ロケットニュース24

海を見たことがないパキスタン人を日本の海に連れて行ったらこうなった / 外国人留学生が行く

2018年8月10日

白い砂浜と寄せては返す波……夏と言えば海だ! 夏の海は無敵の盛り場。暑ければ暑いほど、テンションも上がるってもんだぜェェェエエエ!!

というわけで、日本語学校『ホツマインターナショナルスクール』のパキスタン人留学生たちを海に誘ってみたところ、なんと奴ら海を見たことがないらしい! マジかよ!? そこで、一緒に海に行ったらこうなった!

・チャパティのお礼

外国人留学生の部屋を訪問した以前の記事で知り合ったパキスタン人留学生たち。全員が車のエンジニア志望であり、寄り添うように暮らす下宿先でご馳走になったチャパティの味は今も忘れられない。

もてなしてくれたお礼も兼ねて彼らを海に連れて行こうと思った。さっそく、ハイエースをレンタルし、下宿先に乗りつけると……

「キャーキャー」言いながら部屋から飛び出してくるパキスタン人留学生たち。

・テンションが上がりすぎて何言ってるか分からない

今回参加の留学生は6人。なお、前回の記事に登場した最年長しゃちょーは、現在パキスタンに帰っているらしく欠席、替わりに新メンバーのウサマが加わっていた。私(中澤)と撮影班・田代を併せて8人でバンに乗り込み逗子海岸に向かう。野郎ども、海行くぞー

全員が車のエンジニア志望なだけあり、ハイエースにもテンション爆上がり。飛び交うウルドゥー語。何言ってるか全然分からないけど一緒に叫んでみた。オオオオ!

・人生初めての海

そんな彼らは全員、海に行ったことがないとのこと。テレビなどで見たり話に聞いたことはあるが、実際に行くのは今日が初めてだという。

パキスタンも海に面している部分はあるが、山側に都市が多く、例えばタルハの実家があるイスラマバードからは1000km以上離れていたりするのだとか。そのため、多くのパキスタン人は海を体験したことがないらしい。

20年以上生きてきて初めて見る海……それは彼らの目にどう映るのだろうか? 逗子は地形的に海岸ギリギリまで海がほとんど見えない。高速を降り街中を通り抜ける。カーナビは「あと5分」と言っているが、まだ全然見えない。ウズウズするパキスタン人留学生たちが国の歌を歌い出した。と、その時


突然目の前に広がる海岸線! 砂浜の先には太陽の光でキラキラ輝く青・青・青。海だ!! サンサンと降り注ぐ太陽光と水着美女の群れ! その時、パキスタン人留学生たちに起きた異変とは!? 生まれて初めて海に降り立ったパキスタン人留学生たちの様子は次ページで!

取材協力:ホツマインターナショナルスクール
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

・海を見たことがないパキスタン人を日本の海に連れて行ったらこうなった(その2)


海だ! 海が見えたぞ!! その瞬間、口々に雄叫びをあげるパキスタン人留学生たち。「キレイです! とてもキレイです!!」もはやウルドゥー語も通り越して日本語で感動をつぶやく。その目は太陽光を照り返す水面よりキラキラしていた。

いつからだろう? 初めて見るものや体験することにストレートに感動できなくなったのは……。彼らを見ていると思わずそんなことを考えずにはいられない。

おっといけない。海を前にして思慮は不要だ。本能の赴くままに! みんなついてこーーーーーい!!!!!

水着に着替え海にダイブ! ヒィィィハァァァアアア!! 最高!


と、その時、ヤストゥールが……


前回の記事で圧倒的真顔だったヤストゥールが……


めっちゃ笑ってるゥゥゥウウウウ! そんな笑顔できたのか!?


ヤストゥールだけでなく、満面の笑顔じゃない人が1人もいなかった。お前らホントキラキラやな!

……!!



ラザ? どこ見てんの?


ラザ!


普段、ぼんやりした雰囲気のラザが水着女子に目を奪われていた。パキスタンでは宗教上の理由から、女性は肌を見せない。必然的に海でも肌を露出することはないのだ。もちろん、セクシービデオもない。

・ナンパにチャレンジするパキスタン人留学生

そう考えると、彼らにとって、日本の海はかなり刺激が強いのかもしれない。さらに「日本人の彼女が欲しい」というラザ。どうやらナンパをしたいみたいだ

だが、パキスタン人留学生のふところ事情が寂しいのは以前の記事でお伝えした通り。海の家でお茶するお金を持ち合わせているわけがない。「ナンパしたいけどお金がない」とラザ。そこで、3000円を渡して言った。


「女の子をお茶に誘って、成功したらこの3000円を使え。失敗したら返す。オール・オア・ナッシングだ


──と。かくして、ウサマとツーマンセルで声をかけに行くラザ。ちなみに、ナンパするのは初めてだという。その背中に緊張感が漂う。

…… 話しかけた!!

ドキドキ……

ドキドキドキドキ……

あっ(察し)……

どんまい……。なお、ラザが緊張の初ナンパに撃沈している間に、ヤストゥールは8人の女性に声をかけたという。

こっちはこっちでフィーバーしすぎなので埋めた

・解き放たれる留学生たち

逗子海岸に溶け込むアハマド、見ず知らずの少年と遊びだすゼビ。解き放たれたようにフリーダムなパキスタン人留学生たち。あんまり遠く行くなよー! そうこうしているうちに遊泳禁止の時間となった。みんな集合!!

結局、2時間しか遊ばせてあげることができなかったが、初めての海はどうだったのだろうか? 最後に、みんなに感想を聞いてみたところ……

ヤストゥール「綺麗な女の人がたくさんいて楽しかった。とても」

タルハ「海は綺麗で、人もたくさんいて、友達と来れて楽しかった。2回3回来たい」

ウサマ「友達と一緒に遊べて楽しかった。女の子に初めて話しかけて恥ずかしかった」

ラザ「綺麗な女の子がたくさんいて楽しかった。スイカもおいしかった」

アハマド「泳いだりスイカ食べたり楽しかった。海がとても綺麗」

ゼビ「新しい友達もできてとても楽しかった。日本人は親切」

──言葉以上にその表情が語っていた。良い思い出となったようである。

夏休みもあと少し。2020年の3月には日本語学校を卒業する彼ら。卒業後は、車の専門学校に行く予定だという。専門学校に入るための日本語レベルは「N3(日常会話レベル)」と決して甘くない。


帰り道、高速道路から花火が見えた。


みんなで見る花火はとてもとても美しかった。


暗闇を走るバン。


ヘッドライトの明かりは夜の闇を照らすには心もとない。


だが、夜空に咲く大輪の花が照らしだす瞳には透き通るように真っすぐな光が灯る。


まるで、この夜の先にある「夢」を見据えるように


取材協力:ホツマインターナショナルスクール
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼マクドナルドが好きなパキスタン人留学生たち。みんなで食べるマックは格別だった。


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