現在公開中のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるSF超大作『DUNE / デューン 砂の惑星』。その映像の凄まじさは予告編からも十分伝わってくるが、聞くところによれば本作は「IMAXレーザー / GTテクノロジー」で見るとさらにスゴイという。
「IMAXデジタルシアター」を超えた「IMAXレーザー」を、さらに超えた「IMAXレーザー / GTテクノロジー(以下IMAXレーザーGT)」。まあ、超サイヤ人3みたいなものと思ってもらえば分かりやすいだろう。現在国内に2館しかない最高峰の上映設備で、『DUNE』を見てきた!
・ネタバレなし
あらかじめ断っておくと、この記事には映画の内容に関する記述は一切ない。映像体験としていかにヤバかったかという点に絞って書いているため、未見の人もどうか安心してご覧いただきたい。それでは始めよう。
・IMAXの最高峰
現在国内では「グランドシネマサンシャイン 池袋」と「109シネマズ 大阪エキスポシティ」でのみ体験できるIMAXレーザーGT。これの何がスゴイって、とにかくまずは高さが尋常ではない。
今回、私(あひるねこ)が行ってきた池袋のスクリーンは幅25.8m × 高さ18.9m。なんとビル6階分に相当する高さだ。ちょっと意味が分からない。もちろん国内最大のスクリーンサイズであり、初めて訪れる人はおそらく劇場に入った瞬間にデカすぎて笑ってしまうはず。
また、スクリーンのアスペクト比は1.43:1で、これは通常のスクリーンと比べると最大40%増の映像ということになる。もはや見えている世界そのものが違うと言っても過言ではないだろう。
・IMAXレーザーGTで見る『DUNE 』
本作はシーンによって画面が通常サイズになったりフルサイズになったりと目まぐるしく切り替わるのだが、いよいよフルサイズになった時の臨場感というか、有無を言わせぬ絶対の迫力はとても筆舌には尽くしがたい。
もはや正方形に近い形となって、視界に捉えられるギリギリの大きさ(なんならハミ出る)まで拡張するスクリーン。これがどうやったってヤバイ。ヤバすぎる。広大な砂漠が画面全体に映し出された瞬間、目と脳が「ここは砂漠である」と全力で錯覚しそうになるのだ。
映画なので、鑑賞中は視覚と聴覚しか基本的には働いていないはず。なのに体が上下左右に動いているのを感じるし、風が吹いて砂が巻き上がるのをたしかに感じる。
これはおそらく、視覚からもたらされる情報量がバグりまくっているせいだろう。体験型アトラクションに近いような気もするが、画面への没入感はそれとはもう比較にならない。
・スゴすぎるが故……
私はスクリーンを見つめながら、そこに映し出される光景がまれに自分の許容範囲を超えてしまうような奇妙な感覚に襲われた。すでにコップは満杯の状態にもかかわらず、さらに水を注がれて、結果溢れ出すというか。映像のスゴさを一度に咀嚼(そしゃく)しきれないのである。
特にスペクタクルシーンにおいては、確実に自分のすぐ近くで鳴っているであろう凄まじい効果音と、ハンス・ジマーが手掛ける安定かつ圧巻の劇伴によって、そこが映画館なのか映画の舞台なのかすらよく分からなくなってくる。
そのたびに私は、呆然と口を開けながら脳内で「うおお……」とか「うーわ……」と呟くことしかできないのだ。
・現在地球でもっとも美しい男
垂直に飛び上がる飛行機を追いかけて思いきり上下するカメラや、明らかに縦方向に長すぎるデザインの建築物などを見ても、この映画がIMAXのために作られていることがよく分かる。どうやらヴィルヌーヴ本人もそれは公言しているらしい。
と、ここまで風景や建物についてばかり触れてしまったが、実は役者の顔のアップでも画面がフルサイズになるという点は、本作の特徴の一つと言えるのではないか。
それにより、観客とキャラクターの関係がより親密になったと思うし、巨大スクリーンの超どアップにも耐えられるティモシー・シャラメの美しさにはもはや溜め息しか出ない。
少しでもシャラメに興味があり、なおかつ行ける距離にIMAXの劇場があるという人は、気持ちよく昇天できるのでぜひIMAXにてご鑑賞いただきたい。
・思考は不要
本作に関して、「原作をよく知らないから」と劇場に行くことをためらっている人は多いはず。しかし個人的には、本当に何も知らなくても大丈夫だと思う。さらに極端なことを言うと、ストーリーも別に分からなくたっていい。字幕を読まなくたっていい。映像と音響にさえ身を委ねれば、それでいいんじゃないかというような気がしている。
私はこの作品を映画としても優れていると感じたが、例えば遊園地のアトラクションのように、あるいは『チームラボミュージアム』的な体験型アート施設のように楽しむのも全然アリだろう。
もちろん五感を刺激する類のものではないけど、視覚&聴覚体験として、IMAXレーザーGTで見る本作ほどヤバイものは、おそらく2021年においてどこにも存在していない。文字通り究極である。
・映画館へ行こう
サブスクリプションサービス全盛の時代に、映画館のスゴさとヤバさ、そして魔法を力ずくでも思い出させる──。『DUNE / デューン 砂の惑星』とはそういう映画なんだと思う。とにかく何かヤバイものが見たいという人は、IMAXレーザーGTでの鑑賞を強くオススメするぞ。
参考リンク:グランドシネマサンシャイン 池袋、PR TIMES
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.