「また今日もない……」ここ2週間ほど、ファミマに行ってはガッカリしていた。
私が探しているのは、2022年の3月22日に発売されたファミマの「ザ・クリームパン」。店頭にのぼりまで出して大々的に売り出しているにも関わらず、パンコーナーに行っても全然見かけないのである。
めちゃくちゃ店舗数が多いファミマで、しかもスイーツやホットスナックじゃなくて菓子パンで、こんなことある? こうなると意地でも食べたくなるのが人間の性(さが)。
ようやくゲットできたので、今さらだけどレビューしたいと思う。
・「ザ・クリームパン」に賭けた思いを想像する
まず「ザ・クリームパン」という名前からして、ファミマの期待と情熱を感じる。
ザが付く食べ物といえばピアニストの中村紘子さんがCMに出ていた「ハウス・ザ・カリー」である。私はカレー作るときは、ちょっと高くても未だに「ザ・カリー」のルーを使う。「ザ」に間違いはないのだ。たぶん。
で、さらにいうと、今は別に「クリームパンブーム」でもなんでもない。パンはパンでも「高級食パン」とか、同じクリーム系ならイタリアからの刺客「マリトッツォ」がブームを牽引している。
ちょっと地味な存在であるはずの「クリームパン」をいきなり春の新商品のセンターに据えてくる。坂道グループもびっくりの大抜擢ではないか。けっこう新商品会議では賛否両論あったんじゃないかと想像してしまう。
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そんな紆余曲折を経たであろう「ザ・クリームパン」の売出し。担当者は発売前日は眠れなかったんじゃないか。
それが、蓋を開けてみたらまさかまさかの大ヒットである。売り切れた棚を見て、購入者たちのSNSの投稿を見て、涙したに違いない。
ま、全部想像だけど。
前置きが死ぬほど長くなったが、やっと手に入れた「ザ・クリームパン」さっそくレビューして行こうと思う。
見た目はめちゃめちゃベーシックで、昔ながらのグローブ型のクリームパンである。クリームパンってなんでこの形なんだろうね。
手にとってみると……普通のクリームパン。大きさも重さも普通。これは自信ゆえの普通なのか、肩透かしなのか。
とりあえず半分に割ってみる。
お、パン生地が普通のクリームパンより黄色くて、ちょっとしっとりしてる!
そして、カスタードクリームは、とろとろ系じゃなくてちょっと固めでバニラビーンズ入り。いいよ、いいよ〜! 私は固めのカスタードが好きなのよ……!
・普通、なのに確実に違う
実際にひとくち食べてみると……。今までのクリームパンとは、たしかに違う。
まず、パンが柔らかくてバターの香りがする。まるでデニッシュのように、パン生地だけでもほんのり甘みを感じるのだ。美味しくないクリームパンはパン生地がパサっとしていることが多いが、パッケージのとおり「とけあうパンと王道カスタード」の食感。
そして、ちょっと固めで甘いカスタードクリーム。どこか子供時代のなつかしい気持ちを思い起こさせるノスタルジーに、バニラビーンズの香りがほどよいエッセンスになっている。
ただ懐かしい、スタンダードなだけでは終わらせない、絶妙なバランスになっていた。
正直、連日売り切れるほど「めっっっちゃ美味しい」という感じではない。でも、本格的な高級パン店とは違う土俵で「手軽なコンビニパンとしての美味しさ」をしっかり追求していると感じた。
ちなみに、裏面で製造元を確認したところ「神戸屋」だった。なるほど、納得の美味しさ。
このクリームパンが128円で、コンビニでいつでも買えるっていうのは個人的にはかなり嬉しい。たぶん、朝食とか急いでるときの昼ごはんにまた買っちゃうなあ。