アクションカメラが好きだ。もちろん遠い昔の1982年〜2003年まで発売されていた雑誌『アクションカメラ』も大好きだが、ここで言うアクションカメラとは、GoProをはじめとするウェアラブルカメラのこと。
なかでもGoProがお気に入りで、新作が出るたびに買い換えてきた。つい先日に発売された『GoPro HERO9 Black』も当然ながら購入済みだが、ほぼ同時期に興味本位で購入したカメラがある。Amazonで絶大な人気を誇る『Apexcam』だ。
・Apexcamとは?
なにせAmazonのレビュー数は4000以上もあるのに星4.5と圧倒的な高評価。それでいて価格は約5000円前後(私が購入したのは4980円で、2020年10月5日現在は5180円)なのだから売れて当然、もちろん「Amazon’s Choice」にも選ばれている。
だが、実際に商品を開封してみると、さらなる “圧倒的パワー” が購入者に襲い掛かる。付属品がとんでもなく充実しているのだ。
・まさかの「専用ケース」カブり
まずは偶然にも『GoPro HERO9 Black』と同じく、いい感じの専用ケースに全ての商品が収められている。発売時期的に考えると、逆にGoProの方が「パッケージそのものがケース」というアイデアを真似したのでは? と思うほど。しかし、そのケースを開けてみると……
Apexcamの方が笑うほど圧倒的なのだ。GoProのほうは至ってシンプル。本体やバッテリーやケーブルの他には、基本的なアタッチメントが1種類あるだけ。それに対しApexcamの方は……
本体、ケーブル、防水ケース、バッテリー×2、2つ挿し可能なバッテリー充電器、専用リモコン、ポールマウント、ヘルメットマウント、クリップマウント、三脚穴マウント……と、大盤振る舞いすぎるセット内容。これだけ入って5000円とか、本体だけならいくらなの? てな感じなのだ。
・スペックもヤバイ
スゴイのは付属品だけではない。本体そのもののスペックも「マジで?」ってなくらいの魅力的な数値になっている。ちょうどAmazonではおなじみの “やたら長ったらしい商品名” に、そのスペックや魅力が集約されているのでコピペしてみると……
……である。4KでSONYセンサー搭載のWiFi機能まで付いていて170度広角レンズだから防犯カメラにもなると! さらに説明書を確認してみると、「スローモーション、タイムラプス」はもちろんのこと、「ドライブレコーダーモード、ループ録画」にも対応していると!!
すごくないか? すごすぎないか? これで本当に映りが最高だったとしたら……確実にアクションカメラ界の歴史が動く! 価格破壊の大革命!! というか、もうすでに革命は起きているのかも!? なにせレビュー数は4000以上。たんに私が気付いていなかっただけという可能性も……!
・いよいよ比較
ということで、さっそく私は『Apexcam』と『GoPro HERO9 Black』を持って外に出た。下克上的な「夢」や「奇跡」を信じて外に出た。オリジナルの比較マウント「羽鳥システム(という名の単なる棒)」をひっさげて、映り、色味、画角、音声、手ぶれ補正を徹底比較してみた。
その結果……
……結果は無残なものだった。ハイテクの世界に「奇跡」や「夢」なんて無いと悟った。色も悪いし、音も悪い。どこかに置いての撮影ならばギリギリ実用にも耐えうるとは思うのだが、手持ちでの撮影はヤバいくらいの “ダイレクト手ブレ” であり、「比較してスマン!」という気持ちに。しかし、それと同時にこうも思った。
「ていうか普通、このくらい手ブレするよな……」と。
昔のカメラや、昔のスマホで同じことをしたら、このくらいグワシャグワシャとしたブレブレの映像になっちゃっていたよな……と。
最近のスマホやアクションカメラは最初から優秀な手ブレ補正の機能が付いているから、ここまでブレブレの映像になることは滅多にない。なので、いつしか忘れていたのだ。すっぴんに近い “手ブレ” の感覚を。
・手ブレが当たり前だった時代
ふと気になって昔の映像を探した。200〜300万画素くらいのデジカメを持って世界を旅したバックパッカー時代の映像が出てきた。なにせデフォルトで “音声” すらない映像。手ブレ補正なんてあるわけがない。ブレブレだったし、まるで隠しカメラのような画質の映像がそこにはあった。
でもなんか……味がある。あまりにも高性能なカメラのヌルヌルとした映像に慣れてしまったせいで、逆に昔の映像が新鮮に感じたりもするのだ。それはまるで、高性能な最新の3Dゲームには無い “味” を、カクカクのポリゴンゲームや、ドット絵のゲームから感じるように。
そう考えると、なんだか『Apexcam』が面白い存在に思えてきた。映りは悪いし、手振れ補正はないけれど、リアルにレトロなアクションカメラとして考えたら面白い。良い意味での「駄カメラ」ならぬ「駄アクションカメラ」とでも言おうか。素朴さを楽しむための存在というか。そんな捉え方をすると、なんだか許せる存在になってくるのだ。
・『Apexcam』の楽しみ方
いずれにしても、使い方によっては十分に活用できるだろうし、オモチャとして考えたら最高すぎるセット内容。どのように活用するのかを考えるのが『Apexcam』の楽しみ方なのかも知れない。
防水ケースを改造してバイク用のドラレコにしようかな? 2つ並べてVR用の映像を撮ってみるってのも楽しそう……と夢は広がる一方だ。あっ、「夢」は、あった!
参考リンク:Amazon、GoPro HERO9 Black
Report:GO羽鳥
Photo:RocketNews24