いつの頃からか、春先の名物メニューとなりつつある あさりうどん。その先駆けはみんな大好き「丸亀製麺」であるが、なか卯や はなまるうどんでも同様のメニューが展開されている。イイ、とてもイイ。美味しいメニューは店など関係なしに、どんどん広がればイイのだ。
2020年度、大本命・丸亀製麺の「あさりうどん」はまだ販売開始に至っていないが、はなまるうどんは2月4日から「はまぐりうどん」を、そしてなか卯は2月6日から『あさりうどん』を販売している。今回は以前の記事でご紹介した「はまぐりうどん」に続き、なか卯の『あさりうどん』をご紹介しよう。
・なか卯は弱小ヤクルト
丸亀・はなまる・なか卯をうどん基準で比べた場合、どうしても分が悪いのがなか卯である。丸亀とはなまるはうどんの専門店であり、方やなか卯は牛丼屋。名物の親子丼勝負ならばなか卯にアドバンテージがあるが、純粋なうどん勝負だとぶっちゃけ勝ち目は薄い。
これを野球チームで例えるならば、店内でうどんを製麺しているうどん専門店の丸亀は読売ジャイアンツ。店内でうどんは製麺していないものの、うどん専門店のはなまるは横浜DeNAベイスターズ。そして冷凍うどんで戦う牛丼屋のなか卯は東京ヤクルトスワローズといえよう。要するにそれくらいの戦力差があるということだ。
だがしかし、かつてヤクルトの黄金時代を築いた故・野村克也監督は「弱者には弱者なりの戦いがある」という名言を残した。なか卯のあさりうどんを食べて感じたのはまさにソレ。なか卯はなか卯なりの戦い方で「あさりうどん戦争」に挑んでいたのである。
・弱者には弱者なりの戦い方がある
うどんそのもののクオリティで、丸亀やはなまると勝負するのは難しい。あさりの大きさも丸亀よりは一回り小さかった。あさりの出汁だってそこまでの差は出しにくい。そこでなか卯が採用したのが「バター」である。
ご存じの方もいらっしゃると思うが、2018年度まで丸亀製麺では「あさりうどん」と並行して「あさりバターうどん」を販売していた。だがしかし、2019年からは「あさりバターうどん」の販売を休止し「あさりうどん」一本で勝負しているのだ。
言うまでもなく、あさりとバターの相性は最高でしかなく、どんな理由であれ丸亀がバターを放棄したことは愚策でしかない。そのバターを全面的に採用し、他社のあさりうどんと勝負できるまでのクオリティに押し上げたなか卯は、まさに “野村再生工場” である。
なか卯のあさりうどんは並盛で490円。確かにうどん自体のウマさは丸亀に劣るし、あさりが小粒な分、出汁の旨味も鮮烈とまではいかなかった。だがしかし、絶大なバター効果で商品としては “かなりウンまい” 一杯に仕上がっており、結果的に記者はスープを飲み干してしまった。これならまた食べに来てもイイ。
・まさにIDうどん
確かに丸亀のあさりうどんは絶大なウマさで、バターが無くても激ウマではある。だがしかし、圧倒的な不利を「弱者なりの戦い方」で戦い抜こうとしているなか卯の『あさりうどん』もまた素晴らしいではないか。なか卯は自分たちの立ち位置がわかってる──。
というわけで、なか卯の「あさりうどん」もかなり美味しいから、気になる人はぜひ1度ご賞味いただきたい。そしてもう間もなく大本命・丸亀製麺のあさりうどんが登場する見込みだが、今年は果たして──。春先の「あさりうどん戦争」から目が離せない。
参考リンク:なか卯
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.