バリウムが怖い……と、いうのも先日、初めて飲むバリウムで腹が破裂しそうなくらいの便秘を味わうことになったからだ。
もちろん、飲んだあと医療機関の指示を忠実に守れば、そのようになるのは稀(まれ)だろう。しかし、その時の私はバリウムを見くびっており、感覚的にアフターケアを済ませてしまっていたのだ……。
・初体験のバリウム
ご存知の方が多いと思うが、バリウムとは胃のレントゲン撮影をするために飲むものだ。私は今までバリウムを必要としない胃カメラで人間ドックしてきたことで初めて飲んだ。
なお、検査が終わったら、しっかり排出しないと腸内で固まってしまい、それが便秘の原因になるらしい。それを回避するため、検査後には下剤とバリウムについての注意が記載された紙を渡される。
注意する内容を大まかに書くと、水をたっぷり飲むことと、カフェインやアルコールなどは控えるべきとのこと。
ふっ……思わず鼻で笑ってしまった。注意と言っても医療機関で飲むもんだぜ? それに、普段から水は2リットルくらい飲んでるし、毎朝オールブランだって食べてるのだ。それが功をそうしてか、10年以上も渋滞しらずの腸を持ち合わせている。なんなら1日、2~3回くらいは排便しているほどだ。
バリウムの心配なんかよりも、空腹の方がマジやべぇよ。検査前夜から検査終了まで食事が制限されるので、かれこれ20時間くらい何も食べていないのだ。
ということで、検査が終わってから大戸屋で2000円オーバーのご飯を食らった。その後、仕事に勤(いそ)しんでいると、急激な便意がッ! きたきたぁ~!! 下剤の効果だろう。
トイレに駆け込み踏ん張ると、白い水がドバドバ~~っと出てくるではないか。
これが、バリウム……か!? やけに水々しすぎるような気もするが、こんなもんなんだろう。「ちょろいな、バリウム」とナメくさりつつ、控えるように言われているブラックコーヒーをガブ飲みしていた。
・悲劇は翌々日
バリウムとの戦いはゴングが鳴る間もなく終了……したかに思えたのだが、ヤツは翌々日の朝に襲いかかってきた。朝のルーティンにて、いつも通りに排便するつもりが、踏ん張っても踏ん張っても、肛門が溶接されたかの如く便が1ミリも出てこないのだ。
嫌な予感がプンプンしているものの、まだ腸内キャパシティには余裕がある。時間が経てばヌルっと出てくるかもしれない……と楽観視していたのだが、お昼に踏ん張っても夕方に踏ん張っても出ない。うんこ、硬すぎである。
便秘知らずの私は、経験したことのない圧迫感に悶えることになり、大戸屋で爆食したこと、ブラックコーヒーをがぶ飲みしたのを激しく悔やむことになった。
お腹パンパンで動きたくない……けど、待っていても良くならないだろう。むしろ便が溜まる分、悪化の一途をたどるばかりだ。もはや、自分ではどうしようもないので、近所の消化器内科に駆け込んで見てもらうことに。レントゲンを見て、先生はこう言った。
先生「おしいですねぇ~。少し残っちゃってる!」
やはりバリウムが残っているらしい。ってか、おしいじゃなくて……早く出して!
先生「とりあえず浣腸薬と飲み薬だしておくので、それで治らなかったらまた来てくださいねぇ~」
いやいや、治らなかった時の説明するけど、そしたら間違いなく翌日を待たずに「ひでぶっ!」ってなるわ。先生と自分の温度差を感じつつも、家につくなり石油ポンプのような形をした液体状の浣腸を取り出して腸に注ぎ込んだ。
少し待たないといけないのだが、浣腸も相まって、ますます腹がッ……そして数分後、トイレに駆け込んで踏ん張ると……
出ない。終わった。
もはや気力、体力ともに失われ、トイレにたたずみながら、力んで休んでを繰り返していること数十分後、浣腸が効いたのだろうか……ポンッ! と私を苦しめた塊が飛び出してきたではないか! そして、後に続くようにメリメリと便たちがッ!!
その瞬間、自然とガッツポーズが出てしまったのだが、プロ野球でピッチャーが大一番の三振をとったときも、きっとこんな感じなんだろうと思う。
ということで、私のお腹に平穏が訪れたわけだが、バリウムとはこんなに便秘になるものだろうか? 疑問に思ったので、後日、人間ドックを受けた病院で聞いてみたところ、先生は「えっ!?」と不意をつかれたような顔で以下のように答えた。
先生「今のバリウムは進化してきているので、そこまで心配する必要ないです。もしかしたら、腸が長いのかもしれませんね。あと、水をたくさん飲むようにしてください」
先生の反応的に、多くの方がそこまで心配しなくても良さそうではある。ただ、やはり水は多めに飲んで欲しいとのこと。私的に たくさん飲んだつもりだったが、腸が長かったゆえ道半ばで固まってしまったのかもしれない……。
・油断するなかれ
胃カメラという選択肢もあるため、バリウムを飲んだことがない方もいるだろう。そのような方は、私と同じようにバリウムをナメているかもしれない。だが、飲む機会があれば油断はしないでくれ。
医療機関の指示に従うことを大前提としつつ、個人的な体験にもとづいて言うなれば、翌々日までは爆食いせず、コーヒーも控えることをオススメする。
執筆:hirazi(ひらじ)
Photo:RocketNews24.