ロケットニュース24

【実話】地獄かよ! 台湾入国後、わずか15分で “実質無一文” になった話

2022年10月28日

「一寸先は闇」とは言ったもので、人生は何が起きるかわからない。結局は思いもしない “何か” が起きたとき、どう対処するかが大切なのだろう。何が起きても動じない “鋼の心” を持っていたいものである。

つい先日のこと──。私、P.K.サンジュンは3年ぶりに「台湾」の地に降り立った。楽しいイベントや美味しい食べ物が待っているハズであったが、実際には「入国後わずか15分で実質無一文になる」という地獄が待ち受けていたのだ。

・ウキウキで台湾へ

世界的に見ても、厳しい水際対策が続いていた台湾。その台湾を訪れた最大の理由は「ポケモンGOのイベントに参加するため」である。つい先日の2022年10月中旬に水際対策が緩和されたことから、何とか滑り込みで台湾を訪れた次第だ。

台湾に行ったら何を食べようか? 訪台数日前から私はワクワクが止まらなかった。特に台湾でしか食べられない「ガチョウ」は、3泊4日の旅行中に3回は訪れたい。その他、屋台の水餃子や朝の麺線など、食べたいものはいくらでもある。

・夜の空港に到着

そしてフライト当日。私は久しぶりに台湾の「桃園国際空港」に降り立った。時刻は午後9時頃。水際対策が緩和されたばかりだからか空港内にはさほど人はおらず、やや閑散とした印象を受けた。

……が、そんなことは関係ねえ。俺は3年ぶりの台湾を楽しむんだ。ポケモンもグルメも満喫しまくるんだ……! 空港の喫煙所で一服し、まずは電車で台北駅を目指すことにした。

台湾では「ヨウヨウカー(悠遊卡)」と呼ばれるICカードがとても便利で、日本でいうところの “Suica” みたいなもの。鉄道の運賃はもちろんのこと、コンビニの支払いでも大活躍する万能カードである。

さあ、いくらチャージしようかな? 販売機に紙幣を投入しようとしたところ……あれ? 金が入らないぞ……? え、なんで?

意味が分からず窓口へ行き、券売機に紙幣が入らない旨を伝えると「Old Money!」と連呼しているではないか? 古い金……? まさか……!!

・旧紙幣だった

実は私はこの数週間前、父から台湾の紙幣をもらっていた。数十年前、父は仕事で台湾を行き来しており、最後に台湾を訪れたのは30年ほど前だっただろうか? 要するに私が持っていたのは「聖徳太子の1万円札」に該当する旧紙幣だったのである。

駅員さんは頭上を指さし「銀行で替えてこい」と言う。そういうことなら仕方ないと空港内の銀行へ行くと、係の人は申し訳なさそうに「うちじゃ出来ないの。ソーリー、ソーリー」の一点張り。だが「台湾銀行なら替えてくれると思うわ」と大ヒントをくれた。

急いで台湾銀行の窓口へ向かうと、なんと「本日の営業終了」の文字が。マジかよ……! 台湾入国わずか15分で “実質無一文” になってしまったようだ。グヌヌ……メチャメチャ心細ィィイイイイ!!

・15分で詰んだ

その後、クレジットカードでキャッシングを試みたものの、どうやら私のカードにはキャッシング機能が付いていない様子。さらに手持ちの円を台湾ドルに換金しようしたところ、先ほどまで開いていた銀行の窓口も営業時間終了。つ……詰んだァァァァアアアアア!

ホテルがある台北市までどう行けばいいのか? 明朝、台湾銀行の窓口が開くまで空港で夜を明かさねばならないのか? 途方に暮れつつも、再び駅の窓口へ向かうと、駅員さんに「クレジットカードは持ってる?」と聞かれた。

「クレジットカードは持ってるけどキャッシングが出来ないんだ……」と告げると「とりあえず台北駅まではクレジットカードで行けるわ」とのこと。どうやら桃園国際空港駅と台北駅を繋ぐ「MRT空港線」だけは、クレジットカードで直接入場できるらしい。

恐る恐るクレジットカードをタッチすると……開いた。空港内をウロウロすることおよそ1時間、ようやく台北駅への扉が開かれた瞬間である。……が、私が実質無一文である事実は少しも変わらない。

・翌日も実質無一文

そう、台北駅に到着し、次はホテルがある「西門」を目指そうとしたが、台北市内の地下鉄はクレジットカードの使用不可。結局、私は疲れ果てた体でトボトボと西門まで30分ほど歩き続けた。本来なら今頃、ガチョウと台湾ビールで一杯やっているハズなのに……なぜこうなった。

翌朝、まだまだ実質無一文の私は、ポケモンGOの会場「大安森林公園」まで……50分ほど歩いた。地下鉄なら5駅ほどの距離であるが、なにせ私は実質無一文。そんな男が地下鉄に乗る資格など無いのである。もう……お腹もペコペコです。

結局、銀行が始まる午前9時と同時に大安森林公園近くの「台湾銀行」へ駆け込み、無事に換金は完了した。入口で旧紙幣を見せた際、満面の笑みで「OK!」と言ってくれた警備員のおじさんのことを私は一生忘れない。完全に「地獄で仏」であった。

「一寸先は闇」とは言ったもので、人生は何が起きるかわからない。例えばウキウキで海外へ降り立ったわずか数分後には「実質無一文」になってしまうことだってあり得るのだから──。

執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

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