えっ、何だアレ? 全く偶然、何の目的もなく東京・新井薬師前をフラついていたときに、違和感のある寿司屋が目に入った。最初は「スシロー」だと思ったのだが、よく見ると「京樽」も並んでいる。
というか、一体化している。「スシロー 京樽」。ググってみると、2021年7月7日から、ダブルブランドの店舗が登場したと京樽のHPに書かれているのを発見!
もう出てから結構経ち、店舗は増えているもよう。まったく知らなかったぜ。しかし待てよ? もしかして、ここならスシローと京樽の、両方の良さを1発で味わえるってことか? 店舗限定のコラボ寿司もあるんじゃないか? ようし、今夜は寿司で決まりだぜ……!!
・なかった
結論から言おう。そんなものは無かった。店舗は間違いなくスシローと京樽が合体していたし、両方の良さをこの店舗だけで味わえるのも確か。だが、コラボ商品的なものは無かった。
それならそれでいいじゃないか。そんな声も聞こえる。が、待って欲しい。二つのブランドが合体したなら、期待するのは店舗限定のコラボ商品的なものだと思うのだ。
例えば、仕事を全て選ぶことで知られるキティさんが何かとコラボしたら、期待するのはコラボ相手の何かしらのキャラに扮したキティさんとか、そういうアイテムだろう?
そこでもし、単にいつものキティさんとコラボ先のいつものグッズが、個別に売られているだけだったらどうだ? それでもキティさんと、コラボ相手の良さそれぞれを味わえるのは確か。だが、ちょっとがっかりすると思うのだ。
スシローと京樽のダブルブランドの店舗を発見し、ウッキウキで飛び込んだ筆者が目にしたのは、そんな光景だった。ただスシローと京樽の寿司が、個別に売られていただけだった。
・ゾーン分け
もう少し詳しくお伝えしよう。筆者の訪れた店舗では、ショーケースがスシローゾーンと京樽ゾーンに分けられているように見えた。左側は、ラベルに「京樽」と書かれている、おそらく京樽ブランドの寿司が。
そして右側には、シールに「スシロー」と印刷された、スシローブランドの寿司と思しきものが売られている感じ。
確証はないが、売られているものや値札、ラベル的に、商品が交じり合わないよう隔離が徹底されている感がある。そして、両者のゾーンの間には、ジェリコの壁のごとく両者を分断する隔たりが。
それぞれの寿司を合体させるどころではない。売り場がきっちりと分けられているのだ。晩飯でコラボ寿司をキメる夢は一瞬で散った。
・強みもある
では全く無意味なのか? そうは思わない。隔てられているとはいえ、両者は隣り合っているため、例えば京樽ゾーンからは、「京樽伝統の茶きん鮨(220円)」を。
そして、スシローと言えばマグロ。マグロと言えばスシロー。スシローの良さがよく味わえる「天然インド鮪づくし(1090円)」を、同時に購入することができる。
コラボ商品的なものが無かったのは残念だが、両方の強みをお手軽にゲットできるという強みは、中々のものだと思う。スシローは美味いが、茶きん鮨は無いものなぁ。
・疑惑のねぎまぐろ
と、そこであることに気付いてしまった。基本的に京樽ゾーンとスシローゾーンに売られている寿司は、共に全く異なるタイプ。
だが、その中で唯一、全く同じタイプのものが両方のゾーンにあったのだ。それが「ねぎまぐろ」。京樽ゾーンには、京樽と書かれたプレートの向こうに「中巻 ねぎまぐろ2本(420円)」が。
そしてスシローゾーンにも、他のスシローの寿司に混ざり、「細巻 ねぎまぐろ巻 2本(500円)」が。
値段もサイズも全く違うが、この時売られていた商品の中で、同じタイプの寿司はこれだけだった。ということで、こちらもゲット。比べてみることに。
食べてみたところ、ぶっちゃけマグロの面で分かる違いは皆無! 強いて言えば、スシローゾーンで選んできた「細巻 ねぎまぐろ巻 2本(500円)」の方が、ネギが多い気がする。でも個体差かもしれない。というか……
どちらも京樽ブランドじゃね?
そう思った理由は醤油だ。ねぎまぐろに入っていた醤油をよく見たら、ともに京樽ブランドだったのである。
ちなみにスシローの醤油は、スシローブランド。
寿司の味の違いはぶっちゃけよくわからないが、スシローと京樽の醤油はまったく味が違う。筆者も今回初めて気づいたが、スシローの醤油は味がマイルドで甘い。
対して京樽は、全ての寿司でこのタイプの醤油なのかは不明だが、少なくとも「ねぎまぐろ」2種に入っていた醤油はどちらも濃い口醤油。なかなかパンチ力があり、しょっぱい。
また、ガリも違うことが判明。スシローのガリは甘酢生姜となっており、確かに甘く食べやすい。単体でイケる。対して京樽のガリは、またしてもパンチ力が強いハードなガリ。味覚をリセットするパワーは圧倒的だ。
ということで、何だかんだでスシローと京樽の合体した店舗において、寿司のクオリティに関しての両者の明確な違いはよくわからなかった。
もしかしたら、あえて両者が比較されないようなセレクトで品物を置いている(単に被らないようにしているだけな可能性もあると思うが)のかもしれない。
ただ1つこの店舗において間違いなく言えること。そして、最大の弱点は明らかだ。それは、せっかくのダブルブランド店舗なのに、限定のコラボ寿司的な商品が無いということ。
えっ、だってこんな店舗に出くわしたら、そういうの期待するものでは? 何か激ウマな、京樽 × スシローなオリジナル寿司みたいなのが食べたいなぁと。でもまあ、両方の寿司はどちらも美味かったから満足だけれども。
参考リンク:京樽
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
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▼袋は京樽
▼箸も京樽