お前らふざけてんのか! 10万円食べるもんズとか言って3万円代ばっかりじゃねえか!! そう、有名チェーンで10万円食べられるか検証するこの企画で、実は我々は4万円を超えたことがない。
いくら何でも不甲斐なさすぎる。こんなものは企画倒れだ解散だ。そこでスシローに挑戦することで今一度貴様らに問いたい。これまでと変わらなければ今日で終わりの背水の陣。やれんのかッ!?
・メンバー
あひるねこ「やれます!」
Yoshio「むしろやらせてくれ!」
P.K.サンジュン「大トロを売切れさせてやんYO!」
砂子間正貫「かかってこいやァァァアアア!!」
ちなみに、スシローは以前、私(中澤)、あひるねこ、Yoshio、P.K.サンジュンの4人で挑戦しており合計金額は3万6514円だった。約3分の1しかいけなかったのに、よく全力で「やれる」と言えたものである。恥を知れ! 貴様らは負け犬だ!!
一方で、希望の光となるのは新メンバーの砂子間正貫。砂子間が残りの6万3486円をたいらげる可能性もわずかながらあるだろう。
・まず不安要素を潰す
だが、普通にチャレンジするだけでは10万円は絶対不可能なことは前回思い知らされている。そして、前回のスシローにおいて我々が苦戦を強いられた理由の1つに、ひと皿ひと皿流れてくる形のため、大量注文に向いていないということがあった。皿が来るのを待ってる時間で満腹感を感じてしまうのである。
そこで今回は2021年10月14日にオープンしたばかりのスシロー新宿東口店に協力を要請。特別に注文した寿司を速攻で持ってきてもらう。これで不安要素を1つ潰した。
・不安要素その2
さらに、作戦も重要である。2貫120円のレギュラー皿を避け、1貫320円の感動皿を狙っていくのは当然のこととして、意外と1貫で感動皿というのが少ない。
前はたまたま大トロほぼ半額のキャンペーンにぶつかり、ガッツリしてない感動皿は「国産うなぎ」と「炙りきんき」しかなかった。スシローは時期だけではなく、店舗によって細かいメニューが違うので、入店した段階ですでに勝負は決まっていたと言えるだろう。
さて、今回スシローの女神は我々に笑いかけるのか? タッチパネルを見る一同に緊張が走る。と、その時……!
やったぜ! 大トロが1貫320円のままだ!!
前回主力となった「九州産うなぎ」も……!
おいおい! 「極上のどぐろの炙り」まであるじゃねえか!!
ヒーハー! ハイタッチをする我々。勝てる……かもしれない。味の方向性さえ変えることができれば2倍くらい食べられる……ような気がする。風吹いてるぞ!
・ゼロカロリー理論
スシロー新宿東口店よ。大トロのタッチパネルをソールドアウトにする準備をしておけ。向こう1週間分の大トロは全て我々が食べ尽くす。注文イッケェェェーーーー!
ウメェェェエエエ!!
舌の上で溶けるようなトロ。溶けてるんだからゼロカロリーだ。すなわち永遠に食べても大丈夫。イケるぞ! 今回はマジで勝てるッ!!!
・さらに追い風
ちなみに、皿はスシローのご厚意により、店舗奥の未使用の机に積ませてもらうことに。細かい部分だが、卓上がスッキリしてる方が食べやすいのは厳然たる事実。お膳立ても完璧だ。あとは我々次第……ならば答えてやろうじゃないか!
大トロ連発で多少飽きても、1回うなぎやのどぐろが挟まると全然違う。さらに、のどぐろは塩で食べると口の中がさっぱりして箸休め的なニュアンスも。脂が乗っているとは言え所詮は白身魚。これしきで我々が止められると思うなよ?
・魔の100皿
うなぎなんてもはやデザートでしかない。スシロー新宿東口店よ。店閉まいの準備をしておけ。大トロだけじゃなくうなぎも今日限りだ。なんたって、もう90皿くらい食べてるけど、まだ余裕! 今日こそは10万円食べるもーーーーーーん!!
が、110皿くらい食べた頃……
一気にキタ。
無言っ・・・! 圧倒的無言っ・・・!
え? 誰か死んだんですか? 思わずそう心配せずにはいられないほどのお通夜みたいな空気! なんというもうエエわ感・・・!
・スシローの罠
おかしい。ざっくり1人20皿なので2貫として計算するとまだ10皿だ。量的にはそこまでではない。少なくとも、普段は余裕で食べる枚数である。だが、現実は大トロがボディブローのように効いてきて、もはやのどぐろの箸休めも厳しい。っていうか、白身魚なのに脂乗りすぎだろのどぐろこの野郎。その時、Yoshioがつぶやいた。
Yoshio「うなぎ、前の時よりデカくなってね?」
デカくなっている……気がする。絶望に打ちひしがれる我々。ひょっとして罠だったのか? ひっそりとコスパを良くして、気づかれないように胃袋を満たすというスシローの戦術だったのか? 我々は想定以上のペースで寿司を食わされていたのかもしれない。まさかスシローがそんな戦術を用いて潰しにくるなんて……!
・裏切り
このままではダメだ。1度この場を離脱して立て直す必要があるだろう。そこで机の上を一旦片付けることにした。卓の皿を皿置き場の机に運ぶ。ペースがガクッと落ちたせいか、先ほどから10皿くらいしか増えていない。
が、これだけの運動でも胃に溜まったものがちょっと降りて楽になる気がする。少し落ち着きを取り戻すことができた。だがしかし、席に戻ってみると……
ホゲエエエエエエエ~~~~~ッ!
うなぎが押し付けられているッ!!
どうしようもないクズ・・・・・・! 人間の本性を垣間見たような気がした。もはや同士ではなく敵。仲間すら信用できない。この状況を作り出したスシローは恐るべしと言う他ない。
「いや~さすがですね!」
あ、隣のあなたもそう思いますか?
「もちろんですとも! はっはっは」
ところで、あなたは誰ですか?
「スシローの戸田です!」
・戸田という男
知らないうちにスシローの店員さんが参加してきていた。お腹パンパンすぎてなんかもうよく分からなくなってたわ。っていうか、店員さんを呼んだ覚えはないんですが、何か御用で?
戸田さん「はい! 実は本日のオススメがありまして、是非こちらもどうかと思いまして!」
──どうやら、戸田さんはオススメを教えに来てくれたようだ。入店から2時間以上経って胃袋も限界のタイミングでオススメに来た理由は謎だが、まだ1貫~2貫くらいなら誰かがギリ食べられるかもしれない。お店にも協力してもらってるし、ここは注文するべきだろう。じゃあ、それください。
戸田さん「よろこんでー!」
戸田さん「天然インド鮪7貫食べ比べです!」
戸田ァァァアアアッ!!!!
このタイミングでこれをオススメしてくるのはどう考えてもおかしいだろ。ネタか? ネタなのか? 寿司屋だけに。
今まで記事の成り行きで、スシローは敵として書いていたが、本来なら協力関係のはずだ。しかし、まさか本当に敵だったとは。とんだ食わせ者である。大食い検証だけに。
でも、なんとか食べきった。
・お会計
もう入らん。胃の入り口まで寿司が詰まっている。これぞ寿司詰め。全員が同じ状態であることは、過去最高にぐったりしている食べるもんズの雰囲気から読み取れる。同じ戦場を駆け抜けたからこそ、言葉を超えて伝わるものがあるのだ。
食べすぎて、もはや皿を数えることすらしんどい。しかし、良い線行ってる気もする。少なくとも、これまでの限界を大きく更新していることだけは確かだ。さっそく戸田にお会計をしてもらったところ……
ついに超えたー!
5万円の壁を。
合計金額は5万8113円。これだけ大トロを食べたのに6万円にすら届かないスシローのコスパの良さは敵ながら天晴だが、今までのチャレンジが全て4万円以下でフィニッシュしていることを考えると、2つくらい壁を破った大きな一歩と言えるだろう。というわけで……
10万円食べるもんズ、やめへんで!
過半数超えたし、やめへんでぇ~!!
むしろ俺たちの戦いは始まったばかりだ。
<完>
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.