本州と九州を隔てる「関門海峡」は、もちろん車や電車で渡るのが一般的……だが、どうやら歩いて渡ることもできるらしい。もちろん「忍者のように特殊な修行を積んだ人間が水面を歩く」という話ではなく、誰でも徒歩で山口県と福岡県を行ったり来たりできるそうだ。
──って、どういうことだよ! という流れで調べてみたら……なんと世界的にも珍しい「歩行者専用のトンネル」が海底にあることがわかった。しかも、今年2018年に開通60周年を迎えたという。おいおいマジかよ、行くなら今でしょ! ということで行ってきたぞ!
・関門トンネル人道
さっそくやって来たのは、海底トンネル九州側の入口。その名も「関門トンネル人道入口」だ。さあ果たして、海底を進む歩行者専用のトンネルとは……入口にはエレベーターが大小2基あるが、どうやら地下約60mまで降りたところに「人道」のスタート地点があるらしい。
というのも、実は、車両用の関門トンネル(国道2号線)は二重構造になっていて、上が「車道」で、下が「人道」なのだ。1958年開通時には「本州から九州まで徒歩で渡れる」と話題になり、全国各地から観光客が訪れたらしい。たしかにロマンを感じる。さらに……
今から乗るエレベーターも「国道扱い」だという……って、地味にテンション上がるぞ。てことで、激レアな “エレベーター国道” を利用して海底トンネルの入口へ。えげつないほどロマンを感じながら、約30秒で地下階に到着した。すると……
まっすぐ伸びる下関行きの1本道。さすが海底、とても静かだ。行ったことはないが、たぶん宇宙も同じような雰囲気だろう……と、テキトーな感想はこのくらいにして本州側を目指す。ス~~ッと吸い込まれるようにトンネルの奥の奥へ。
今さらだが、トンネルの通行料は徒歩なら無料、自転車・原付は20円(トンネル内は手押し)だ。幅4m・長さ780mの歩道は、気温や天候に影響されないため、地元の人にはジョギング・ウォーキングコースとしても人気らしい。そんなこんなで歩いて行くと……
けっこうスグに福岡と山口の県境を発見……! 九州から本州へ歩いて渡る瞬間いよいよキタァァァアアアアアアアーーッ!! 海底を歩いて県境を越えられるのは、もちろん国内でここだけだ。
さあさあさあ、まだ九州……
だがっ!
もう本州ッ!!
──と、しっかり喜びを爆発させてから、下関側の出入口を目指して再び歩みを進めます。県境は「門司から380m・下関から400m」らしいので、残りは約半分……そういやトンネル内には外国人観光客がやたらと多いが「海底で県境をまたげる感動」は彼らに伝わるのだろうか。
・下関側
そしてとうとう……下関側に到着ゥゥゥウウウウウウ! う~ん、地味に達成感があります。ちなみに、門司側・下関側双方にある記念スタンプを専用用紙に押すと「関門TOPPA! 記念証」がもらえるということで、ズドンッと押してからエレベーターで地上へ……あれ、なんか押し方を間違えたな。
スタンプが斜めになったのはさておき、下関側出入口の目の前は、源氏と平家の最後の戦い「壇ノ浦の戦い」の地だ。源義経と平知盛の像が向き合うように建てられ、一帯が「みもすそ川公園」として整備されている。公園内の壇ノ浦砲台跡には、幕末期に活躍した長州藩の大砲レプリカも……って、意外とアツいな壇ノ浦。
ひと通り「みもすそ川公園」一帯を満喫した後は、再び海底トンネルを通って九州側を目指す。休憩ナシの往復は地味にキツいなと思いつつも、門司側のトンネルを出て「門司港観光案内所」に向かった。「関門TOPPA! 記念証」をゲットするために……そして!
・門司側
17時まで営業している観光案内所にギリギリ滑り込んで「60年還暦バージョン」の記念証を無事にゲット! ちなみに門司港周辺には、名物「焼きカレー」をはじめ、海鮮やおでんなどなど、絶品グルメの店が軒を連ねているから要チェックだ。
歩き疲れた筆者は、門司港観光案内所からスグの「おでんの山口」で「おでん定食(550円)」を注文。好きな具を3種類選べるということで、すじ肉・たまご・じゃがいもをチョイスしたが……どれもしっかり出汁がしみ込んでいてウマ~い! 観光の締めにナイスな食事ができて大満足である!!
──ということで、今回ご紹介した関門トンネル人道周辺は、歴史や絶景、グルメ等も楽しめるので、機会があればぜひ1度訪れてみてほしい。メインはもちろん「海底トンネル内の県境」だが、地味にテンションが上がる「国道エレベーター」も要チェックだぞ!
・今回ご紹介したスポットの詳細データ
名称 関門トンネル人道
住所 山口県下関市みもすそ川町22(下関側)福岡県北九州市門司区門司(門司側)
時間 6:00~22:00(エレベーター運行時間)
休日 なし
Report:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.
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▼関門海峡
▼「門司側」最寄りのバス停
▼門司側の出入口
▼国道2号の標識もあり
▼スタンプ台
▼下関側にある料金箱(自転車・原付用)
▼下関側の出入口
▼エレベーターの運行時間
▼利用上の注意
▼門司港観光案内所
▼「おでんの山口」は山口側ではなく福岡側
▼観光の締めにナイスでした
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