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【検証】元店員の裏技「フライドポテトをシナッとさせずに持ち帰る方法」とは / あるいは「望んだ結果が欲しい」という実験者バイアスについて

2021年8月19日

いうまでもないことだが、フライドポテトは鮮度が命! どんなに急いで帰っても、テイクアウトしたものはシナシナのヨレヨレ。いかに美味しく持ち帰るかは人類共通の課題だ。

そんなポテトのテイクアウトに、オーストラリアの元マクドナルド店員が語ったライフハックがあるという。だれよりも商品をよく知る店員の知恵なら信憑性がありそうだ! 実際に効果があるのか検証してみたい。


・その方法とは

その方法とは、①紙袋の口を開ける、②ポテトを横倒しにする、③ハンバーガーなどを上にのせる、だという。多くの人が熱を少しでも逃がさないよう密閉したい心理になるが、それでは蒸気がこもって逆効果なのだそう。

ポテトを倒すのは、縦置きよりも熱が逃げにくくなるため。さらにハンバーガーをのせるのは保温のため。

さっそくMサイズのフライドポテトを4個購入。通常は紙袋の中に立った状態で渡されることが多いと思う。

多少の誤差はあるものの、中心部はすべて60℃前後であることを確認。火傷しそうだが、出来たてのラーメンの温度は70℃以上だというから嬉しい熱さである。

4つのうち1つは、通常どおり袋を閉じたまま、なにもせず帰宅。1つは袋は開放するが、ポテトは縦置き。1つは袋を開放して、ポテトを横倒しにする。

最後の1つは袋を開放した上で、ポテトを横倒しにし、ハンバーガーを重ねる。アドバイスをすべて実行した形だ。それでは帰宅!


・20分後、自宅に到着

それぞれ温度を測定してみたい。左から「なにもしない」「袋を開けただけ」「袋を開けて横置き」「袋を開けて横置きでハンバーガー」である。

なにもせずに持ち帰ったものは40.9℃。持ち運ぶうちに20℃も低下してしまい、ほんのり温かい人肌といったところ。「ぬるい」といわざるを得ない。

さらに袋を開放しておいたものは、37.8℃まで低下してしまっていた。廉価な温度計で測定位置も厳密ではないが、やはり熱が逃げるのが早いように思う。

一方で袋を開放し、かつ横置きにしておいたものは39.3℃。なかなかの好成績で、横置きには一定の効果がありそう。紙袋ごと横倒しにしておけば、さらに効果的だったかもしれない。

ただし紙箱の表面が冷たい。紙箱までほんのり温かい「密封」に対し、室温と同じくらいに下がっている。中心部の保温はいいとしても、外気にあたる周辺部は冷えているとみた。

最後に開封して横置きにし、ハンバーガーを重ねるというフルコースをしたもの。温度は41.3℃! 袋の口を全開放しているのに、紙箱にもぬくもりが残っている。これは密閉するのと変わらない温かさといえる!

ただし……ポテトを保護していたハンバーガーの表面は冷えている……。任務をまっとうして力尽きていた。ありがとう、キミの犠牲は忘れない。

温度に関する結論。ポテトを横倒しにし、別のホットフードと一緒に入れると、袋を密閉しているのと同じくらいの保温力がある。ただし、表側になっているもの(ポテトの外周やハンバーガー)はやはり外気に触れて冷えてしまう。一長一短である。

ここまでして袋を開放することに、果たしてメリットはあるのか? 肝心なのは味である!


・味や食感はどうか

まずはなにもせず持ち帰ったものだが、想像どおりカリカリ&サクサクはしていない。

続いて「袋を開放して持ち帰ったもの」を3連続で食べてみたが……やはり、サクサクはしていない。


繰り返すが、サクサクはしていない。時間が経過したポテトは、袋を密閉しようが開放しようが、やはりサクサクはしていないのである! この検証、失敗か……!!


ところが、である。


時間が経ったポテトのイヤなところは、個人的には「しなびた」感じであると思う。自宅で開封したポテトは最初こそクタクタと湿っているが、みるみるうちに水分を失って、モソモソと乾燥していく。かみ切れずに口の中に残る感触が気持ち悪いものだ。


それなのに袋を開放して持ち帰った方は、ポテトのほっくり感が残っているような印象を受けるのだ……!


非常に抽象的で主観的な感覚なので証明のしようがないのだが、トータルでは「美味しい」気がする。風呂上がりの肌や、竜宮城から戻った浦島太郎のように急激に水分が抜けて老ける、あの感じがないというか……。

しかし「ここまで検証したんだから結果が出て欲しい」という実験者バイアスがかかっている可能性も否定できない。実験者が「こういうデータが欲しい」と無意識に期待していると、被験者を誘導してしまったり、都合のいいデータだけ拾ったりして結果が歪むのだ。


どっちだ? どっちなんだ!?


ちなみにこのホクホク効果の持続時間には限りがあり、30分もするとすべて同じシナシナ食感になった。早めに食べれば食べるほど美味しいことに変わりはない。


・今回の結論

紙袋を開けて持ち帰ると、冷めやすくはなるが、代わりにポテトのホクホク感が残って美味しく食べられる「可能性」がある。

冷めないように横倒しにしたり、別のフードを一緒に入れるのは有効。もしかしたら温度と食感が両立するよう「紙袋をちょっとだけ開ける」のもいいかもしれない。

実際にそうなのか「気のせい」なのか自信がもてないので、ぜひみなさんの検証結果も知りたい。店を出た瞬間から勝負は始まっている。


参考リンク:FRONTROW
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.

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