ロケットニュース24

新婚旅行中に『バイアグラ』を渡され「不要だ」と啖呵を切った話 / あるいは極上の異国体験

2019年6月17日

最初に言っておくが、それは1種のジョークグッズ的なもの。私が新婚旅行でポルトガルを訪れたときに見つけた……というか、レストランの店員さんが、私のテーブルの上に突然置いたのだ。トップの写真にある通り、「Viagra(バイアグラ)」と書かれたビンを。


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「もしかして、ポルトガルにはViagraって名前の調味料があるのか?」 そんな間抜けな考えが一瞬頭をよぎったが、店員さんの少年のような笑顔両腕を使ったジェスチャーを見て、私は意味を悟った。そして同時に、異国に来た緊張感と疲れが一瞬で吹っ飛んだのだ。


・新婚旅行の初日の話

これは昨年の秋、私がポルトガル・リスボンに到着した日のこと。新婚旅行で同地を訪れた私は、その日疲れ果てていた。飛行機の中であまり眠れなかった上に、初めてのポルトガルで気を張っていたからだろう。疲労と緊張。その2つがピークの状態で、リスボンで初めての晩ごはんを食べることになった……が!

ほとんどリサーチせずに選んだお店だったために、それほど期待していなかった。「疲れて探すのも面倒くさいし、とりあえずホテルに近いレストランで何かお腹に入れておくか」くらいの感じだ。しかし、そこで……

まったくの予想外だった「バイアグラの洗礼」を浴び、私は極上の安心感に包まれることになった。なぜって、店員さんがバイアグラを出したことで、店内の空気が変わったのだから。みんなが1つになったのだから。「そういう笑いは誰もが好き」ってことを確認できたのだから。

それはまるで、世界共通の言語を見つけ出したような気持ちと言おうか。「文化が違っても人間は分かりあえる」「国籍や宗教、人種や肌の色なんて関係ない」「人類はみな兄弟」だということを、身をもって感じた体験だと言っても差し支えない。

あまりにも幸福だったので、私はその店員さんに「こんなもん俺には不要だ」と下手くそな英語で言い返した。すると彼は、「お前はもっと使え! 全体的にバイアグラを振りかけろ」と言い、またしても両腕を使って「こうなるぞ」的なジェスチャーをする。

それを見て、一緒にいた妻は笑った。近くのテーブルにいた人たちも笑っていた。みんなが笑っているのを見て、私はまたしても幸福な気持ちになった。「バイアグラって、これほどまでに周りを明るくするのか」と驚きながら。


・最高の接客

月並みな表現で恐縮だが、あの日のことは今思い出しても幸せな気持ちになる。そしてそうなる理由はやはり、店員さんの接客が最高に心地よかったからだろう(ちなみに、料理もめちゃくちゃ美味しかった)。

下から目線ではなく、同じ目線でのやり取り。”マニュアル通り” とは対極にある距離感。終始ふざけた言動(もちろん褒め言葉)。それでいて、飲み物が無くなったときにすぐ気づく観察力……。

早い話、彼は全体的にプロだったのだが、特に「バイアグラ」の使い方においてはまさにプロ中のプロだった。空気を読みながら、ここぞという場面でバイアグラを投下する仕事っぷりは、「バイアグラマスター」の称号がふさわしい。

きっと彼は知っていたのだ。「バイアグラ」が人の体を結びつけるだけでなく、人の心を結びつけることを。その場で会ったばかりの人たちの心を。文化的背景が全く違う人たちの心を。言葉が通じない人たちの心を。

執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

▼ちなみに、ポルトガルはこんなところに行ったよ。

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