旅のだいご味って発見にあると思うわけよ。ネットやテレビで有名な場所よりもふとした道の風景が良かったり、知っている場所も実際見たらまた違ったり。情報だけでは知れない何か……それを知りたくて私(中澤)は旅に出るのだ。
まあ、バックパッカーとか名乗るほどは旅してないけど、一応イギリスも行ったことあるし国内はもう余裕。調べなくてもなんとかなるだろう。そう思って、屋久島に何も調べずに行ってみたところ、港で詰んだ。
・最初の誤算
そもそも、最初にビビったのは飛行機代の高さである。屋久島に空港があることはなんとなく知っていたので、チケットを買おうとしたところ、お盆シーズンも終わり飛行機が安くなる時期で片道7~8万円だった。価格が海外やん。
もののけ姫の舞台のモデルと言われる『白谷雲水峡』はじめ、離島の中でもネットで見かけることが多いので、勝手に「会いにいける神話の地」みたいなイメージを抱いていたが、普通に日本広い。
・船もある
そこで鹿児島港から船で行くことにした。高速船が出ているのだが、その価格が片道1万1600円と飛行機より安いのである。鹿児島までの飛行機代もLCCを使えば1万3000円くらいで済んだので片道5万円くらい安くなった。
飛行機については購入時期によって6000円代もあるみたいなので、早割りなどを駆使すればもっと圧縮できるかもしれないが今回はこれで。とは言え、安くなった分、船は予定通り航行するのかが分からない。
・船の怖さ
というのも、先日、和歌山県の友ヶ島に行こうとした際は、当日の全便欠航で海を渡れなかったから。しかも、今回は実家の近くだった前回とは違う。鹿児島県についてから欠航とかになろうものなら経費ばかりかさむことになる。結果的に飛行機で行った方が良かったねってことにもなりかねない。
さらに、高速船はそんなに本数があるわけではなく、2022年8月21日現在、午後の便は2本のみだ。13時20分を逃したら次は16時。しかし、16時の便は前日の時点で予約で売り切れていた。つまり、私は13時20分を逃せない。
・目覚めるド素人
その不安からか予定時間より早く行動することになった。目が覚めたのは深夜1時。そこから出発時間まで一睡もできなかった。おいおい、私の体よ、いくらなんでも巻きすぎだろ? 1つだけ言わせてくれ。調子乗ってすみませんでした。
確かに船は怖い。だが、逆に言うと、それが1番のハードルだ。屋久島にさえ渡ってしまえばこっちのものである。そうに違いない。そうであってくれ。本音を言おうか? キャパオーバーで上陸後のことを調べる心の余裕がありません。
・鹿児島中央からはタクシーがオススメ
というわけで、飛行機、電車と乗り継いで、鹿児島港のJRの最寄り駅である鹿児島中央駅に着いたのは12時17分だった。タクシー運転手さんいわく、大体の人は鹿児島中央駅からタクシーで港に向かうらしい。
そこから市電に乗り継ぎいづろ通駅から歩くパターンもあるが、歩いて20分くらいかかる上、港もかなり広いのでオススメしないとのこと。ちなみに、高速船乗り場には10分くらいで着いて代金は1340円だった。
・ここまで来ればもう大丈夫
時間も12時37分とちょうど良い。どうやら、高速船の運休もないようだ。窓口が混んでいて購入に10分くらい時間がかかったが、それこそ巻いた意味があったというものである。逆に言うと、初めて高速船で屋久島に行こうという人は出発の30~40分前くらい目安で着いておいた方がいいかもしれない。
ともかく、ここまで来たらさすがにもう安心していいだろう。船も普通に定刻通り出発したし天気も良い。ほら屋久島の影も見えてきた。そうこう言ってるうちに、屋久島1番の港街・宮之浦港に到着だ。
・と思いきや
なんだかんだ言ってちゃんと目的地に到着する辺り、やっぱり旅慣れてきたのかもしれない。気づけば、全部予定通りに行っているじゃないか。余裕余裕!
と思いきや、タクシーいねェェェエエエッ!
港の写真とかを撮ってる間に1時間に1本のバスは行ってしまった。最悪タクシーがあるから大丈夫だろうと思っていたのだが、タクシー乗り場でいくら待っても肝心のタクシーが来ないのである。
・詰んだ
そこでタクシー会社に電話してみたところ、全てのタクシーが出払っていると言うではないか。ここで始めて考えたのだが、今までなんとかなってきたのは電車があったからだったのかもしれない。私は無意識で車以外の交通手段が何かあると思っていた。しかし、当然ながら屋久島には電車がない。
レンタカーという手はあるが、私の宿泊地は島の正反対の南の方な上、1週間くらいはいる予定なので、ここで借りると明日返すのは面倒だし、全日借りると高額になる。
なんなら歩けばいいのではないかとも考えていたが、歩いてみても全然進まないグーグルマップの位置情報。屋久島マジ広い。このままだと宮之浦どころか港エリアから出ることすらできない。港から出られないってファミコンのバグかよ。詰んだ。
・観光案内所の衝撃
いや、きっと何かあるはずだ。そうだ! 観光案内所だ!! 観光客なんだから、観光案内所で聞けばいいのである。そこで付近を探したところ、港の目の前に立派なヤツがあるではないか。これ完全にウェルカムだろ。たのもー!
係の人が休みだった。
詰んだァァァアアア!
ダメだ。1回忘れよう。詰んだら1回放置して飯を食う。これはファミコンをやっていた時代の私の鉄則だ。それで何か解決するわけじゃないが、イライラは少し解消されるので諦めもつくのである。
そこで観光案内の目の前にあるお土産屋さんに聞いてみたところ、この時間はランチが終わってほとんどの店は準備中なのだそうな。なんてこった、逃げ場すらないのか……。
・救世主現る
だが、1店舗だけ、この時間もやってるかもしれないカフェがあるという。その名は『KITCHEN HUB』。港の前の交差点を左に進むと右手にあるのだとか。救世主!
言われるがままに『KITCHEN HUB』に向かう私。何でもいいから1回座らせて欲しい。落ち着いてから考えるから。だが、店に向かって歩いている最中、『KITCHEN HUB』を超える救世主が現れた。あれは何だ! 鳥か? 飛行機か? いや……
ポリスだー!
そうか。そうだよ。島の交通網のことなんだからおまわりさんに聞いてもエエやん。っていうか、人も全然いないし、もはや、交番くらいしか助けを求められるものがない。そこで『KITCHEN HUB』でカレーをかき込んでから迷わず交番に入った。
・ポリスの答え
東京から来たところから事情を説明すると、マジで親身になって考えてくれるおまわりさん。いわく、私の条件で島の南にある宿にたどり着く手段は……
バスのみ。
うん、知ってた。私も今後悔してたとこ。「変に余裕かまさないで最初のバス乗れば良かったなー」って。ただ、このおまわりさんが良かったのは、地図を指差しながら、降りるバス停を教えてくれたこと。
時刻表で1時間に1本のバスの時刻とか、終点は書かれてたんだけど、それが私の目的地まで行くものなのかがいまいち調べてもピンと来なかったので確証が得られて助かった。で、交番の外に出て、最寄りのバス停も指さして教えてくれるおまわりさん。これが島の人情か。
言われた通りにバス停で待っているとすぐにやって来るバス。詰まるところ、「次のバスまだまだやん、他探そ」と歩き始めてから、私は1時間港をオロオロ行ったり来たりしていたわけだ。完全にハマってやがる。
・ド素人が気を付けるべきこと
というわけで、ド素人が何も調べずに屋久島に行くと港でハマる。最後に、このバグを回避するための方法を以下にまとめると……
1. タクシーを予約しておく
2. バス
──以上だ。短期ならその期間レンタカーを借りるのも良いが、それをしないで自由に移動したいなら、タクシーの予約は割と必須なように感じた。
ちなみに、移動費を圧縮するなら圧倒的にバスなのが悩ましいところ。島北の宮之浦から南の平内までと、半周して真逆まで行った今回でも1460円。実際、地元の高校生とかもバスを利用していたのでコスパが良いことは間違いないのだろう。時間さえ合えば。
上陸後の足を確保するまで安心できない屋久島。すみません。国内、全然余裕じゃなかったです。日本は広い。そんなことを発見した道のりでした。これもだいご味か。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
▼着いてしまえばこっちのもんよ
今日はこの環境でテレワークしていこうと思う pic.twitter.com/8Rox83sXyF
— 中澤星児(ロケットニュース24) (@sorekara_jona) August 22, 2022