ラーメン店を経営する人にとって、東京・池袋はハードな場所に違いない。いわゆるラーメン激戦区だからだ。今まで潰れた店が数知れないことを考えたら、「ラーメン店の墓場」という見方も成り立つだろう。
逆に言うと何年も生き残っている店は並大抵の努力ではないと思うが、そんなハードなエリアで異色の存在を発見した。なんと、「ぜんぶ冷凍食品のラーメンです」と開き直っているのだ。しかも、価格は1杯1000円前後。
……ちょっと意味が分からない。ラーメン激戦区をナメているのか、あるいはバカなのか。と、気になったので入店してみた。
その店は「らぁ麺Journey ショールーム」といい、期間限定の営業である。店にある冷食ラーメンをそのまま持ち帰ることも出来るし、スタッフに調理してもらい店内で食べてもOKとのこと。では、どんな冷食ラーメンがあるかというと……
支那そばや本店の『至極のかけそば(税込1102円)』、麺処 井の庄本店の『辛辛魚ラーメン(税込1058円)』、ドゥエ・イタリアンの『牛肉のハヤシそば(税込994円)』、中村商店高槻本店の『豚の旨味(税込1058円)』……などなど。
日本を代表する有名店の冷食ラーメンがズラリ。いわばラーメン博物館の冷食版みたいな感じである。
・なぜ激戦区にこの店が?
で、何より気になるのは、なぜラーメン激戦区で冷食ラーメンばかりのお店を出しているのかという点だが、入店した直後、スタッフが以下のように教えてくれた。
「『らぁ麺Journey』という通販サイトがありまして、その商品を扱っているお店です」
なるほど。ラーメン通販サイトの呼び水のための期間限定ショップだったのか。それなら納得。というか、考えれば考えるほどクレバーな気がする。
場所が場所だけに、ラーメン好きの目に留まりやすい。実際に私も、すぐ近くの「蒙古タンメン中本 東池袋店」が行列だったから他にないかな〜と近くをブラブラしている際に発見した次第。同じような人が多くいるに違いない。
また、ラーメン好きであればあれほど、この激戦区に冷食オンリーのラーメン店が1食1000円前後で出店していることは異質に映る。それだけ、宣伝効果がバッチリだ。
たとえ無謀な出店と思われても、逆にオイシイだろう。「激戦区に冷食ばっかのラーメン屋って(笑)」とか「商売ナメてる(笑)」なんてツイートしてくれたら、むしろ儲け物である。
もちろん、店からすると客がラーメンを食べて美味しいとなったら最高とはいえ、そこまで行かなくても存在を覚えてくれたら「仕込みはOK」的な感じではなかろうか?
詳しいことはよく分からないが、一見無謀な出店に見えて “やり手感” がビンビンに出ている気がするぞ。
・食べてみた
ちなみに、私は「町田汁場 しおらーめん 進化本店」の『至極のしおらーめん(税込1036円)』を白ネギトッピング(無料)で注文した。実際に食べてみたところ、そつなく美味しい。「冷食ラーメンですよ」と言われなければ分からないのではないか。
まあ、周囲の店舗が提供している非冷食のラーメンより上かと聞かれたら微妙なところだが、「最近の冷凍もんは美味しくなったんだな〜」という印象を抱く人は多いに違いない。そして、そう思わされた時点で店の勝ちである。
なお、お店の営業は先述のとおり期間限定で、2021年7月1日まで。ラーメン激戦区でわざわざ冷食ラーメンを食べる稀有な経験がしたい人は、それまでにどうぞ。
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 ラーメンJourney ショールーム
住所 東京都豊島区東池袋1丁目23-5新大同ビル1階
時間 11:00~20:00
期間 2021年6月25日〜同年7月1日
参考リンク:ラーメンJourney
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.
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▼ちなみに、店内飲食でもトッピンングは可能。基本有料だが、白ネギは無料だ
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