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住みたい田舎ランキング総合一位! 鳥取市の『移住促進イベント』に行ってきた / 市長と地元出身の関取を直撃!

2019年2月4日

県知事を筆頭に何かとダジャレで町おこししがちな鳥取県が、今度は「鳥取にSUMO!」と呼びかけている。念のため説明しておくと「相撲」と「住もう」をかけているワケなんだね。

鳥取市が展開するこのプロジェクトの顔を務めているのは、蟹取ならぬ関取の大相撲力士・石浦関だ。石浦関は鳥取県出身者として53年ぶりの幕内力士となった。120キロの小兵ながら多彩な技で大きな相手を転がす相撲ぶりに、県民は狂喜乱舞しているのである。私などは親近感を持ちすぎて、たまに「親戚だったかな」と錯覚するほどだ。

そんな鳥取市が、石浦関をゲストに招いて都内でイベントを行うという。鳥取出身で相撲好きの私は、あわよくば関取の手くらい握れるかしらと期待しつつ出かけてみた。

・鳥取市が本気を出している

会場は浅草橋のレンタルスペース。休日返上で鳥取から駆けつけたという市職員の方々が、かいがいしくサービスのちゃんこを入場者に振舞っていた。

そればかりか鳥取名物の弁当、お菓子、海鮮や日本酒にビールまで、豪華グルメがなんと全て無料! さらにはカニや特産品のプレゼントまで! 鳥取市がこの日にかける意気込みが伝わってくる……!

この日私が飲み食いした総額、数千円は下らないだろう。大好物のかに寿司は鳥取の定番駅弁だ。ちょっとビックリしちゃうくらい酸味のきいたご飯の上に、散りばめられたカニのむき身……県民のソウルフードと言って過言ではない。

そんなかに寿司を「頼むから持っていってくれ」とばかりに、熱烈に来場者に配っている男性の姿が……。

よく見ると鳥取市長だった


・ガチ移住プロジェクトだった

鳥取県の人口は約55万人と国内最少で今も年々減り続けており、うち65歳以上の老年人口割合は30%を超えている。我が故郷が「消滅可能性都市」などと言われていることは悲しい。

「田舎だから」と自虐することはあっても「田舎だね」と馬鹿にされれば腹が立つ程度には故郷を愛しているし、鳥取がよいところだと思ってはいる。しかし、いかんせん仕事が少ないのである。求人が増えているという調査結果もあるそうだが、パートだったり最低水準の賃金だったりするものが多く、厳しい現状というのが体感だ。

そんなこんなで鳥取から東京に移住した身としては、その逆をやろうとしている人がいるなんて正直想像しづらい

しかし会場に設けられた移住相談ブースは開演前から賑わっている。聞き耳を立ててみると、どうやら鳥取に縁もゆかりもない人たちが相談に訪れている様子……えっ、マジで? 一体どうして?

イベントが始まり石浦関が登場したものの、ステージのセンターを務めるのは「鳥取市に移住した人」のほうで、のっけからガチ移住トークが繰り広げられている。真剣に聞き入る来場者たち。とても歓声など上げられる雰囲気じゃなかった……。

・なにも永住じゃなくていいのかもしれない

この日登壇したのは、神奈川から移住して自然保育の幼稚園を立ち上げた女性、実家の農家を継ぐためにUターンした男性など。子育ても農業も専門外で実感がわかないけれど、都会ではできないビジネスを成功させた人たちが「鳥取最高!」と言っていることには信憑性があるし、県出身者として「ありがとうな」という気持ちになる。

田舎の人間関係がドロドロしているというのはよく聞く話だが、移住者の皆さんいわく「自分が住んでいるところは全然そんなことなかった」のだそう。ひとくちに田舎といっても駅前、やや郊外、限界集落、山の中まで様々あり「どこの地域に住むかによって全然違う」と言われてみればそりゃそうである。

都会の皆さんは鳥取のことをとんでもない田舎だと思っているかもしれないが、セブンイレブンもスタバも最近できたしイオンもある。駅寄りの場所であれば東京の郊外とそんなに変わらないのだ。「ダメだったら戻ればいいという気持ちでやってみれば」とのこと。永住と言われると決心がつかないけれど、ちょっと引っ越してみるというノリなら確かにアリな気がしてきた。

ちなみに鳥取市は2019年「住みたい田舎ベストランキング」総合1位らしい!

・市長と関取に聞いてみた

続いて、イベントはフリータイムに突入した。来場者がゲストと直接話せる時間だ。私は争奪戦が予想される石浦関のテーブルに、素早くポジションをとることに成功! しかも、関取の隣には市長が……。


みんな本気で移住の相談をしに来ているからだろう。人だかりが出来ているのは、移住者や田舎暮らしの有識者などを囲む他テーブルの方。どうやら、一刻も早く関取に近づいてやろうなどと下心を持つのは私だけだったらしい。

好きなだけ喋っていいとなると逆に何を話せばいいか分からず、黙って脇汗をかいていた私になんと関取が「ちくわ食べますか」と勧めてくれた!

鳥取で力士の仕事をすることは当然不可能なため東京に住んでいる石浦関だが、いつか鳥取に住みたいという思いがあるのだそうだ。

ネタになるならなんでもやって、鳥取をPRできれば」という思いで移住促進のサポーターを引き受けているとのこと。相撲で地元に貢献するプランも温めていると、いくつか聞かせていただいた。まさに県民の鑑(かがみ)。頭が下がる思いである……!

ちなみに石浦関の強靭な足腰は鳥取砂丘をダッシュして鍛えたものらしいぞ!

・まず話だけでも!

「キャラが強い県知事に対抗心はありますか?」という質問に「芸風が違いますから……」とお茶を濁した深澤市長は、若者世代の移住者が増えていることに自信をのぞかせる。

移住希望者の方に話を聞くと「いいところなのに、鳥取はアピールが下手だ」という意見がいくつも聞かれた。県民には当たり前すぎて気づけていない良さに、都会の人こそ気づいて惹かれるという構図が見える。

都会と比べて求人が少ないということも参加者たちは分かっていて、「資格を取得してから行くつもり」「鳥取で起業するつもり」「パソコンがあれば大丈夫」など、それぞれがプランを持って移住計画を進めているようだ。

個人的見解では、仕事の問題さえクリアすれば鳥取の良さは都会暮らしと比べて引けを取らないと思っている。鳥取の人口減少に歯止めをかけるのは、意外に移住者の方々なのかもしれない。私はまだ東京を離れるわけにいかないけれど、石浦関のように東京にいながら鳥取をPRできればと、せんえつながら今回感じた次第である。

田舎暮らしに興味のある方には鳥取市に相談窓口が設けられている。そこのあなた、お話だけでも、ぜひ!

参照元:鳥取市 公式サイト 鳥取県 公式サイト
Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

▼今回のイベントのポスター。次回イベントにも期待!

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