電気街にしてアニメの聖地である秋葉原。実は、この街は「食」についても激戦区である。一歩路地を入れば、カレー、ステーキ、中華、そばとなんでもござれ。
ネットやテレビで話題の店も多いが、実際に店に通ってみなければ分からないこともある。そこで、秋葉原に20年以上勤めている人にオススメ店を聞いてみた。
・パウエル秋人さんの紹介
以前の記事で、秋葉原に10年以上勤める30代サラリーマン・パウエル秋人(あきひと)さんのオススメグルメをご紹介した。いずれも、一食の価値ありな店であることはお伝えした通りだが、パウエルさんいわく「自分はまだまだ雑魚」なのだとか。
パウエルさんの知り合いには、20年以上秋葉原に勤めている人物がいるという。そこで、私(中澤)はその人物に接触を試みた。
・ジェフ秋達さん推薦
「顔出し名前出し無しなら」という理由でインタビューに答えてくれたのは仮名・ジェフ秋達さん。童顔のため、とても年上とは思えないが、間違いなく秋葉原20年選手だという。そんなジェフさんをもってして「なかなか食べられないけどウマイ」と言わしめるランチがある。
『割烹たなか』の鮪丼だ。雑居ビルの最奥という分かりづらい立地にあるにもかかわらず、12時過ぎには売り切れていることもあるというこの店の鮪丼。ジェフさんいわく「昼休みに行ってもなかなか食べられない」という。
・オープン直後に満席
海鮮居酒屋をメインとしつつ、平日11時30分から売り切れるまでランチを提供しているこの店。さっそく、オープン直後の11時40分に行ってみたところ店内はすでに満席だった。
店の前で席が空くのを待っていると次々と客がやって来る。私の後ろに並んだ人はどうやら何度か来たことがある人のようだ。そこで話を伺ってみると、やはり「人気で食べられないことも多い」とのこと。まさに幻の逸品……!
そういう話を聞くと、より食べたくなるのが人情というものである。鮪丼へのモチベーションが上がりきったところで店内に案内された。
・ランチメニュー
ランチメニューは、「刺身定食(税込950円)」「鮪丼(税込950円)」「魚がし丼(税込950円)」「焼き魚定食(税込880円)」「生姜焼き定食(税込880円)」の5種類。他の客のメニューを見ると、人気は「魚がし丼」と「鮪丼」が二分しているようだ。
私はもちろん「鮪丼」を注文。一体どんなものが出てくるのか? ワクワクする反面、一抹の不安も頭をよぎる。それは「この期待感に見合うものが出てくるだろうか」ということ。
・鮪丼登場
グルメライターをやっているとオススメの店を紹介されることも多い。しかし、前情報で期待して行ったら、期待外れだったというケースもまた多いのだ。まして、今私の期待感は限界突破している状態。何が出てきてもある意味期待外れなんじゃないだろうか?
だが、運ばれてきた鮪丼を見て私は言葉を失った。
マグロ分厚ッ!
ご飯が見えねェェェエエエ!!
別にご飯が少ないわけではない。丼にしっかりと盛られている。だが、そのご飯も隠れるほどに分厚いマグロが丼に折り重なっているのだ!
そんなマグロをひと切れ食べてみると、柔らかい身で口がいっぱいになる。頬張るとはこのことか。ジューシーな身の弾力を感じると同時に、なめらかな魚の旨みが口の中で弾けて広がる。ウンマッ!!
なんならこの切り身1個ですでに満足。だが、まだまだマグロたちのパーティーは終わらない。おいおいお前らアメリカのセレブですかァァァアアア!?
・幻のワケ
興奮しすぎて意味の分からないことを言ってしまった気がするが、それほどに激ウマなこの鮪丼。グッドどころかエクセレントだ。
期待に応えるどころか、想像以上を行く姿勢はプロフェッショナルの鑑である。鮪丼にしておくには惜しい。こりゃあ幻になるはずだぜ!
・今回紹介した店舗の情報
店名 割烹たなか
住所 東京都千代田区神田佐久間町1-16
ランチ営業時間 月・火・木・金11:30~売り切れ次第ランチ終了
定休日 土・日・祝
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.