「『やきとり大吉』が鳥貴族に買収される」というニュースが列島を駆け巡ったのは今月13日のこと。俺たちの大吉がなくなる……!? と一瞬慌てたものの、鳥貴族ホールディングスの発表によれば「全国約500店舗の大吉ブランドは継続する」とのことだ。よかった〜!

なんなら鳥貴族とタッグを組むことで大吉の店舗数が増える可能性もあり、今後新たに大吉を知る人も出てくるかもしれない。あっ、申し遅れましたが私、大吉のファンを長年やっている者です。せっかくなので初心者向けに “大吉で絶対食べるべきメニュー” をご紹介しておこう。

と、その時……「俺はここにいる」とばかりにこちらを睨む男の姿が。

・大吉へのガチな想い

「俺こそが真の大吉ガチ勢だ」と公言してはばからないのは、当サイトの原田記者。彼と私は事務所のデスクが隣同士だが、互いに大吉ファンであることを今回初めて知った。

実は大吉はチェーン店でありながら、地方へ行くほど存在感を増すという不思議な立ち位置の焼き鳥屋。私が子供のころから大吉に親しんできた理由は、なんのことはない “大吉以外に焼き鳥屋がなかったから” なのである。

原田記者(福岡出身)の思い出の店は『福岡市城南区にあった大吉』(現在は閉店)。将来を決めかねていたニート時代、入り浸っていた友人宅から足しげく通ったのだそうな。居酒屋なのに家族連れでも安心なんだよな、大吉って店は……。

この日、大いに盛り上がった我々はそのまま都内の大吉へ直行。あまり数は多くないが、東京都内にもポツポツと大吉は点在しているのだ。真っ赤に光る看板が大吉のトレードマーク。この妖しい輝きにつられて、気づけば入店しちゃうんだよなぁ〜。

事前に “大吉で絶対食べるべきメニュー” を互いに確認したところ……なんと! 1位の『ねぎバンバン』と2位の『チキンチーズ』が完全に一致する事態となった。ってことで、大吉で絶対食べるべきメニューはこの2つで決まり〜!!!!

……とはいえ、大吉を100%楽しむにはそれなりの作法も必要。ここからは大吉ガチ勢の生態を観察する気持ちでご覧いただけると幸いだ。


・これが大吉マジック

まず私が3位に挙げた『生ビール』(税込417円)。大吉のホームページによれば大吉の生ビールは『プレモル』で、「大吉グループの店主全員が、ビール工場で “本当に美味しい生ビールの入れ方” を学び、日々実践している」とのこと。

なるほど……確かにプレモルはウマい。しかしながら、大吉の生にはもっとこう、「プレモルです」では片付けられない何かがある気がしてならないのだ。

原田記者に飲ませてみたところ……「仕事の後のビールは最高だねぇ」って、違うだろ! 大吉の生ビールがこれほどウマい理由をご存知の方、編集部までご一報ください。

続いて私が4位に推すのは『馬力(ばりき)』(税込220円)。ニンニクと梅しそを漬け込んだ大吉の定番商品だが、意外と注文したことのない人も多いのではないだろうか?

かくいう原田記者もこれが馬力初体験。この時点で大吉ガチ勢とは呼べない気もするが、まぁ「うまい」と言っているので許してやろう。馬力の魅力はニンニクとは思えぬサッパリとした口当たり。これでビール5杯はいける、マジで。


・大吉の作法

それではお待ちかねの焼き鳥ゾーン。我々が満場一致で推薦する『ねぎバンバン』(税込176円)の登場である。


こぼれ落ちる大量の刻みネギを気にするでもなく……



啜(すす)るように食らうべし!!!


味の決め手は秘伝の塩ダレ。こぼれ落ちたネギにタレを吸わせ、チビチビなめるのもオツだ。

満場一致の第2位は『チキンチーズ』(税込176円)。誤解のないよう前置きをしておくと、私は “とりあえずチーズかけときゃいいだろ” という昨今の飲食業界の風潮には疑念を呈すタイプの人間である。

しかしながら大吉の『チキンチーズ』は、ただ焼き鳥にチーズをのっけただけのミーハーな食べ物とは完全に一線を画すシロモノ。大吉でしか食べられない『ゴマだれ』は言葉で説明できないウマさだ。一口かじれば……


こみあげる愛しさを抑えるなど不可能ッ!!!


原田記者が3位に推す『しそ巻き』は、唾液を分泌しすぎて食べる前に窒息する危険がある。


あまり長時間見つめるのは危険だから注意してくれ!


原田記者の4位は『ゆず胡椒焼』(税込176円)。まんべんなく肉にゆず胡椒をなじませる一手間がポイント。


夢中になりすぎて串でベロを貫通しちゃダメだぞ〜!!!


原田記者が5位に選んだのは地元・福岡の名物でもある『かわしお』(税込132円)なのだが、なぜか写真を撮るのを忘れていました……まさに仕事を忘れるウマさだね!


・魅惑のサドンデスタイム

奪い合うように注文の品を平らげたあとは、ルール無用のサドンデスタイムに突入。

再び『ねぎバンバン』と『チキンチーズ』を……それも5本づつ注文するのがガチ勢スタイル。大吉の素晴らしいのは名店顔負けの実力を有しつつ、チェーン店ゆえの気楽さも併せ持っている点だ。怪獣のごとく焼き鳥を食い乱れても、恥ずかしく思う必要はない。

シメで押さえておきたいのは大吉名物『大吉丼』(税込638円)。どんぶりご飯に『ねぎま』を乗っけたシンプルな一品だが、これがウマイんだ。

食いしん坊の方は最初に大吉丼を注文し、胃をふくらませておくと焼き鳥の食べすぎを防止できるぞ!

このように圧倒的実力のスタメンが揃う大吉なのだが、シャカリキに新製品を開発している点も評価したい。この日チャレンジしたのは限定商品だという『ピリ辛トマチーリゾット』(税込385円)。その名のとおり、ピリ辛スープにチーズが溶けて何とも個性的なおいしさ。

『やきとり大吉』の面白いのは、チェーン店でありながら店ごとに特色があること。基本は同じメニューでも肉の切り方、野菜の厚み、ちょっとした味付けや素材の種類などが異なる。フランチャイズ店の多い大吉では、おそらく経営者の采配に委ねられる部分が大きいのだろう。

またチェーン店には珍しい “大将” の存在も大きい。これまで私は全国津々浦々の大吉を巡ってきたが、正直 “あまり好みではない店舗” に出会ったこともある。その反面 “ここへ引っ越そうか” と真剣に悩むほど好みの店舗も存在し、これだから大吉巡りはやめられないのだ。

いつか全国の店舗を制覇したい……そんなファンの夢をのせて、どこまでも躍進してほしい『やきとり大吉』。「気づかなかったけど実は近所にあった」ってパターンも結構多いので、みんな一応Googleマップを確認してみてくれよな!

参考リンク:やきとり大吉
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.