ガイアが俺にもっと輝けと囁いている──。一度聞いたら忘れられない強烈なコピーでブームを巻き起こしたファッション誌『MEN’S KNUCKLE(メンズナックル)』。2000年代後半から2010年代前半のネットを見ていた人なら誰もが知る存在と言っても過言ではないだろう。
オラオラ系の最上級のような人が集う誌面はモテとワルの大運動会。その治安の悪さに住む世界の違いをビシバシと感じるのもまた味と言えるが、そんなメンズナックルのモデルは卒業後何をやっているのか? 元モデルの今がこちらです。
・ガチのメンナクモデル
話を聞かせてくれたのは現在29歳の松本拓也さん。高校1年生の冬から6年間メンズナックルのモデルをしていたというから、ちょうど2000年代後半から2010年代前半ということになる。
まさに黄金期。当時のモデル写真からもそんな勢いが感じられる。迸(ほとばし)るようなワイルドさに火傷しそうだ。そんな松本さんは今……
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アニメプロデューサーになってます。
松本拓也さん「メンズナックルのコピーは、初代編集長が始めたことで、最初は編集長が全部考えてました。途中から担当の編集も書くようになりましたね。懐かしいな」
──穏やかにそう話す松本さん。ちなみに、プロデュース作品は『あひるの空』『波よ聞いてくれ』『映画すみっコぐらし(DVD)』『ましろのおと』『灼熱カバディ』『ぼくたちのリメイク』『ジャヒー様はくじけない!』『ブルーピリオド』『海賊王女』『映画ざんねんないきもの事典』など。
普通に見てる作品がある! っていうか、『ブルーピリオド』なんて2021年アニメ個人的ベスト9に入れたくらい感動した作品やん……!! ヤッッッバ!
・真実
しかし、メンズナックル系男子とアニメって敵対勢力だと思っていた。冒頭で述べた通り、少なくとも当時アニメオタク側だった私は、違う世界の住人だと思っていたのだから。
松本拓也さん「確かに、メンズナックルのモデルをやっていた当時、アニメは知りませんでした。でも、自分、実はこう見えてアイドルオタクでして。NMB48を追っかけてました」
──全くオラオラしていない……!
松本拓也さん「高校の時に文化祭の出し物でAKB48を踊るみたいなのをやって、かなり映像見て練習したことがあったんですよ。その時に可愛いかもしれないと思って。大学生になって握手会に行ってみたらもうダメでした」
──では、なぜアニメプロデューサーに?
・キッカケ
松本拓也さん「AKBグループの生配信をずっとやっていたのがDMMでして。就職する時に、『楽しいとこに就職したいなあ』という気持ちもありDMMも受けたら、何社かの中で一番最初に内定が出たんです。それで経営企画室という部署に入りました」
──経営……ですか。
松本拓也さん「そこでは、新規事業を模索したり、ほかサービス支援をしたり等を行っていて。その営業を1年弱くらいやった頃に、経営企画室の部長がアニメの部署を起ち上げることになり、自分も異動することになりました」
──経ましたねえ。
・アニメの見方
松本拓也さん「アニメを見始めたのもここからですね。なので、純粋に好きな人よりも、仕事的な見方で見ているかも」
──と言うと?
松本拓也さん「まず、創ってる人たちに詳しくならないといけないので、クールごとに1話は最低限見ます」
──それは僕もやりますね。
松本拓也さん「あとは、どういう人が創ってるのか。スタジオ、キャラデザ、監督、美術の会社とかを見て……」
──うーん、それもやりますね。
松本拓也さん「そこに出資してる会社をバッと見て……」
──あ、そこまでは見ないかも。
松本拓也さん「プロデューサーの名前を見ると大体わかるんですよ」
──プロの目線ですね。
松本拓也さん「あとは、キャストをちょろちょろっと見て、ひと通り見た中で本当に面白かったヤツを趣味として見ます」
──それはもはや好きと言えるのでは?
松本拓也さん「もはやそうかもしれません(笑)」
・たどり着いた今は
それにしても、「実はアイドルオタク」から始まり、随分曲がりくねった感じのする松本さんの今。就職時にすら予想だにしなかった地点であることは誰の目にも明らかだが、楽しいことをしたいという気持ちは満たされているのだろうか?
松本拓也さん「特殊な業界なので人に理解されることは少ないですが、この業界特有の自分が創ったものが世の中に残るところにはやりがいを感じてます。創るのには膨大な時間がかかるし、プロジェクトにかかわる人も多いので、その分プレッシャーはありますが、世に出た時の反響が良かったりした時はそれだけ楽しいですね」
──とのこと。かつて住む世界が違うように感じた人は、話せば話すほどに同じ世界に住んでいた。川は流れてどこどこ行くの。人も流れてどこどこ行くの。ミュージシャンになるために上京した私も流れ流れてロケットニュース24のライター。人生って本当に流れる川のごとしである。
・松本拓也さんプロデュースの最新アニメ
地図さえない。それもまた人生か。そんな松本拓也さんがプロデュースする最新アニメは、2023年1月からの放送が発表された『アルスの巨獣』。
ティザービジュアルからは壮大なファンタジー世界であることが伝わってくるが、それもそのはず、このティザービジュアルを手掛けているのは『ファイナルファンタジー』シリーズで知られるアートディレクター上国料勇(かみこくりょう いさむ)さんだ。
『アルスの巨獣』の世界観が詰まっているというこのコンセプトビジュアル。はたしてアニメではどんな世界が広がるのか? 第一弾PVをエクストラコンテンツに貼り付けておくので気になった方は見てみてくれ!
参考リンク:アルスの巨獣
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
画像:ⒸDMM.com・旭プロダクション/アルスの巨獣製作委員会
▼松本拓也さん、まさかの「イングヴェイしてみた」シリーズのファンとのことで、アニメ業界に何のコネもないロケットニュース24がここまで話を聞けたのはそのおかげもありました。感謝。
DMMのアニメプロデューサー・まつたく(@Takuya_Matsu )さんに会った! アニメの話いっぱい聞けて、オタクとして感激でした。あと、DMMにはFANZAでもお世話になっております。本当にありがとうございます。 pic.twitter.com/4gifQ8xRwE
— 中澤星児(ロケットニュース24) (@sorekara_jona) July 5, 2022