冒頭からブチかますが、この記事の終盤にはガチ奇跡が記されている。ちょっと普通では考えられないことが起きてしまったので、ありのままを隠さずにお伝えしたい。
今回 “ディズニーマニア” こと田代大一朗がインタビューしたのは、2019年11月22日に公開される映画『アナと雪の女王2』で監督を務めた「クリス・バック」と「ジェニファー・リー」の両名である。会場へ向かう途中、ディズニーマニアも気づいていなかったハズだ。ほんの少し未来に起きる奇跡のことを──。
・ディズニー愛は届くのか?
ディズニーを愛し、ディズニーに愛された男、それが当編集部の田代大一朗だ。ウォルト・ディズニーのことを友達のように「ウォルト」と呼び、全ての女性を「プリンセス」と信じ切っている田代。「そう信じると自分もプリンスにならなきゃって思えるんです☆」と語るピュアオーラ全開の33歳である。
映画『アナと雪の女王2』で監督を務めた「クリス・バック」と「ジェニファー・リー」。爆発的大ヒットを記録した前作でも共同監督を務めた超大物監督2名に、ディズニーマニアのディズニー愛は届くのだろうか?
・アナ雪2の世界の色には意味があった
──まず初めに言わせてください。こんな美しい映画を作ってくれて、ありがとうございます。映画の温かさと意味深さに、本当に感動しました。
ジェニファー「そんなふうに言っていただいて、こちらこそありがとうございます」
──それでは質問させてください。この映画を観たとき、森の風景や魔法の表現など全てのシーンが美しくて魅了されました。
クリス「なるほど」
──そこでお聞きしたいのですが、この美しいアナ雪の世界を作り出すときに何か気をつけたことはありますか?
クリス「そうですね、いくつかあります。まず今作ではキャラクターたちの変化や成熟を描いており、それを表現するには秋という季節がふさわしいと思いました。秋を舞台にすることで、キャラクターたちの内面で起きている変化を視覚化することができ、ストーリーがより伝わりやすくなると考えたのです」
──なるほど! だから秋の世界をキャラクターたちは冒険していくのですね。
クリス「そしてリサーチのために行ったノルウェー、フィンランド、アイスランドが美しい世界を作り出すインスピレーションを与えてくれました。そこの森は本当に魔法のようで、巨人が投げ落としたような巨岩も転がっていました」
──そんな場所が現実世界にあったとは。
ジェニファー「それからアートデザイナーたちも素晴らしかったです。1作目の『アナ雪』では、フレッシュな雪を使ってキャラクターたちの純真さを表現していました。しかしキャラクターたちの成熟を描く今作では、人生がより大きく、より複雑になっていくのを表すかのように、より深くて、より力強い色使いがされています」
──色使いにまでそんな意味があったとは……さすが過ぎます。
・エルサの魔法がパワーアップした理由
──それでは次の質問です。今作ではエルサは氷の魔法を使って、さまざまな人を結びつけていきます。これを観たとき、思ったのです。氷は “つながりの象徴” ではないかと。
ジェニファー「そうなんです」
──例えば氷河の氷は、その内側に秘めている情報という名の記憶を次の世代に伝えることで、さまざまな世代の人々を結びつけることができます。そして氷が雪という形で空から舞い降りてくるとき、人々は家でみんな一緒に寄り添い合ったり、暖をとるために手をつないだりしてつながります。
クリス「そうですよね」
──そこでおふたりにお聞きしたいのですが、この映画を作り終えた今、氷に対してどんなイメージを持たれていますか?
ジェニファー「あなたがすでに美しく言葉で表現してくれました。私たちは、水の記憶の保持について論じたある研究に出会い、より深いところの氷河の氷を調べれば、より多くの歴史の情報を得られることを知りました」
──氷から学べることは多いんですね。
ジェニファー「そして私たちは、エルサが水や氷とつながっていることに気づいたのです。今作でエルサの魔法をただ単純に強くすることもできました。しかし彼女の氷の魔法が過去と現在をつなぎ、そして人々をつなげられると気づいたとき、彼女の魔法の本当の強さを知ることができました。彼女の強さはずっとそこにあったんです。私たちがそれに気づいていなかっただけなのです」
──エルサの本当の力はずっとそこにあった……。
クリス「ジェニファーが言ったように、今作でエルサの魔法をただ強大なものにすることもできましたが、それでは1作目と同じになってしまいます。エルサは自分の魔法と感情的につながることで、本当の力を発揮できるようになる。これに気づけたことが、私たちにとって非常に大きな意味を持っていました」
──エルサの魔法が強くなった理由はまさに “つながり” なんですね。
・アナも魔法が使える!?
──それでは次の質問です。私はアナもとても強力な魔法が使えると思っています。それは彼女の人々への愛です。
ジェニファー「そうです!」
──どんなことが起ころうとも、アナは人々を信じ、人々のために全力を尽くします。そうやって不可能を可能にし、みんなを救っていきます。私はこれを紛れもない魔法だと思っているのですが、おふたりはこの現実世界に魔法があると思いますか?
クリス「あなたがおっしゃったことは、私たちが長い間ずっと話し合ってきたことと通じるものがあります。そのことについて私たちはいつも語り合っているのですが、すごく記憶に残っている出来事があります」
──どんな出来事ですか?
クリス「あるとき、ある少女が私のところにやってきました。その少女は私が『アナ雪』を作った人だと母親から聞いていて、私にこう話してきたのです。『明日学校で友達と一緒にアナとエルサごっこをするんだけど、友達はエルサ役で、魔法が使えてとっても強いの』と。そしてその少女はどこか不安げに尋ねてきました。『アナの力は何なの?』」
──(ゴクリ)
クリス「『それは彼女の愛だよ、愛こそアナのスーパーパワーなんだ』と答えたところ、少女は目を見開きながら『ワーオ!』と反応し、次の日が待ちきれなくなっていました」
──なんて素敵なエピソード!
クリス「でもあなたがそのことを分かってくれていて、とても嬉しく思います。愛はすごくシンプルなことに見えますが、非常に力を持ったものです。だからアナとエルサは素晴らしいチームなんです。エルサは自然と結びついている力を持ち、アナは人々と結びついている力を持っています」
ジェニファー「愛は、人間が持てる最善のものと言えるかもしれません。それは力であり、魔法でもあります。しかし我々は、それを当たり前のものとして捉えてしまうことがあります」
──きっと多くの親御さんが自分たちの子どもに、アナのようにその “魔法” を身につけてほしいと願っていると思うのですが、どうすればその魔法を身につけられるのでしょうか?
ジェニファー「行動することだと思います。人々を愛し、人々に寛大になることで、自分が世界をよりよい場所にしているのを見られますし、他の人々に希望をもたらしているのも感じられます。それは自分自身に力すらも、もたらしてくれます」
クリス「誰か困っている人がいたら、手を差し伸べ、その人に “誰かに愛されている” と感じさせてあげる。そういった思いやりのこもったシンプルな行動が大切だと思います 」
──日頃のひとつひとつの行動が愛につながるんですね!
・世界トップクリエイターの次の挑戦とは
──それでは最後の質問です。おふたりはこれまで数々の名作を作ってこられてきて、いま現在アニメーション業界のトップにいらっしゃいます。そこでお聞きしたいのですが、おふたりの次の挑戦とは何ですか?
クリス「あるプロジェクトに取りかかる予定です。ジェニファーも助けてくれる予定です(笑) 」
ジェニファー「本当にワクワクするプロジェクトなんですよ!」
クリス「まるで夢のようなプロジェクトなんですが、詳細はお伝えすることができなくて」
──伝説的なディズニークリエイターであるクリスさんが夢のようだとおっしゃるんですから、相当すごいプロジェクトなんでしょうね! 楽しみです!
ジェニファー「私はクリスと違って、すごくディズニー的な挑戦なのですが、この18カ月間新しい役職であるディズニースタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めてきました。ストーリーを書く側から、他のクリエイターたちの手助けする側に回れることを楽しみにしています。でもとりあえずは今作が公開されたら、私たち二人ともちょっと休みます(笑)」
──しっかり休んでください! 今日はありがとうございました。そしてこの映画におふたりが注いでくださった全ての情熱や労力に対してお礼を言わせてください。本当にありがとうございました。
ジェニファー「こちらこそありがとうございます!」
クリス「そう言っていただき、ありがとうございます!」
序盤はやや硬かった両監督も、中盤からはかなりノリノリに。特に田代の「アナも魔法が使えるんだと思います発言」には、2人とも驚いた様子であった。まさにディズニーマニアの放った魔法の一言であろう。
・奇跡が起きた
インタビューも終わり、あとは写真撮影を残すのみ。カメラマンの私(P.K.サンジュン)は「彼のディズニー愛は伝わりましたか?」「彼はいつかディズニーで働けますか?」……などと声をかけながら2人の撮影をしていたのだが。おもむろにクリス・バックがスタッフに声をかけたかと思うと──。
オラフのイラストを描き始めたーーーーーーー!
「Daiichiro」ってサイン入りィィィィイイイイイイ!!
なんということでしょう。まさかのまさか、クリス・バック監督がごくごく自然に「オラフのイラスト入りサイン」をその場で書いてプレゼントしてくれたのだ。冷静に考えても「ディズニーマニアのディズニー愛が監督をつき動かした」と言えるのではなかろうか? すごいぜディズニーマニア!
この日、ほぼ丸1日監督に付き添っていた通訳さんも「2組目です。かなりレアです」と言っていたから、やはり監督にも思うところがあったのだろう。いずれにせよ、シンプルに奇跡でしかない。
というわけで、ディズニーマニアのディズニー愛が世界基準だったことが証明された今回のインタビュー。映画『アナと雪の女王2』は11月22日公開だ。
参考リンク:映画「アナと雪の女王2」公式サイト
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.©2019 Disney. All Rights Reserved.
▼予告編はこちら。
https://youtu.be/1KZpWMTUHVw
▼ディズニーマニアと「アナと雪の女王2」を観に行ったレビュー記事はこちら。
▼さっそく額縁に入れて飾ったそうです。
▼マジですごいぜディズニーマニア!