体が温まるチゲ。鍋というだけでも十分なのに、さらに唐辛子で真っ赤になっている。寒い時期でもポカポカ。芯から温まって額の汗すら心地いい。まさに完全冬用鍋である。
日本でもすっかりお馴染みとなった感じがあり、たとえば松屋とやよい軒は現在チゲメニューを販売している。両チェーンともに冬の風物詩となったメニューだが、高コスパなのはどちらなのか? 食べ比べてみたぞ。
・価格
松屋の「牛キムチチゲ膳」は税込み650円、やよい軒「チゲ定食」は税込み890円と240円差がある。私(中澤)の個人的感覚を申し上げると、いかにやよい軒がご飯おかわり自由とは言え、埋まらない価格差だ。
競馬に例えると、松屋がスタートダッシュをかましたと言える。さて、やよい軒はこの差を詰めることができるのか? 勝負どころの1つと見て間違いないだろう。
・松屋
まず、松屋で「牛キムチチゲ膳」を注文してみると、鍋というより汁系のおかずだなこれは。決して具が少ないという意味ではなく、ご飯用の器に注がれている感じが豚汁みたいなのだ。
ちなみに、生卵か半熟卵がついてくるはずだが、掲載の画像に卵がないのは店員さんが忘れたからだと思う。私も気づかなかったので別に良いのだが、本来は、ご飯、チゲ、みそ汁、卵のセットと考えていただければ幸いだ。
さて置き、松屋のチゲは結構しっかり辛かった。食べていると、舌がヒリヒリして汗が噴き出してくる。しかし、その辛さはコクのような深みがあり、ひと口つゆを飲むとゴクゴクといってしまうところはさすが松屋だ。
具は、「豆腐、キムチ+牛丼のアタマ」という感じ。まあ、具に関してはちょっと安さを感じるが、つゆの味自体は想像以上だった。
・やよい軒
続いて、やよい軒で「チゲ定食」を食べてみた。こちらはガッツリ鍋。入れ物はそこまで気にならない派だが、やはり鍋なので温かさがキープされるのはポイントが高い。
つゆの味自体は松屋の方が辛く強いように感じるが、それだけに豚肉、白菜、ネギの味が生きている。辛さの中にあることで、素材の旨味がよりクッキリ感じられるのだ。食べ比べないと分からない違いかもしれないが、やよい軒のチゲの辛さは、味を引き立て合うラインに設定されているように感じた。
・勝者
ひと口にチゲと言っても、ただ辛いだけではないんだな。厳しさがあるからこそ優しさが際立つ。このハーモニーこそ鍋なのかもしれない。勉強させられた気分だ。新たな知見を得るのに890円は安すぎたと言えるだろう。この勝負、やよい軒の勝ちだ。
とは言え、松屋のチゲもまた素晴らしかったからこそ、ここまで考えさせられる名勝負になったように思う。事実、鍋で650円は安い。唐辛子を効率よく摂取したい人は松屋だ。好みと用途に合わせて使い分けることをオススメしたい。
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.