2022年11月24日から、全国のガストにて、同店史上初だというコース料理の提供が始まった。それが「感動ハンバーグコース」。
お高いのかな? と思いきや、税込み1869円と手が出しやすい価格帯。どんな仕上がりなのか気になったので、食べてみることに。
・鳥羽シェフ共同開発
ということで近所のガストへ。オーダー用のタブレット端末を見ると……おっ、これだな。
「sio 鳥羽シェフ共同開発 感動ハンバーグコース」とのこと。鳥羽シェフといえば、去年スシローと組んで「すき焼き海鮮しゃり弁」を出していた。
あれは匠の業を感じさせる創意工夫が満載で、ウマさとコスパの両面で神だった。
そうか、あれを手掛けた鳥羽シェフが絡んでいるのか……! これは自然と期待値が高まってしまう。タブレットによると、前菜からデザートまで5品なもよう。
オプションではライスの量を選択可能で、無料で大盛りにできる。ソフトフランスパンへの変更も可能なようだ。
こうしてオーダー完了。
テーブル上のメニューをチェックすると、小学生以下限定で、同じメニューのお子様ランチバージョンが存在することが発覚。お値段税込み1099円。ライスはチキンライスになり、エビフライがついてくるもよう。
・前菜
待つ事しばし。前菜のサラダとスープが到着。
鳥羽シェフからのメッセージカードも。
まずはサラダからいってみよう。おや、キウイとグレープフルーツだと? シュリンプやチキンと合うのだろうか?
疑問を感じつつも食べてみると、めちゃくちゃさっぱりしてウマいことが発覚! マジか、こういうのに酸っぱいフルーツを合わせるのってアリなんだな……!
冷める前にスープも味わってみよう。サクサク&シナっとしたオニオンフレークが入っているが、こいつの風味がけっこうしっかりしている。
その辺のよくあるコーンスープとは違った味わいなのが面白い! なんだろう、サラダにしろコーンスープにしろ、食べる前にこちらが想像するであろうフレーバーを、計画的に外してサプライズを与えてきている感。
その上で、奇をてらっただけの微妙なモノにはなっておらず、全てが想像よりウマいという結果に、圧倒的な匠の業を感じる。
・ハンバーグ
うめぇうめぇと秒で前菜を平らげると、すかさずメインが到着。ここからが本番だ。
パッと見た感じは、普通に半熟の目玉焼きが乗ったハンバーグだ。
まずはナイフで断面を……おおっ、中から何かがめっちゃ溢れてきたんだが!? ハンバーグは想像より遥かに柔らかく、「切った」というより「破れた」という感じ。
綺麗に整えることができた部分の断面がこちら。内部に詰まっているのはポテトチーズクリームだそう。
食べてみると、滲み出てくる肉汁が半端ねぇ……! それがポテトチーズクリームと混ざりあい、満足度がぶっちぎっている。
そして何より、ハンバーグ周辺に注がれたデミグラスソース。こいつのクオリティがマジで極まっている。
最初は醤油っぽい和風なしょっぱい系かと思いきや、コンマ数秒遅れてまったりとした甘さが感じられ、後味はめっちゃフルーティという複雑なお味。
パティの肉やポテトチーズクリームと肉汁のマリアージュも素晴らしいのだが、味の面ではこのデミグラスソースがメインウェポンな気がする。これだけジョッキで飲みたいくらいウマい。
・既存との違い
「感動ハンバーグ」は間違いなくウマいが、ガストの既存のハンバーグとどう違うのかが気になってきた。ということでオーダーしたのが「ハンバーグステーキ」。ガストの定番ハンバーグだ。
こちらも肉汁は中々のもの。というかガストのハンバーグって普通に評判良いよな。もしかして、そんなに違わないのでは? とりあえず食べ比べてみると……
完全に別物
まずパティが違う。既存のものは使用されていると思しきスパイスの風味が強い。デミグラスソースがかかっているが、ソースの風味と同じくらいにパティのスパイス風味が主張する。
また、そのデミグラスソースも全然違う。こちらは最初から最後までしょっぱい感じの味付けで、オニオンの主張が強く、オイリー感が目立つ。
これはこれでウマいが、味の方向性が「感動ハンバーグ」とは全く異なっていた。そして何より、クオリティに差がありすぎる。ソシャゲで例えるなら優秀なSRキャラ(ハンバーグステーキ)と、人権SSRキャラ(感動ハンバーグ)みたいな感じ。
「ハンバーグステーキ」が単品で税込み659円なのに対し、「感動ハンバーグ」は単品で税込み1319円。倍近い価格差があるが、全くクオリティの差はお値段通りだと思う。
最後は、ハンバーグの後でも安心な控えめボリュームの、酸味が嬉しいグラスショートケーキでフィニッシュ。ハンバーグを食った後の満足感や後味に配慮された仕上がりに感じる。
ということで、ガスト初のコース料理。前菜からフィニッシュまで全てが予想を超えるクオリティで、完成度がファミレスってレベルじゃねぇ……!
味覚を通じて味わえるサプライズ感や満足度だけを見れば、高級ホテルとかの上の方の階にありがちな1人1万円以上のお高いレストランで得られるものに匹敵している。でもガストなので約2000円。その辺の高級レストラン終わるだろこれ。
ガストの料理でここまでの領域に至っているものを食べたことは1度も無い。完成品から伺える、このコースを作るのに必要であろう創造力が、ガストがこれまで出してきた料理から感じられるものとは別種なのだ。
完全に鳥羽シェフのセンスなのだろう。ガストの商品開発チームが得た経験値が凄そう。みんなも是非食べてみてくれ! バチバチにウマいぞ!!