飲食業界にも多大な影響を与え続けているコロナ禍。立ち食いそば屋も例外ではなく、コロナ禍が始まってから名店が何軒かなくなっている。

一方、そんな中で産声をあげる立ち食いそば屋も。西武池袋線江古田駅の駅前にある『のじろう』は2020年12月15日にオープンした立ち食いそば屋。なぜこのタイミングなのか? 店長に話を聞いてみた。

・メニュー

江古田駅の北口を出て、短い商店街を歩くと、真新しい木の外観の店が目に飛び込んでくる。「のじろう」と書かれた大きな黒い壁掛けはラーメン屋のようだが、その下には肉そば・肉うどんの文字。

入店してみると、確かに立ち食いそば屋であり、券売機には「肉そば(500円)」の他にも、「かけそば(300円)」「コロッケそば(400円)」「かき揚げそば(460円)」「唐揚げそば(460円)」などのメニューも。価格帯も立ち食いそばである。さらには、トッピングで「肉増し(150円)」があったので、私(中澤)は、肉そばを肉増しで注文してみた。

・肉そばには2種類ある

ところで、肉そばと言えば2種類の可能性がある。いわゆる港屋インスパイアのつけそば形式と、かけそばに肉が入っているタイプだ。外観から察するに、ここは港屋系だろうか? テーブルの調味料にラー油が置かれているし


と思いきや、出てきたのはかけそばタイプの肉そばであった。それにしてもこれは……


肉スゲェッ

肉増しトッピングしたとは言え麺が見えない。積み重ねられた豚肉はなかなかの迫力を放っている。食べてみると、柔らかくジューシー。そんな豚の旨味がつゆにも染み出していて、とてもコク深いのだが自然な甘辛さのため口当たりは良い。ちなみに、出汁は宗田、鯖、昆布の特製出汁なのだとか。

・店長に話を聞いてみた

麺は太めでしっかりした味わい。これは丁寧でなおかつボリュームもある良い肉そばである。そこで店長の三津田(みつだ)さんに話を聞いてみた。外観が新しいですが、オープンしたのはいつ頃なんですか?


三津田さん「昨年の12月15日です」


──個人店なんでしょうか?


三津田さん「いえ、オーナーが板橋の方で『ジローズテーブル』っていう町中華をやってまして。立ち食いそば屋としては初店舗ですね」


──それにしても美味しいんですが、三津田さんは他でそば屋をやられていたりしたんですか?


三津田さん「ありがとうございます。実は、小伝馬町の『田そば』と板橋の『中島商店』で修業して完成した味なんです」

──『田そば』でしたか。しかし、なぜコロナ禍真っただ中の時期に立ち食いそば屋を始めようと思ったんでしょうか?


三津田さん「まず、オーナーが立ち食いそば屋をやりたかったというのがあります。そこでオーナーと個人店を中心に食べて回って研究したんですが、繁盛しているところも見られまして。今でも勝算はあるように感じました」

──とのこと。オープン時期を聞いた時は、勇気の一歩であるように感じたが、自信の一歩でもあったようだ。その言葉が示すように、昼時の『のじろう』は盛況で、すでに常連客もつきはじめている。

事実、近所にあれば通ってしまいそうなコスパ。しかし、それでいてどこか漂う上品さは、まさに『田そば』のバランス感覚を感じる。立ち食いそば不毛の地・江古田に新たなる光を見た。

・今回紹介した店舗の情報

店名 のじろう
住所 東京都練馬区小竹町1-57-5
営業時間 8:00~19:00
定休日 日曜日

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.


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▼試しに、ラー油を入れてみたところ、ピリリとしたパンチが加わりそばが進む

▼でも、そばっぽさが若干失われるので、ラー油INは好みが分かれる味のように思った

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