『二郎系』『二郎インスパイア』と呼ばれるラーメン店が次々と生まれる昨今だが、いざ食べに行ってみると「……な~んか物足りないんだよなぁ」と不完全燃焼に陥ることが少なくない。というか本家の「ラーメン二郎」でさえ、店舗によっては “コレジャナイ” と感じることもあるのが、これまたツライ。
そんな私とジロリアンたちに朗報! ラーメン二郎直系の老舗・目黒店で修行を積んだ方が新店をオープンしたとの情報が舞い込んできた。期待マシマシで開店初日に突入したぞ~!
・目黒二郎発「スピンアウト系」
訪れたのは、古着や雑貨、そして「演劇の街」で知られる下北沢。隠れたラーメン激戦区ではあるものの、「二郎」不毛の地……と見せかけて、隣町の新代田にはすでに「ラーメン二郎 環七新代田店」があり、多くのジロリアンたちの腹を満たしている。
いわばジロリアンのテリトリーとも言える、ここ下北沢で7月26日にオープンしたのが「らーめん玄」である。「ラーメン二郎 目黒店」で助手を務めていた方が独立し、開店したようだ。
店先の看板には『インスパイア系? NO! 「スピンアウト系」なんです!』とある。 “インスパイア” というほど本家「二郎」との関係は薄くないものの、直系の「のれん分け店」でもない、いわば独立ブランドということだろうか?
ともかく狭い路地裏の道を進んでゆくと、お店の前に到着。開店祝いの花の香りと、店内から漂ってくるニンニク臭が混ざりあって、ある意味 ”異様” なスメルがその場に立ち込めている。俺が死んだら棺桶にはこの匂いを充満させてほしい。
店の外に設置されている券売機を見てみると、「小の小らーめん(650円)」という珍しいメニューがあったので、今回はそちらを購入。麺200g、豚(チャーシュー)は1枚とのことだ。
・コレが「小の小らーめん(650円)」だ!
入店後、8席ほどのカウンターで待っていると店主から「ニンニク入れますか?」の確認が入るが、今回は “お手並み拝見” の初訪問なので「ニンニクだけ」をコール。すると、ついに「小の小らーめん」が登場!
ちょ……『どん兵衛』の天ぷらかな? と見間違えるほどのニンニクの量。「ニンニクだけ」のコールで、この量!? 完全に「ニンニクマシマシマシ」の量だろコレ! と、のっけから翻弄されながらも、心の中でガッツポーズをとるニンニク大好きMANの筆者。
しかも「豚1枚」のはずなのに「2枚」入っているし! ちょっとした煮卵ぐらいのブ厚さだし! ニンニクといい、いきなりブレすぎでしょ(笑)だが、こういうブレ(嬉しい誤算)をカマしてくるあたりが、実に「二郎イズム」を感じて良いぞ~!
──いや、“ブレ” と言ったが、今回が初訪問。コレがこの店のスタンダードなのかもしれない……。
スープは、表層に液体脂が浮いている ”非乳化系” のスープで、目黒店のそれをしっかりと継承している。すすってみると……うむ。シャープな醤油の味が口の中に切り込んできます。表層脂のおかげで、スープの温度がアツアツに保たれている。
続いてヤサイだが、9:1で「モヤシ」が多めの配分。個人的にはもう少しキャベツが欲しいところだが、モヤシはシャキシャキとしていて好(ハオ)です。量も「マシ」にしなくても充分なボリュームだ。
で、おそらく前前前世が「煮卵」の豚は、肩ロースと思われる大ぶりのモノ。ほどよくタレがしみていてジューシーです。
そして、主役の麺。持ち上げてみると平打ちタイプで、ゆるやかなウェーブを描いている。さらによく見てみると、麺に細かく傷が入っているが、おそらくスープを絡みやすくするために “あえて” そうしているのだろう。
デフォルトで硬めのゆで加減だが、それでいてモチモチとしている。噛むごとに小麦粉の味わいが広がり……う~ん、これこれ! これぞ、二郎!
・ビギナーは「小の小らーめん」(ニンニク少し)でいっとけ
前述のとおり、「小の小らーめん」の麺の量は200gだが、一般的なラーメンは大体120~150gと言われている。つまり「小の小らーめん」は事実上、そこらへんのラーメンより1.5倍増しのボリュームだということだ。
また、トッピングに関してもサービス精神マシマシのオフェンス型のようなので、この手の店に初めてチャレンジされる方は、「小の小らーめん + ニンニク少し」をオススメする。
『インスパイア? NO!』だが、『ジロリアンでも満足できる? YES!』なスピンアウト店、ビギナーも玄人も一度足を運んでみてはいかがだろうか。
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 「らーめん玄」
住所 東京都世田谷区北沢2-28-7-103
時間 11:30~14:30 / 17:00~21:00
休日 水曜、ほか不定休
Report:ショーン
Photo:RocketNews24.