今年1年のことを、きっと誰もが忘れることができないと思う。本来なら東京オリンピックの開催に向けて街がにぎわっているはずだったのに、2021年に開催が延期になったばかりでなく、以前とは違う日常を送ることになってしまい、それもいつ以前のように戻るかもわからない。当たり前だったことが当たり前じゃなくなった。だからこそ、今ある日常を大事に過ごしたいと、私(佐藤)は考えている。
せめて、今の経験を手に取れる形で記録に残しておきたいと思い、レンズ付きフィルムの「写ルンです」で東京・新宿の街を撮影した。そして、カメラのキタムラで現像・同時プリントしたところ、同時スマホ転送サービスというものがあることに気づいた。これが結構便利で、QRコードを読み取るだけで瞬時に端末にデータの転送が完了するのである。
・手元に残したい
良くも悪くも、人間は忘れていく生き物だ。こんなに不便と感じる生活を送っているのに、1年後には確実に多くのことを忘れている。私はせめて、再び新宿に出かけられた日のことを覚えておきたかった。電車が動いていることも、喫茶店が営業していることも、スーパーやコンビニ、そのほか感染拡大の危険と葛藤しながら、それでも営業をしなければ生活できない。そんな緊張のなかで、お店や施設を守っている人がいる。だから、こうして出かけられるんだなって。そういう気持ちを忘れたくなかった。
スマホでだって撮影できるけど、フィルムで残しておきたかった。スマホの方が綺麗に撮れるのはわかっている。デジカメだって持ってるから、それでも問題はない。だけど、あのフィルムの風合いでプリントしたかった。だから、写ルンですを手に取った。
実際に撮ってみたところ、画角が狭くて上手く構図がとれない。どんな風に撮れているのかさえも、その場で確認できない。でもよかった。失敗したら失敗したで、そのことも思い出になるだろうから。27枚を撮り終えて、カメラのキタムラに行き、現像・同時プリントをお願いすると、約1時間で出来上がった。下手は下手なりで味があるというものだ。
・同時スマホ転送サービス
現像する時に、同時スマホ転送サービスというものがあることを知った。サービス料金は現像プリント代とは別に税込880円かかる。後ほど調べてみたところ、キタムラでは写ルンですに特化したこのサービスを、2017年5月から行っている。
利用は簡単だ。現像時に同時スマホ転送サービスに申し込んでおく。そして受け取りの時に、スマホに専用アプリ「moovin studio」を端末にインストール。アプリを起動して……
受け取り封筒に貼りつけられたQRコードを読み取るだけだ。
すると、瞬時に写真を端末で受け取ることができる。これがビックリするほど早い。
写真は記録として手元に残したい。SNSで友達にも見て欲しい。そういう需要にこたえたサービスではないだろうか。アナログとデジタル、両方の欲求を満たす良い仕組みだ。
記録として手元に写真を残しつつ、会う機会の少なくなった友達に共有したい人は、ぜひとも使ってみて欲しい。フィルムの写真にはどこかあたたかいものを感じる。