。

私はかつて、広島のお好み焼き界隈の真理を暴いたことがある。その過程で学んだが、ヨソモノが「観光客はとりあえずそこ」な感じの、地元民の多くはあまり利用しない店を教えられて終わるパターンを回避するのは非常に困難だ。

自分が日常的に行く店を教えるのは何か違う気がして、例え自分では行ったことすらなくとも、つい定番の有名な店を教えてしまいがちなのだ。恐らく多くの人間が共通で持つ習性なのだろうと思う。

それでは聞き込み開始だ。まあ見てな。神(Google)に聞いても出てこないような、リアルなスポットを聞き出してやるぞ。

おっ、ちょうど明らかに島民な、釣り竿を担いだおじいさんが歩いている。彼に聞いてみよう。あのー、ちょっとお伺いしたいことがありまして……。


・島民人気No.1

ということで紹介するのはこちら。Aコープ与論店。皆さんご存じ、農業協同組合が全国に展開するスーパーだ。


その辺で出会った島民のおじいさんやおばあさんなどに伺ったが、彼らが最も利用する店はこのAコープだった。島民の行きつけの店と言っても過言ではない。

与論島には他にもこまごまとした商店がそれなりにあるが、Aコープ与論店は品ぞろえの面で島内最大規模。Google Mapで見た感じ、建物のサイズは空港を超えている可能性すらある。


・田舎のスーパーはガチ

さて、ここで地方のスーパーに馴染みの無いシチーボーイやシチーガールの皆さんには、軽く説明が必要だろう。そんなところでガチなグルメをキめられるワケねぇだろ!! みたいなね。そういうのがあると思うんでね。

確かに都市部だと、この手のスーパーはパッとしない感がある。例えば東京のグルメスポットとしてイオンとかヤオコーを勧められたらブチ切れるだろう。しかし地方のこの手のスーパーは、ガチで強い可能性があるのだ。

私がその傾向を知ったのは、福島の被災地を取材した時のこと。腹が減って浪江町のイオンにフラッと立ち寄ったところ、車で10分のところにある請戸漁港で競り落として来た魚を、都内基準からするとバカ安い値段で売っていたのだ。

鮮度は限界突破して豊洲と戦えそうなレベル。関東ではあまり見かけない魚もあって面白かった。以後、地方に行くたびに地元のイオンや ゆめマートなどをチェックするように。

そして、それら地方のスーパーでは往々にして、地元でとれた新鮮な食材や、それを使った郷土料理を、リーズナブルに提供していることを知った。奄美大島でやたらとイオンをこすっていたのも、内心では注目していたからだ。


田舎のチェーンのスーパーは、マジで侮れない。玉石混合な観光客向けの店でギャンブルするのもいいが、打率的には田舎のスーパーの総菜の方が良い可能性を、私は否定できない。


・Aコープ与論

それではAコープに入ってみよう。それにしても、さっきから凄まじい繁盛っぷりだ。そこそこ広い駐車場は満車。待機勢も出ているレベル。やってくる車の列が途切れない。

入り口付近には原付き勢の島民も多数。聞くと、朝と夕方は島中から島民が買い物に来るらしい。今はまさに夕方のラッシュの時間だ。圧倒的な支持率は疑いようもない。


では何を買うべきか? ここは海に囲まれた島。やはり魚だろう。もしこれでインドネシア産の鯖やらモロッコ産のタコやらしか売られていなかったら終了するが……


与論島産!


与論島産!!


地産地消!!!


食べきれないので買わなかったが、他にも与論島産のカツオの刺身の炙りなど色々売られていた。ちなみに私のセレクトは、売り場にいた知らない島民のおっちゃんに聞いたものだ。

シビは小さいマグロ。恐らくキハダマグロの子供ではないかと思うが正体不明。イラブチはブダイの何かで、何にせよ魚スメルが強めだが、島民的にはそれが良いらしい。

あとは飲み物やら醤油やらに加え、なんかちょっと面白そうだったものを買った。ついでに翌日のために、島のパン屋が納品しているというパンも購入。


・ウマい

勧められるがままに買ったが、イラブチはわりとデカいカタマリだ。


どうするか考えていたら、宿の方がまな板と包丁と皿を貸してくださり、セルフカット完了。


それではいよいよ食べていこう。


まずはイラブチ。まあ、南の島で売られている刺身用の魚が不味いわけがなく、感想そのものに蛇足感があるが……


やはりウマい! ゴリッゴリで指でも食ってるみたいな弾力だ。臭みは皆無で、クッチャクッチャ嚙んでると醤油とは違う甘さが感じられた。

こいつは煮付けにしてもウマいだろうなぁ。醤油は奄美群島のスタイルなのか、それとも鹿児島スタイルなのか、何にせよ激甘。それが硬い刺身とよく合う。炙られた皮の部分からただよう炭フレーバーも心地よくてグッド! 早くも大勝利だ。


続いてシビ。


ブリみのあるマグロみたいだ。風味が濃い。甘い醤油もさらにこってり感をアドする。たぶん、こういう魚感の強い刺身が島民の好みなのだろう。

シビはもう1品買ってある。「シビ出っ張り寿司 生食用」なるものだ。


横から魚肉と、恐らくネギだと思われる植物がはみ出ている。たぶんこのはみ出たスタイルゆえの「出っ張り寿司」なのだろう。ワイルドなビジュアルが面白かったので買ってみた。


食べてみると、ストレートにネギとシビ。なんという野性的な寿司だろうか。味については素材そのままだ。ビジュアルと構造の荒々しさに注目して買ったが、普通にウマい!

こうして島民がリアルに食べているのであろう刺身などと共に、島での夜は更けていった。


・ガチ

ということで、与論島で島民からの支持率は恐らくNo.1であろうAコープ与論店。売られている島の魚のウマさは本物だった。

イラブチ(ブダイ)もその類だと思うが、売り場には関東圏じゃあまり見ない魚が並んでいたのも楽しめるポイント。

観光客でAコープに晩飯を求めていく人は、そう多くないだろう。「与論島 おススメ グルメ」と神(Google)に聞いてもノーマークだ。

しかしここは島産の魚だけでなく、ビールなどアルコール類も島内の他の商店と比較して安い! Aコープで酒や刺身、その他のツマミを買い込み、星など眺めながら食べるなどもいいと思う。


宿で晩飯が出るならそれでもいいと思うが、外で食べるならAコープで島の鮮魚をゲットするというプランも候補に入れてみてくれ!!


参考リンク:Aコープ
執筆&写真:江川資具
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▼屋台
Aコープから外に出た時、与論島らしからぬものが目に入った。入る時は気づかなかったが……


なんで与論島に くまモンがいるんだよ。外来種として駆除すんぞ?


聞くと、熊本からはるばる屋台と共に島々を回って揚げ物などを売り歩いているという。300円の「いもチップ」が島のキッズにやたらと売れていた。

私自身も散策していて実感する場面があったが、島の子供は外から来たモノに対する関心が高いのだと思う。瞬間的とはいえ島民支持率が高いという点に間違いはないと思うので購入。パリパリでウマかった


▼「炙りトロ〆サバ高菜巻き」 何か面白い仕掛けでもないかと思い買ってみたが、これは内地のスーパーで売られているものと同じような感じだった。


▼宿は「青海荘」というところ。Aコープのすぐそば。古き良きお宿という感じで、親切にも包丁とまな板と皿を貸してくれた。


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