大人になると避けて通れないものがいろいろあるが、その1つが健康診断だ。会社勤めであれば、だいたい年一で受診しなければいけない。ちなみに記者(私)は、人生で初めて健康診断を受けてきたばかり。なぜ30代半ばの今になるまで受診したことがなかったのか、それは……
これまでフリーランスだったことで、なんだかんだ先延ばしにしていたから。だって健康診断ってなんか怖いし、胃のレントゲンを撮影する際に飲むバリウムなんてめっちゃマズいって聞く。何なら、健康診断せずに悪いことを知らない方が長生きするなんて話も聞く。何かと理由をつけて避け続けてきたのだ。しかし、ついに時は満ちた──。
・バリウムに対する恐怖
昨春から会社勤めになったことで、今年は漏れなく健康診断の案内をプレゼントされたのである\(^o^)/
それすなわち、恐怖のバリウム飲みも確定っ……! もう逃げられないっ……!!
ヤダよぉ……コワイよぉ……と思いつつ、そうと決まれば腹をくくるしかない。ただ、私はとにかくバリウムに対する恐怖が人一倍。何しろ、社内の人間に「初バリ」ということを伝えると脅される日々が続いた。例えば……
「バリウムは人が飲む液体じゃない」「バリウム後には下剤を飲む」「バリウムが体外に出ないとヤバいことになる」「前日から長時間、飲食ができない」「途中でゲップしたら最初からやり直し」
……などなど、経験者であれば当たり前だろうが、ここまでいいことを聞かないものも珍しい。体に入れて出てこなければヤバいって、もはや「バリウム=地獄」。これにより私の恐怖メーターはMAXどころか振り切り、検査日へのカウントダウンは震えるしかなかった。
・人生初のバリウム
さて、そんな経緯もあってろくに眠れず迎えた当日、検査着に着替えると健康診断が始まった。最初こそ身長や体重など簡単な検査だが、徐々に高まる緊張感……そしていよいよ運命のバリウムタイムがやってきた。
担当の方から「バリウムは初めてですか?」と聞かれ、念入りに検査の流れを教えてもらう。まずは胃を膨らませるという顆粒(かりゅう)を飲むのだが、ゲップ禁止だと伝えられて我慢する。うんうん、ここまでは予習していた通りだ。
顆粒はまだいい。あれは少し甘い味がしたし、飲みやすいようにしてあるんだなぁと思ったくらいで、これといって苦になることはなかった。しかし、問題はバリウムを飲んでからである。意を決して飲むと……
正直、一口目は死ぬかと思った。これって、人が飲んだらダメなやつ!!
一言で表すならば「ヌチャァ」だ。担当の方から「頑張って飲み込んでください」とは言われるものの、脳が拒否してなかなか喉を通らない。最終的には飲み込んだが、喉を通るバリウムは気持ち悪いものでしかなかった。
飲み終わると台に乗せられ、手すりを握って……言われるがままに宇宙飛行士の訓練みたいな動きをして……と、正直そこからは必死でほとんど覚えていない。気がついたら下剤を飲んで、お腹をさすりながら会社へ向かっていた。それにしても噂にたがわずバリウムは飲めたもんじゃなかった。
・バリウム好きもいる
しかしながら、この世の中は不思議なものである。というのも、あのバリウムが好きな人もいるのだ。そう、当編集部の中澤星児もその1人。
検査当日、死ぬ気でバリウムを飲んできたと中澤に話したところ……
えっ、バリウム美味しくないですか?
僕、めっちゃ好きなんですよね(^ ^)
エッー! マ、マジカヨマジカヨ……。思わずネットで「バリウム 好き」「バリウム 美味しい」とか検索してしまったが、どうやらそういう人は存在するらしい。人の好みはそれぞれとはよく言ったものだが、まさかバリウムにまで当てはまるとは……。
ともあれそれから2週間ほど経ち、検査結果が送られてきて悪いところは見当たらなかった。今は安心感があるが、来年もまたバリウムを飲むことを考えると憂鬱になる。健康のためと分かっちゃいるが、私にとって人生初のバリウムは少しばかりキツいものであった。あれに慣れる日はくるのだろうか。医学のさらなる進歩を強く願う。
Report:原田たかし
Photo:RocketNews24.