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【マジかよ】津波と放射能汚染で崩壊していた福島県 双葉町 → 2年ぶりに来たら、とんでもないことになっていた

2022年8月1日

2011年3月11日の東日本大震災。津波の被害だけでなく、福島第一原子力発電所の事故により、一帯は長らく一般人が立ち入ることのできないエリアに。

大きな進展があったのは、9年後の2020年3月14日。満を持して常磐線が全線開通。ごく一部とはいえ避難指示が解除され、制限はあれど一般人も散策が可能になった。

その時の状況は、「全線開通した常磐線で東京から福島へ / 帰還困難区域だった各駅で下車、周辺を散策してみた」という記事でお伝えしている。この時から2年。久しぶりに福島に行く機会を得た私は、再び2年前に取材した地を訪れてみることに。

・双葉駅

「特急ひたち」に乗るのも2年ぶりだ。今回のスタート地点は湯本駅。


2年前は気温がめちゃくちゃ低いうえに、雨も降っていた。マジに凍えながら取材したものだが、今回は記録的猛暑。私が動く時は何らかの形で天気に恵まれないのかもしれない。

そんなことを考えていたら、あっという間に双葉駅に到着。


いやー、懐かしいな。2年前は常磐線の全線開通ということで、ローカルから在京まで色んなメディア関係者や、鉄道マニアと思しき人、そしてスマホを前にぶつぶつ喋っているYouTuberなども数名と、けっこうにぎわっていた。

が、今回はマジに誰もいない。これがこのエリアの平時の様子なのだろう。


さて、気になるのは放射線量だ。双葉駅は2年前の時点で0.093μSv/hと低かったが、今回も0.081μSv/hと余裕。


前も線量自体は大したことなかったしな。それより問題は崩壊した建物などだ。一切手つかずなままで、空き地には汚染土入りの土嚢だらけ。何もかもが尋常じゃなかった。


・何かできてる

あれから2年だが、9年かけてほとんど何もできなかったのだから、大きく変わっているとは思えない。まずは駅前にあった、崩壊した倉庫みたいな建物がどうなったかチェックしに行こう。

駅前から道路を挟んで反対側にあった、壁がハデにぶっ壊れてるヤツだ。そうそう、この青い看板の横から……


何かできてるぅぅぅううううう!!


崩壊気味な倉庫は跡形もなく消えていた。かわりにそこにはオサレなデザインの新しい建物が! なんやこれ!?

近寄ってみると、双葉町の役場であることが発覚! まだ完成しておらず、中を工事中とのことだった。時々職員が中を視察しに来ているとか。


・例の薬局

それではどんどん行こう。2年前に見たものといえば、崩壊した「わかば薬局」だ。あの時はメチャクチャだったが……


散乱していた薬品だのは片づけられ、ちょっと綺麗になっている。ブチ割れていたガラスも塞がれている。


が、ここで注目すべきは薬局ではなく、その両サイドだろう。左側には廃墟と化したビルがあり、右側にも何やらあったと思うが、周辺にあった建築物は完全に撤去されている。

左側は新規に仮設住宅的なモノができているのがご覧になれるかと。実はここだけでなく、2年前にあった建物の多くが消えていた。この薬局が残っている理由は不明だ。

消えた建物といえば、あのセリアもそうだ。中がグッチャグチャになっていたヤツ。



それが今ではこの通り。2020年の写真の右端に写ってる電信柱が、下の写真の真ん中に写っている電信柱だ。セリアは完全に解体され、向こうには新しく建設中の何かが見える。


・黒い袋

撤去されたのは崩壊した建物や散らばっていたガレキだけではない。当時は空き地という空き地を埋め尽くしていた、あの黒い袋。中身は除染時に発生した土壌等の、要は汚染されたものだ。


背景的に、たぶんこの辺一帯だったと思う。黒い袋は消えて、雑草が生えた空き地となっている


この住宅街にあった黒い袋も


この真ん中あたりだと思う。とにかく広い範囲にわたって草しかないのがお分かりいただけるだろう。


そしていよいよ、2年前に引き返した地点。海浜公園の看板そばに到着。


看板の先が立ち入り禁止となっているのは相変わらずだった。この通行止めの向こう側には巨大な白い建物がある。これについては、後で詳しく触れようと思う。


・さらに海まで

実はここまでは双葉駅から海を目指し、東に真っすぐ進んでの光景。2年前もとりあえず海を目指して東に進み、この看板で引き返したのだ。

看板の先は立ち入り禁止なので、もはやこれまで……と思うかもしれないが、実は看板の示すのは第一原発のある方角。

そっち方面は今でも立ち入り禁止だが、ただ真っすぐ海まで東に向かう分には制限が無い。ということで今回はこの看板を通りすぎ、海まで行ってみようと思う。

基本的には一面の草! 我が世の春を謳歌する、真夏の雑草の世界が広がっている。


そんな中で目に入るのがこちら。もしかして、社宅か……? 


双葉町の災害廃棄物の減容化を請け負っているJFEエンジニアリングと、復興作業に携わっている前田建設工業の看板が出ている敷地にあるものだ。


実はこの取材の時点では、居住を前提とした避難指示の解除はされていない。原子力産業新聞によると、2022年7月26日に8月30日での一部解除が発表されたばかり

ゆえに住民の帰還者数は0のままだが、復興作業に関連する企業の従業員の滞在は、とっくに始まっていたのだ。あの建物が社宅かどうかは不明だが、別に社宅でもおかしくは無い。

それどころか、何とビジホまであるのだ! 2021年にオープンした「ARM FUTABA INN」。

実は私も今日はここで一泊する。住民の居住を前提とした帰還はまだNGだが、ホテルには泊まれるぜ! 


・立派な施設や飲食店も

さらに、こんな立派な施設もオープンしている。


左手は「東日本大震災・原子力災害伝承館」で、右手は「双葉町産業交流センター」だ。前者はなんとなく想像がつくだろう。

しかし後者はどうかな? なんとここには、お菓子や酒、土産物等を扱う売店があるのだ! 


さらにその奥にはフードコートがあり、ご当地グルメ「なみえ焼そば」の店や


休業日だったのか閉まっていて正体不明な「ペンギン」なるお店も。なんか有名人のサイン多いな。けっこう色んな人が来ているもよう。


・展望台

この建物に見どころは他にもある。屋上が展望台になっており、周囲を見渡すことができるぞ!


ここから西、つまり駅の方角を見るとこんな感じ。


その辺のデカい建物は、全てこの2年で新しくできたものだと思われる。前は被災した建物以外、マジで何もなかったので。

ほとんどの建物の壁には企業名の看板が出ており、何をやってる会社なのかわかる。基本的に建築関係やマテリアル関係の企業のものだ。

そして東、つまり海側はこんな感じ。実際に海までの様子も記すので、詳しくは後ほど。


この展望台で見るべきは、のどかな緑に満ちた風景だけではない。先の海浜公園の看板の先にあった立ち入り禁止となっているエリアの内部だ。

実はあの看板の先は「中間貯蔵施設」があるエリア。名前で想像がつくと思うが、つまり、例の黒い袋を一時的に貯蔵する施設だ。

肉眼だとよく見えない程度にはしっかりと遠いが、双眼鏡や超望遠レンズを用いればこの通り。


ここに来るまで右手にずっと見えていた、一部が骨組みのままの白くてデカい謎の建物。何だろうと気になっていたが……


その裏手にも黒い袋が。他にも何か所か貯蔵場所を発見したが、どうやら南側の広い範囲に分散させているもよう。


なぜ分けてんだろうと思ったら、屋上の壁に詳しく書かれていた。なるほど、それぞれの場所で保管なり文別なり、違う役割があったのか。あのテントの中は分別のための工場になっているようだ。


・福島県復興祈念公園

それでは海に向かおう。「双葉町産業交流センター」を出てすぐ海側は、「福島県復興祈念公園」の建設が予定されている。


屋上から見えていて謎だったが、かなりわざとらしく被災した建築物が何件か解体されずにいた。どうやらこれらは「中野地区集落の居住跡」として残しているらしい。


墓石が全て倒壊しているお墓も見える。公園はまだ完成しておらず、この看板より先は立ち入り禁止だったが、明らかに最近献花されたと思しき花が。仕方ないよな。


・堤防と海

この先は県道254号を海まで一直線だ。この通り道路はメチャクチャ綺麗(この2年で新設したものだろう)だが、通行人はゼロ! 真新しい道路を独り占めできる。


ちなみに途中で県道391号と交差するが、第一原発がある南側は通行止めとなっている。この先は昼と夜に撮った写真が混在していくが、そこは気にしないでくれ。


まずは堤防だ。かなり壮大で強固なものが構築されている。


しかし、この堤防でも津波は防げない前提なのだろう。実は震災で津波被害を被った海辺のエリアは、今後も一般人の居住が許可されることはない

津波が来た場合に、命に係わる被害を減らすための措置だ。許可されるのはビジネス関連の建物のみとなっている。夜には無人になるし、昼間でも住宅地より避難が迅速に完了するだろうしな。

ちなみに堤防の上で、動物のフンを見つけた


あっ、うんこじゃん! と近寄り、うんこを見つけた時のために常備しているゴム手袋を装備。内容物をチェックした感じ、鳥の羽や各種パーツが多めに出てきた。たぶんキツネのものだと思う。

実はその辺の草むらから何かの動物がいる気配を頻繁に感じていたのだ。人が長らくいなかったので、動物ヘヴンになっていると思われる。

海辺ギリギリのところにある特徴的な建物は、「マリンハウスふたば」。津波を耐えた建物で、ここの3階に避難した人は助かっている。


もっと近寄ってみたかったが、今しがた私に職質しているポリスに聞いたらその周辺の森はまだヤバいのでダメとのことだった。え、写真に誰か写ってる? 実はこの辺、色々とグレーなんですよ。

ちなみに「マリンハウスふたば」より手前に見える特徴的な配置の木製の柵は、防潮林を育てているエリア。

そして堤防の向こうの浜辺には地元の釣り人が。また、早朝にはサーファーもいた。


ここからすぐ北にある請戸漁港は普通に営業しており、魚の直売もされている。陸地側は未だ除染できていない茂みが唐突に出現したりするのだが、海はとっくに平常に戻っている様子。

第一原発も見ることができる。右端の骨組みだけのが1号で、その真後ろが2号、かまぼこみたいなデカいのが3号を覆うカバーだろう。


駅の東側ばかりを散策したが、西側は公営住宅を建設中だ。メチャクチャお洒落だな! 


まだ明確に決まったわけではないが、10月くらいからの入居を予定しているとか。そこそこ応募があるようだった。

しかし元住民の応募は少なく、ほとんどが「双葉町産業交流センター」周辺で新しく操業が予定されている企業の関係者なもよう。

ということで、2年前には圧倒的に壊滅していた福島県双葉町。2年ぶりに来てみたら、驚くべきスピードで復興しつつあるではないか!

病院は未だ無いが、来年の2月には内科の診療所ができるという。また、診療所に先んじて10月頃から駅そばのコミュニティセンターに看護師さんが配備される予定もあるとか。

2年でこれだけの変化があったのだ。この先もかなり期待できそう。さて、この後は夜ノ森や大野を取材に行くが、そちらについてはまた別の記事で。

参考リンク:原子力産業新聞
執筆&写真:江川資具

▼人がいないので星は綺麗。天の川も見える。あれがデネブ、アルタイル、ベガ。


▼実は多くの土地に様々な企業が入ることが決定済み。何もない光景は今だけかもしれない。

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