立ち食いそばチェーンの富士そばは店舗限定メニューが充実していることでも知られている。各店の店長が考案しているというメニューの数々は、オムライスセットなどの攻めた内容のものも多く、その個性は千差万別。富士そばファンでも全てを把握するのは難しい。
それなら、中の人に聞いてみよう。というわけで、富士そばの “中の人” に、2020年2月現在、人気の店舗限定メニューを聞いてみた！
・広報の工藤さん
話を伺ったのは富士そば広報の工藤さん。上記の質問をしてみたところ、「あっ！」という顔で1つの店舗を教えてくれた。なにか思い当たるふしがあったようである。
工藤さん「そう言えば、新宿店の店舗限定メニューが最近やけに調子良いですね」
──ほう。その店舗限定メニューとは？
工藤さん「唐揚げです」
──いやマジふざけんなし！ そりゃあウマイかもしれんが、そば屋のプライドはないのか？ この際、スルーしてしまおうかとも思ったが、職場から近いので念のため行ってみることにした。
・注文したら納得
新宿店の券売機には、確かに1番上の段に「俺の唐揚げそば・うどん（税込510円）」のボタンが。一応、そばだったことにホッとしつつ注文してみたところ……
唐揚げデッカ！
1枚の唐揚げが丼の半分を覆いつくさんばかりに横たわっている。その外見を見て納得してしまった。これが売れるのはなんか分かる。欲望が渦巻く街・大都会新宿において、みんな肉への渇望をこのそばで埋めているのかもしれない。
・味は……
さて置き、唐揚げを食べてみると鶏肉がちょっと冷たかった。秒速で出てきたため、なんか簡易的なヤツなのかもしれない。とは言え、衣はサクサクでつゆに浸せば中の鶏も温まって良い感じに。
そばと唐揚げの組み合わせは天ぷらとはまた違う良さがある。つゆを吸っても衣が形を保っており、噛むとジュワッと甘辛いつゆが染み出すのだ。鶏皮部分のカリカリした食感とそのつゆの味がマッチしていてウマイ。
また肉は幅が広いだけでなく厚みがあり食べごたえも満点。なんだかんだで満足度が結構高い。特に何も食べたいものがない時に「これでいいか」で選ばれそうな味だ。
・これぞ立ち食いそばなのかも？
誰もが毎食をこだわって食べているわけではない。私を含むそんな人は激ウマなものを食べる時に少し気を使ったりもする。その分気軽に注文ができて、そこそこの満足度があるこのメニューには、まさしく立ち食いそばの良さを感じた。
本格派からインパクト系まで群雄割拠の立ち食いそば業界だが、意外とヒット商品とは気軽さが大事なのかもしれない。「俺の唐揚げそば」にそんなことを教えられた新宿の夜だった。
・今回紹介した店舗の情報
店名 名代 富士そば新宿店
住所 東京都新宿区新宿3-14-25
営業時間 24時間
定休日 無休
Report：立ち食いそば評論家・中澤星児
Photo：Rocketnews24.