みなさんは夢と魔法の国「東京ディズニーランド」がお好きだろうか? バッシング覚悟で言うが、ぶちゃけ私、P.K.サンジュンはディズニーランドが苦手だ。理由については後述するが、とにかくあのワチャワチャ感に疲れてしまい10年以上は東京ディズニーランドに足を運んでいない。
「きっとこのままディズニーランドに足を踏み入れることなく一生が終わる」……そう思っていたのだが、当編集部のディズニーマニア・田代から「一緒にディズニーランド行きましょうよ!」とお誘いを受けた。──正直全く行く気はなかったのだが、キラキラと目を輝かせる田代にNOと言えず、このたび10年以上ぶりに東京ディズニーランドに足を踏み入れてきたのでご覧いただきたい。
・昔は大好きだったが……
まず断っておくが、幼い頃は私もディズニーランドが大好きだった。東京ディズニーランドがオープンしたのは私が5歳の頃、近所の千葉県市川市に住んでいたこともあり高校生になるくらいまで年に3~4回は足を運んでいたと思う。
その頃はディズニーランドから帰るのがイヤで、閉園を告げる「星に願いを」がかかるたび鼻の先がツンとしたものだ。「また来るからね──」心の中でそう告げ、いつも後ろ髪をひかれながらディズニーランドを後にしていた。
だがしかし、あれは15年ほど前だろうか? 友人ら10人ほどとノリで東京ディズニーランドに出かけたときのことである。その時はとにかくディズニーの熱量に圧倒されてしまい、アトラクションが終わるたびグッタリしてしまった。
大人になった私にはあの “キラキラ感” が変にまぶしすぎて「もう来ることは無いな」と自らディズニーランドを封印したのである。それ以来、本当の本当に東京ディズニーランドには足を運んでいないし、何ならディズニーシーにも行ったことが無い。私はいつの間にか「ディズニーランドを受け付けない体」になっていたのだ。
・ディズニーマニアに誘われてた
そんな私に声をかけてきたのが、田代大一朗である。田代はディズニーが好きすぎてマジで浦安に住んでしまうほどのディズニーマニア。私が自身のディズニー感を伝えると「それはもったいないですよ~! ぜひ行きましょう!!」とキラキラオーラ全開で突撃してきたのである。
い、行きたくねえ……! というか、普通にめんどくせえ。だがここまでキラキラした目の持ち主に「いや、別にいいっす」と言えるほど私のハートは強くない。私は泣く泣く約束をし、久しぶりに舞浜駅に降り立った。この期に及んでも……うむ、行きたくない。
そんな私の気持ちを知らない田代のキラキラ度は、夢と魔法の国に足を踏み入れることでさらにパワーアップ!
「あれれれれ? サンジュンさん、そんな格好じゃもったいないですよ? さあ、まずはお着換えから始めましょう!」
……と言うなり私をグッズショップへ誘うではないか。「迷ったら派手な方を選んじゃいましょう! そうすることで羞恥心が捨てられるんです☆」というアドバイスのままにTシャツやサングラスを購入すると……!
完全に遊ばれている──。というか、おちょくられている。さすがにこれはない……と思いきや、田代は真逆のリアクションであった。
「うわ~。本当に似合ってますよ、サンジュンさん! ようこそ夢と魔法の国へ!! 今日は僕がウォルトに代わってディズニーシーとディズニーランドをご案内します! ティンカーベルの魔法の粉はもうサンジュンさんに降りかかっていますよ? You Can Fly♪ You Can Fly♪ You Can Fly~♪」
や、やべえ……本気で言ってるよこの人。しかもさりげなく “ウォルト”って呼び捨てにしたよ……。このキラキラパワーに1日ついて行けるのか、俺! 閉園まで8時間以上あるぜ?
そんなこんなで始まったディズニーマニアによるディズニーツアー。果たして「体がディズニーランドを受け付けないおっさん」はどうなってしまうのか? 気になる続きは2ページ目へYou Can Flyだ!
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
【検証】「絶対にディズニーランドが無理なおっさん」がディズニーマニアに1日案内されたらこうなった(2ページ目)
・初めてのディズニーシー
まず訪れたのは東京ディズニーシー。私は初めて足を踏み入れた。「お酒が飲める」とか「大人向けの造り」などとは聞いていたが、果たしてシーはどんな夢と魔法があるのだろうか?
田代「シーにどんな夢と魔法があるかって? 違うんですよ、ディズニーランドは “夢と魔法の国” 。では、ディズニーシーは? そう、“冒険とイマジネーションの海” です。至るところにワクワクのイマジネーションが隠されていますから……例えばほらアレ! あれはコロンブスの銅像なんですけど、なんでイタリアエリア(メディテレーニアンハーバー)の方を向いているかわかりますか?」
サンジュン「えーと、コロンブスはアメリカ大陸を発見した人だから……」
田代「そうそう、ナイスイマジネーション! コロンブスはスペインの援助を受けてアメリカ大陸を発見し、そのままスペインで亡くなったんです。ただ彼は……イタリア人なんですよ」
サンジュン「おお。つまり故郷の方を見ていると?」
田代「ザッツライ! ただ意味もなくコロンブスの銅像が立っているわけじゃないんですよ。銅像の方角1つにも意味がある、さあイマジネーションを働かせましょう!」
サンジュン「なるほど、これはちょっと感動した」
・ダッフィーの秘密
その後も田代からの熱烈なプレゼンを受け、初東京ディズニーシー巡りは続く。さすが知識が豊富なだけあって「へぇー」「手が込んでるなぁ」と感心することが多かった。中でも私が驚いたのは、大人気キャラクター “ダッフィー” に関する話を聞いたときだ。
田代「ここケープコッドには大人気のダッフィーがいるんですよ」
サンジュン「ああ、ダッフィー。あのクマのぬいぐるみみたいなヤツですよね? 正直なんで人気があるのかサッパリわかりません。いや、ミッキーとかドナルドはわかるんですよ、キャラとして確立されてるじゃないですか。でも単なるぬいぐるみをダッフィーとか言われても……」
田代「おやおや? サンジュンさんはダッフィーがただのクマのぬいぐるみだとお思いですか?」
サンジュン「え、違うんですか?」
田代「そもそもダッフィーは、航海に出るミッキーが寂しくないようミニーが手作りしたぬいぐるみなんです」
サンジュン「あ、そうなんですね」
田代「ミニーの気持ちが嬉しかったミッキーは力いっぱいぬいぐるみを抱きしめました。するとどうでしょう……? ダッフィーの顔にミッキーの想いが表れたのです!」
サンジュン「え? どういうことですか?」
田代「ではダッフィーをよく見てください。ダッフィーの顔にミッキーがいませんか?」
サンジュン「……。…………! いたーーー!! 顔の白い部分がミッキーの形になってる!」
田代「そう! ちなみに顔だけじゃなく、足の裏にもお尻にもミッキーがいるんですよ!! ダッフィーがただのクマのぬいぐるみではないって、わかってもらえましたか? ダッフィーには魔法と思いやりがたくさん詰まっているんです! これもイマジネーションですよ!」
サンジュン「すげえ。ディズニーの企画力ハンパねえ。ダッフィーが可愛く見えてきた」
こんなことをディズニーシーだけで10回以上繰り返しつつ、久しぶりのディズニー観光は続く。ぶっちゃけ……想像していたより楽しい。田代の知識は「なるほど」と納得できるものばかりだったし、ちょっとした知識があるかないかでは見える景色も全然違ってくる。
だがしかし、この後に見た新ショー「ハロー、ニューヨーク!」で田代がまさかあんなことになってしまうなんて……! ディズニーマニアに何が起きたのか? 私がドン引きした田代の異変は3ページ目へ、ハローニューヨーク!!
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
【検証】「絶対にディズニーランドが無理なおっさん」がディズニーマニアに1日案内されたらこうなった(3ページ目)
・ディズニーマニアに異変
ディズニーシーを一通り散策した我々が向かったのは、2018年7月から始まった新ショー「ハロー、ニューヨーク!」のステージである。席の都合で田代が前、私が後ろに座っていたのだが、異変はステージ終了後に起きた。
サンジュン「いや、いいショーでしたね。よく出来てた。さあ次はどこ行きます?」
田代「……」
サンジュン「……田代さん? あれ、どうかしました?」
田代「……」
サンジュン「……え? 田代さん?」
田代「自分……2回泣きました」
サンジュン「えええええぇぇぇえええええええ! え、どこで!? 泣くとこありました? だって完全にハッピーなショーですよ!?」
田代「……何というか、僕の想像を遥かに超えるハッピーがあふれてて……。こんなに素敵でハッピーなショーがあるだなんて……」
サンジュン「え、ハッピー泣き? ちょっと正直怖いッス!!」
なんというピュア──。少なくとも私の周囲にはショーを見て涙している人は誰もいなかった。そんなピュア全開の田代から聞いた話でもっともピュアっていたのは、かの有名な「東京ディズニーランド・エレクトリカルパレード・ドリームライツ」についての話を聞いたときのことである。
田代「サンジュンさんはエレクトリカルパレードをどんなふうに見ますか?」
サンジュン「ああ、まあ音楽も特徴的だし、いろんなキャラが出ますよね。小さい頃は好きでしたよ。でもどんなふうに見るかって言われたら困るなぁ。なんか隠れキャラが出るとか?」
田代「うーん、そうじゃないんです。どんな視点で見るか?ってことです」
サンジュン「視点ねぇ、そうだな、電気代にいくらかかってるかとか、1回のパレードでいくらくらいかかるのかとか? ちょっとそれは興味ありますよね」
田代「僕はね……僕は……いつも “ウォルトが空から見ていること” を想像しながらパレードを見るんです」
サンジュン「ごめんなさい、ちょっとなに言ってるかわからないです」
田代「ウォルトは何よりゲストの笑顔が大好きなんです。だからきっとウォルトはパレードそのものを見てるんじゃなくて、パレードを見て幸せな表情をしているゲストの顔を見て喜んでるんだろうな、って。そうするとなんだか勝手に涙が……」
サンジュン「えええ……ピュアにも程があるでしょ」
その後も7月からの新ショー「レッツ・パーティグラ!」や夜の新プログラム「Celebrate! Tokyo Disneyland」を鑑賞し、8時間以上に渡るディズニー観光は幕を閉じた。
「体がディズニーランドを受け付けないおっさん」的に言わせてもらうと、久しぶりのディズニー観光は……想像よりも遥かに楽しかった。田代の知識はハンパではなく、今回ご紹介したのはほんのごくごく一部に過ぎない。
ディズニーがゲストを楽しませるためのコンセプト作りやストーリーはさすがの一言で、むしろ大人になった今だからこそ「なるほど」「理にかなっている」などと納得できることが多かった。大げさに言えば、全てのことに意味がある……それが東京ディズニーリゾートなのだろう。
また、田代から聞いた豆知識は人に話したくなるものばかりで、何なら私が1日ツアーガイドしたいくらいの気分である。あなたはスプラッシュマウンテンが急降下する際、誰がフラシュを焚いているかご存じだろうか? 実はとある生き物がゲストの写真を撮影しているのだ。フフフ。
というわけで、東京ディズニーリゾートには「ディズニーマニアと出かけるに限る」、これが今回の結論だ。確かに体は疲れたが、何より田代のピュア度におっさんの心の氷は完全に溶かされた。
もし私と同じように「体がディズニーランドを受け付けねえ」という人がいたら、まずはディズニーマニア探しから始めてみてはいかがだろうか? 夢と魔法、そして冒険とイマジネーションの世界がきっとあなたを待っているぞ。
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
▼ちなみにダッフィーやコロンブスについてはあくまで田代の見解であり、ディズニーが正式に発表しているわけではないので悪しからず。
▼ウォルト、あんたいい仕事したぜ……!