俗に “海のミルク” なんて呼ばれ方をする牡蠣だが、牡蠣を愛し、牡蠣に愛された私、P.K.サンジュンとしては、この件について一言物申さなければならない。牡蠣が海のミルクなんじゃない、牛乳が地上の牡蠣なんだ、と──。勘違いしてもらっては困る、世界は牡蠣を中心に回っているのだ。
それはどうでもいいとして、私としてはできれば毎日20個くらいの牡蠣を食べたいと願っているが、そのペースで高級食材の牡蠣さまを食べられるほど私の懐は温かくない。そんな時だった……アメ横で「生ガキ7個1000円」の立て札を見つけたのは──。
・価格破壊にもほどがある
家が牡蠣の養殖をやっている、もしくはお父さんがアラブの石油王でもない限り、毎日のように牡蠣を食べられる人は少ないハズ。オイスターバーに足を運べば1個800円どころか、1個1500円の牡蠣も決して珍しくない。小市民的には完全に予算オーバーである。
ところがどうだろう? 私が目撃した立て札には「生ガキ7個1000円」「焼ガキ7個1000円」と記されていた。牡蠣を欲するあまり私の脳が自主的に見間違えたのかとも思ったが、何度見てもそこには「7個1000円」の文字が。失われた20年があったにせよ、価格破壊にも程がある。
こう言っては何だが、牡蠣さまはリスキーなグルメとしても名高い。事実、私も過去に牡蠣さまにお当ていただいたことがあるが、その苦しみは「さすが王者の破壊力」としか言いようがなかった。端的に7個1000円なんぞ逆に怪しい。いや、怪しすぎる。
・海鮮浜焼 九寅
だがしかし、この程度で怯んでいては牡蠣さまへの忠誠心が疑われるというもの。牡蠣さまに殺(や)られるならば、むしろ本望……! というわけで、7個1000円の看板があったお店、アメ横の『海鮮浜焼 九寅』に朝10時から足を踏みいれた。
席についてオーダーしたのは「生ガキ7個」と「焼きガキ7個」の2つ。もちろん価格は両方とも1000円だ。つまり、牡蠣1個当たり140円ちょいという計算になるが、危険度はもちろんのこと、カキ自体のクオリティもそこまでは求められない。
なにせ1個140円ちょいなのだ。先述のようにオイスターバーによっては1個500円が最低ラインの店も少なくない。「どうせ小粒な牡蠣さまが出てくるんやろうなぁ~」……と思いきや。目の前に現れたのは……!
ドーーーーーン!
なんて立派な牡蠣さまッッ!!!!
マ、マジか……! むしろ「1000円でこんな立派な牡蠣を7つもいいんですか?」と恐縮してしまうほど、カキはどれも大粒である。味はもちろん最高ォォォオオオオオ! 牡蠣さまは牡蠣さまというだけで味の保証がされている稀有な存在である。異論は認めない。
・ヘブンだった
生ガキと比べると、焼きガキは焼いた分やや小粒であったが、それでも価格を考えれば十分に満足できた。なんて最高な店なんだ……! 最初は怪しいと思ったけど、ここは完全にヘブン……!! ありがとう、九寅さん。ありがとう、牡蠣神(かきがみ)さま。また寄らせていただきます……!
というわけで、7個1000円の生ガキは怪しい……どころか天国でしかなかった。当然、私のお腹に違和感はないことも記述しておく。さあ、慢性的なカキ不足にお悩みの諸君たち! 1000円札を握りしめてアメ横へGOだ!!
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 海鮮浜焼 九寅
住所 東京都台東区上野4-7-8 アメ横センタービル1F 53号
時間 10:30~23:00
休日 無休
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
▼単なる天国でした。ありがとうございました。