
9月某日、集英社「少年ジャンプ+」編集部が、あるWebサービスをリリースした。「World Maker」といい、セリフを入力すると自動でコマ割りしてくれ、無料素材を組み合わせるだけでマンガの設計図ともいえる「ネーム」が作れるというものだ。
絵が描けなくても原作者として優秀な人はたくさんいるはず、ということでコンテストも実施中。新たな才能の発掘に集英社が本気を出している。
一億総マンガ原作者の時代が到来した……かと思いきや、筆者にとっては逆にマンガ家のすごさを思い知る事態になった。
・使ってみよう
作れるマンガは最大4ページの短編。スマートフォン専用の無料Webサービスだから、気軽に取り組むにはちょうどいいと思う。
今をさかのぼること数十年前、「りぼんまんがスクール」に投稿していた筆者。うろ覚えの記憶だが、全応募者はA・B・Cクラスに分けて紙面でペンネームが発表される。同じクラス内でも♥や♣などの記号が付されて、その人の課題が示される。
筆者は毎回「とりわけ絵が問題」マークがついていたので、「絵さえ描ければ、人気マンガ家になれるのになぁ」と思ったものだった。まぁ、最下位のCクラスだったので、お前が言うなだったわけだが。
でも今は、絵が描けなくても原作者になるという道が開けた!
作業の第1ステップとして、まずは脚本を書く。つまりはセリフやナレーションなど文字の部分を入力する。もちろん後から加除修正できるのでザックリでいい。
が、ここでいきなり、つまずいた。
「1コマ目にいくつセリフを入れるか」「1ページを何コマにするか」などの全体的な構成は第1ステップで決めなければならない。
つまり頭の中に、ある程度の設計図がないと作業が進まない! 4ページ分を頭の中だけで構成するのは相当に大変。ラクガキでも何でもいいから、この作業の前にひとつメモが必要だ。
そもそも、ちゃんとオチをつけたストーリーを考えるのが大変。そしてそのストーリーをマンガという様式に落とし込んで、視覚化することが大変。
頭の中で、相当に高度な変換作業を要求される。プロのマンガ家って、おそらくこれが感覚的にできる。そしてその原案を、何度も何度もブラッシュアップするのだ。マンガ家すごすぎ……!
誰だ「絵さえ描ければ、人気マンガ家になれる」とか言ったやつ。出てこい!
文字入力が終わったら第2ステップの自動コマ割りに進むのだが……よほどの空間認識能力や構成能力がない限り、多くの人はコマ変換してみて、脚本に戻って、またコマ変換してみて、脚本に戻って……という作業を繰り返すことになると思う。第1ステップと第2ステップを行ったり来たりするイメージだ。
コマ割りが固まったら次に進むが、後からこの作業には戻れないから慎重に決定。
・一気にマンガっぽくなる
いよいよ第3ステップ、人物や背景などのパーツを配置する作業だ。ここからの作業は、ほとんど迷うことなく直感的に可能。慣れれば、かなり思い通りの構図を作ることができる。これは楽しい!
数種類のオリジナルキャラクターが用意されていて、基本ポーズから小道具を使うポーズ、バトルポーズなど、いろいろな動きがある。
3Dモデル並み、とまではいかないが、なんと「フカン」や「アオリ」まで揃っているぞ。
イメージに合わない、という場合は「いらすとや」の素材も使用可。約1万6000点も収録されている。
背景は学校や街並み、はたまたファンタジー世界などの素材を自由に使える。美麗な背景を配置するだけで、一気にマンガらしくなるから不思議だ。
ほかにオノマトペ(擬音語・擬声語)や、集中線、スクリーントーンなどマンガの画面を構成するパーツが一通り揃っている。フキダシも丸くしたり四角くしたり、ある程度のアレンジが可能。
画面がどんどん「マンガっぽく」なるのはとても楽しい。工夫次第で、かなり複雑なシーンも再現できそうだった。
自前の素材もアップロードできるので、たとえばスマホで撮りためた写真を使えば、エッセイマンガっぽいものも作れた。商品レビューなどにも使える。これはイイ!
自由度はあまり高くはない。たとえば絵やセリフの配置・回転・拡大縮小はボタン制御なので、自由にドラッグできるわけではない。いわゆるペイントソフトほどの自由度はないから、あくまでスマホでちょこっと作業したいライトユーザー向けであることがわかる。
説明が前後したが、作成したデータはTwitterと紐づくため、最初にアカウントが必要だ。そして完成作品はそのままTwitterに公開できる。作成→公開までの流れが非常にスムーズな印象。とにかくたくさん作って、どんどん公開して欲しいという意図がうかがわれた。
・今後の展開は?
現状では「できること」を限定することで、シンプルな操作性や、誰でも最後まで進める確実さを追求している印象。個人的には、コマ割りの変更にもう少し柔軟性があるとうれしい。
しかし自由度を高めると作業が複雑になり、意図しない挙動も増えると思われるので、痛し痒し(いたしかゆし)か。
すでにTwitterに作品を公開しているユーザーも多数。ここからプロ原作者が出てくる未来も夢じゃないかもしれない。スマホひとつで本当に「マンガっぽいもの」が出来上がるのは感動。今後の展開に期待だ。
参考リンク:World Maker
執筆:冨樫さや
Photo:PR TIMES、RocketNews24.
ScreenShot:World Maker(iOS)
冨樫さや













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