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オーディオブックサービス『Audible』と『audiobook.jp』を徹底比較! 両方利用していた筆者の結論は……

2020年4月9日

外出自粛でストレスフルな日々が続いているが、みんな眠れているだろうか? 寝つけない夜に決してやってはいけないことがある。 “ベッドでスマホ” だ。ブルーライトの影響など筆者も専門的なことはわからないが、眠れず退屈なのでスマホを見る → 目が冴える → 退屈なのでスマホを見る、という無限ループ。翌日は地獄で、今日こそは早く寝ようと思うのに、また夜になると同じことを繰り返して「眠いのに眠れない」という泥沼にハマってしまう。

似たような沼に陥っている人に熱烈にオススメしたいのが、就寝前のオーディオブックだ。 “耳で聴く本” であるオーディオブックは、童話や小説、ビジネス書などをプロのナレーターが朗読し、販売しているもの。ポッドキャストにも似ているが、紙の出版物を音声に起こしているものが多いので、より読書に近い。

国内のサービスでは『Audible』と『audiobook.jp』が大手で、ほぼ2大勢力と言ってもいいが、ぶっちゃけどちらがオススメだろうか?


・筆者の結論

結論から言うと、聴きたい作者や作品が決まっている人は『Audible』で、定額制でいろいろ聴きたい人は『audiobook.jp』だ! 月額料金や単品購入の価格という点で『Audible』はやや割高、しかし小説などの娯楽作品のラインナップは非常に充実している。聴きたい作品が1冊もないという事態にはならないはず。

一方の『audiobook.jp』はお得な「聴き放題プラン」があり、定額料金でいろいろな作品を聴けるので、ジャンルを問わず「つまみぐい」したい人、とにかくたくさん聴きたい人に向いている。ただし、サブスクリプションサービスの宿命として、「好みの作品がない」という問題は常について回る。筆者はしばらく『audiobook.jp』を使った後、希望の作品をあらかた聴き終えてしまって『Audible』に落ち着いた。

もし聴きたい作品が1〜2冊だけなら、どちらのサービスも月額会員にならず単品購入すればよい。その際は先に『audiobook.jp』で探し、次に『Audible』で探すことをオススメする。同じ作品でも『audiobook.jp』の方が安い場合があるためだ。以下、それぞれのサービスの特徴を解説していきたい。


・『Audible(オーディブル)』の概要(月額1500円)

『Audible』はAmazonが提供するオーディオブック配信サービスで、日本では2015年に始まった。料金体系は非常にシンプル。月額1500円を払い、コイン(と呼ばれるクーポンのようなもの)を1つ獲得する。このコイン1つで、オーディオブック作品1つと引き換えることができる。

オーディオブックはプロの俳優や声優がナレーターを務めているものも多く、1タイトル2000円〜3000円ほどと高価だ。しかも長編作品は分冊されてそれぞれに料金がかかる。しかし1コインで引き換えることができるのは、元の価格にかかわらず1タイトル(1500円を超えていてもいい)なので、場合によってはだいぶお得になる。6000円以上する「リーダーズパック(4冊セット)」でも1コインでOK。

もし同じ月に2冊目、3冊目が欲しくなった場合、残念ながらコインを追加する方法はない。(Amazonによると、今後「一定条件を満たしたお客様に対して3コインまとめてご購入いただけるなどの特典」を検討しているという)クレジットカードなどで単品購入することになるが、会員特典として定価の30%オフになる。

ちなみに、配信されているオーディオブックは、Audible会員でなくても普通に単品購入することができる。ただ、前述のとおり、リサイクルショップなら数百円で文庫本を買えることを思うと、びっくりするくらい単価が高い。月額会員になって1500円で1冊を引き換える方が得な場合が多いだろう。


・『Audible(オーディブル)』のよいところ

なんと言っても、Amazonをバックにした豊富な現代文学のラインナップが魅力。例えば「ハリー・ポッター」シリーズ、新海誠、角田光代、カズオ・イシグロ、ダン・ブラウンなど、ライバルの『audiobook.jp』では扱っていない “有名どころ” がたくさん取り揃えられている。

宮部みゆきなど、両者で扱ってはいるが作品数がこちらの方が多い、というパターンも散見される。そのため小説が好きで、読みたい作者や作品がはじめから決まっている人は、『Audible』の方が目的のものを見つけられる確率が高いと思う。

返品・交換サービスもユニークで、聴き始めた本がイメージと違った場合、365日以内であれば返品することができる!  “オーディオブックあるある” なのだが、耳元でささやかれるのに「声が合わない」というのは致命的。実際にレビュー欄では「ナレーターがひどい」という評価と「作品に合っている」という真逆の評価に分かれることがある。

そんなときに無料で別の作品に交換できるサービスだ。ただし、やりようによっては悪用もできてしまうので、趣旨を理解するよう注意喚起がなされている。


・『audiobook.jp(オーディオブック)』の概要(月額330円〜)

株式会社オトバンクが提供する『audiobook.jp』は、やや料金体系が複雑だ。会員種別は月額会員プラン(月額330円〜3万3000円)と、聴き放題プラン(月額750円)に分けられる。月額会員プランは、例えば会費550円を払うとボーナスつきで610ポイント付与され、610円分のタイトルを購入できるといった、漫画配信サイトによくあるシステムだ。

特徴的なのは「聴き放題プラン」で、月額750円を払うと対象タイトルが聴き放題になる。実用書やビジネス書が多いが、芥川龍之介、夏目漱石、太宰治などの近代文学もある。残念ながらというか当然ながらというか、最新作は対象にならないし、ナレーションの品質は玉石混交といった印象も受ける。しかしサブスクならではの何冊聴いても定額料金という安心感や自由度は何物にも代えがたい。


・『audiobook.jp(オーディオブック)』のよいところ

もちろん『audiobook.jp』でも1冊だけ、1回だけの単品購入が可能で、その場合は無料の「通常会員」として登録すれば月額料金はかからない。しかも同じ作者・作品なのに『audiobook.jp』の方が安いタイトルを割と目にする。

例えば俳優の堤真一氏がナレーターを務める『火花』(又吉直樹 著)は『audiobook.jp』で1320円なのに対し、『Audible』では30%オフの会員価格でも2450円(通常価格3500円)となっている。

出版社やナレーターが異なる場合も価格差がある。有名な自己啓発書『仕事は楽しいかね?』(デイル・ドーテン著)は、Audible Studiosという自社スタジオで制作した『Audible』版が1960円なのに対し、きこ書房制作の『audiobook.jp』版は1430円だ。しかも後者はセール時に半額近くまで割引されていた! 安い!

もちろん全てを比較したわけではないが、同じタイトルが両者で扱われている場合、価格を調べてみる価値はある。『audiobook.jp』での売れ筋は概ね2000円以下に収まっているが、『Audible』は2000円を優に超えるタイトルが多い。


・オススメの活用法

オーディオブックはなにも就寝時に限らず、通勤電車の中やエクササイズ中など好きなときに聴いてよい。しかし筆者がオススメするのは、やはり電気を消してベッドに入り、スリープタイマーをかけながら小説などの「物語」を聴くことだ。目を閉じることで光の洪水がシャットアウトされ、限られた聴覚情報からイメージが広がる。想像力が鍛えられるような気がする。

『audiobook.jp』の聴き放題タイトルから小説を1つ選ぶとすれば、『影踏み』(横山秀夫 著)を挙げたい。言わずと知れたミステリーの名作で、9時間近い再生時間なのでたっぷりと楽しめる。

『Audible』からはダン・ブラウンのラングドンシリーズがイチオシ! 『天使と悪魔』『ダ・ヴィンチ・コード』など映画化されたが、原作も軽妙な語り口で味がある。登場人物によって声優も変わるので、ラジオドラマのようにわかりやすい。先が気になって退屈するヒマがなく、かつ「集中して聴く」というのはそう長時間は持続できないので、すぐに夢の中だ。筆者はこれでだいぶ寝つきが良くなった。

月額1500円で1冊というのは決して安くないので、価格がなぁ……とは思うのだが、作者だけでなく、演者への対価という点ではやむを得ないところもあるのだろう。目下の悩みは「続きが聴きたいのに単品購入が高過ぎる……!」という点だ。どちらも初めての人には無料体験期間もあるので、興味があったら見てみて欲しい。良質な睡眠は健康の第一歩だ。


参考リンク:Audibleaudiobook.jp
Report:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:オーディオブック(iOS)

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