クラフトビールの市場が伸びているらしい。旅行へ行けば現地の工房で作られたこだわりのビールをいただくことができる、有難い時代である。
今回ご紹介するのは麗人酒造の七味唐からしBEER。老舗七味唐辛子専門店『八幡屋礒五郎(やわたやいそごろう)』とのコラボ商品で、筆者が購入した店舗だと350ml缶が税抜460円とちょっとお高め。
ぶっちゃけネタとして飲んでみようと思ったのだが、どうしたことか、これがめちゃめちゃ美味しかったのでオススメさせてほしい!
・江戸時代から続く七味唐辛子とのコラボビール
そもそも八幡屋礒五郎の『七味唐からし』は江戸時代より作られているのだという。
スーパーで販売されている安い七味が100円前後であるのに対し、八幡屋礒五郎製は400円前後と高級品。しかしそれに見合う香り高さがあり、筆者は数年前より愛用している。
本題からは外れてしまうのだが、驚きなのが缶のデザイン。なんと大正13年(1924年)に描かれたものなのだそうだ。今見ても欠点が見つからないほど美しく整ったデザインで、おおよそ100年前に描かれたものとはまったく思えない。
ちょうど唐辛子のヘタの部分に振り出し口を重ねると開くようにデザインされているというのも素晴らしく美しい。
こうして並べてみると ビール缶のデザインは七味の缶に雰囲気を寄せつつもキャッチーで可愛らしく、お土産として手に取りたくなるように作られていることがわかる。
原材料は潔さすら感じるほどシンプル。麦芽、ホップ、七味唐辛子! 以上3点のみである。
こうなると心配になってくるのが味だ。
ピールに七味が浮かんでいるだけだったらどうしよう? もしかして飲む前に振らなければいけないんじゃないか?? パッケージを隅から隅まで読んでみたが、むしろ衝撃はNGということらしいのでますます中の様子がわからない。
・意外! ビールとしてのレベルが高すぎる
考えるより先に行動をすべきと偉い人たちが言っているのを聞いたことがある。ということでササっと開封して飲んでみよう、案外美味しいかもしれないし。
プシュッとな。
……?
あれ??
ちょっとオレンジがかっているような気もするが……意外にも一般的なビールにかなり近い色だ。そして香りも普通のビールっぽい。
いざ、いただきます!
…………。
……あ、これは旨いわ。
信じられない話なのだが、本当に旨いのだ。そもそもビールとして明らかに味のレベルが高く、良い意味で裏切られた気がするほどだ。
ひと口目にはホップの爽やかな香りがあり、「透け感」と表現したくなるような澄み渡った味がある。霧ヶ峰の伏流水と上諏訪温泉水を使って作られているということで、美味しい水を使って作られたお酒は美味しいっていうことなんだろう。
七味はアクセントとして、主に後味に感じる。
喉の奥にほんのりと唐辛子のあたたかさがあり、鼻にスッと陳皮や山椒などの香りが通る。筆者はかなりの辛党であるが、辛さは控えめに感じた。辛い物が苦手な方でもビールとして最後まで美味しく飲めるはずだ。
エール系のビールということでスッキリしたい夏向けではないかと思っていたのだが、なんとなく身体がポカポカするようで 冬にいただくにもピッタリであろう。
アツアツの鶏出汁鍋と一緒に飲めば……想像するだけでよだれが垂れそうだ。
七味唐辛子とビール。意外過ぎる組み合わせだが、ネタだと思って舐めてかかるとカウンターパンチを喰らうに違いない。これを信州土産にもらうことがあったならば、小躍りして喜ぶぐらいにかなり気に入ったぞ。
参考リンク:麗人酒造オンラインショップ
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.
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