引っ越しって基本的に楽しいけど、物件を探すという作業は本当に面倒だよな。特に、遠方に部屋を借りる時ね。現地行ってー、物件探してー、内見してーと、やることいっぱい。そんな時間ありまへんがな。お金もかかるし。
なんてことを思っている私(あひるねこ)に、上司である編集部の Yoshioが「1万円の物件を借りたい!」などと言ってきたから さあ大変! おいおい、こっちにも仕事があるんだぞ……。しかしこの後、予想だにしない驚愕の結末が私を待っていたのだった。
・1万円の物件を借りたい
話は少々さかのぼり、ある日のこと。Yoshio が私にこんなことを言ってきた。
「ないじゃん!」
──え?
「俺、社員のモチベーションアップのためにこれまで色々やってきたじゃん。でもさ、よく考えたら『日々の疲れを癒せるような場所』がないじゃん。大企業とかって、社員が無料で使える施設が地方にあったりするじゃん? それがウチにはないじゃん!」
──じゃんじゃんうるせーな。『NARUTO』のカンクロウかよ。まあ、ウチは別に大企業じゃないですからね。
「いや、こうなったら夏までに物件借りるわ。みんなで疲れを癒しに行きたいから、あひるねこ、ダッシュで物件の候補をピックアップしてくれる? もちろん一軒家ね。家賃は1万円くらいで」
……何言ってんだコイツ、という言葉が喉まで出かかったぞ。というか、若干出たぞ。家賃1万円とか、平成がもうすぐ終わること知らんか? 地方ったって、こっちも忙しいんだからホイホイ現地に行けるわけないだろ。まあ一応探してみるけど……。チッ、いつかあのメガネかち割ったる。
・オンラインで内見?
とりあえず不動産サイトをうろうろしていると、気になるサービスを発見した。なになに、オンライン内見……? 初めて耳にする言葉だ。ちょっと読んだろ。
・スマホで OK
なるほど、LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)のオンライン内見を使うと、現地に行かずともスマホで内見できるのか。金も時間もない私にぴったりのサービスやん! というわけで、LIFULL HOME’Sのサイトを見ながら10物件ほどピックアップし、その中からオンライン内見をしたい物件を3つまで絞り込んだ。
・実際にやってみた
そういえば Yoshio は家賃1万円とほざいていたが、オンライン内見に対応していなかったため、独断で予算を5万円にしたからな。文句あっか。さて、そんじゃオンライン内見を実際にやってみよう!
・安すぎ物件
今回私が内見する長野県の物件は、2階建てで家賃が5万円という激安一軒家だ。屋根があるのか不安になる値段だが、不動産会社へはサイトを通じてオンライン内見の申し込みをしてある。あとはアプリを起動して、現地にいる担当者さんと会話をしながらスマホの画面を眺めるだけ……っていうかデカッ!
部屋多ッ! キッチンでかッ!! マジで一軒家じゃん! ここ、本当に5万円かよ!!
・すでにバッチリ
あ、その部屋はちょっと引きで見たいでーす。ふむ、画面を見る限り日当たり良好。風呂は十分の広さだし、トイレにウォシュレットが付いている。収納スペースもけっこうありそうだぞ。ベランダから見える風景もいい感じだ。
よっしゃ、もうココで決まりでいいだろ! はい、終~~~~了~~~~!! オンライン内見でこの物件がバッチリOK であることを確信した私は、さっそく Yoshioに報告。すると、男の口から思ってもみない言葉が飛び出した。
「いいじゃん。よし、明日にでも見に行こう」
えええええ、結局行くのかよ! 長野まで!! 遠いなオイ! しかも明日……明日!? 急かよ!! こうして私は、Yoshio と共に長野県まで物件を見に行くことになったのである。
・いざ長野の物件へ
東京から目的地までは車で向かう。約3時間半もの間おっさんと二人きりという、地獄のドライブの始まりだ。
というか、私まで行く意味はあるのだろうか……。
だいぶ物件の近くまでやって来た。いつの間にか周囲の風景が激変していることに気付く。いや~、のどかな所だなぁ。
そこからしばらく走ると……お! もしかして、あれじゃない!?
さあ、ついに家賃5万円の一軒家との ご対面である! 果たして、オンライン内見した通りのグッド物件なのか? 気になりすぎる家の内部、そして驚愕の結末は、次のページでお伝えしよう! 急げーッ!!
参考リンク:LIFULL HOME’S オンライン内見について、ホームズくんがおもしろいおウチなどをご紹介!
取材協力:正木屋
Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
・5万円の一軒家
東京から約3時間半。私と Yoshioはとうとう目的地である長野県の物件に到着した。なんということだ。これが……! 家賃5万円の一軒家なのか……!!
マジで一軒家じゃん! 分かってはいたけど、普通に一軒家じゃん! 2階まであんじゃん! もはや実家かよ!! そう、我々を待ってたのは、ゲストハウスなどではない純度100%の一軒家だったのだ。これで5万円って、段ボールか何かで出来ているのだろうか?
・家の中を大公開
それでは中に入ってみるぞ。オンライン内見をしたとはいえ、実際に確認するのはこれが初めて。あ、不動産屋さん! 先日はどーも。今日もまたよろしくお願いします。さっそく玄関を開けて中に入ると……。
いきなり畳かよ! でも知ってた。オンライン内見の時も思ったし。だがイメージ通りの部屋で一安心だ。さあ、どんどん見ていこう!
・これ、オンライン内見で見たやつ
画面からすでにその広さがビシビシ伝わっていたキッチン。実際に間近で見ても、期待通りの広さで思わずガッツポーズ。私の自宅の倍はありそうである。
風呂も思った通り、ゆったり広々だ。
お次は2階へ。オンライン内見の時から部屋多ッ! って思ってたけど、やっぱり部屋多ッ! そして広ッ!!
日当たり良好でございます。
あとは……あ~これこれ! この部分、オンライン内見で見て気になってたんだよな。Yoshio さん、ちょっとここ通って。
何用だよ!
ドアちっちぇーな! と思ったら隣に普通にドアあんのかよ!! 犬用かよ! じゃあ別にカギとかいらねーだろ!! 何用だよ!
・豊かな自然
まあそれは置いておいて、いや~けっこういいっすねココ。見てくださいよ、この景色。ビルとか何もないじゃないですか。やっぱり、僕らの会社がある新宿とは違いますね。
リゾートみたいな場所ではないけど、こういう所もたまにはイイと僕は思いますよ。Yoshio さんが言ってた、「日々の疲れを癒せるような場所」にピッタリなんじゃないですか? 家賃も破格ですし。……なんか言えや。
・まさかの結末
その後、なぜか Yoshio は終始無言を貫いた。不動産屋さんが不思議そうな表情を浮かべる中、一通り内見を済ませた我々は、そろそろ出ようかと玄関へ向かう。すると、
「あひるねこ……」
Yoshio が突然口を開いたのだ。どうしたんですか? びっくりするからいきなり喋んないでくださいよ。
「俺……」
「ここに残るわ!」
……ちょっと意味が分からなかったので、反射的につい Yoshio の後頭部をひっぱたいてしまった。しかし、何事もなかったかのように男は続けた。
「お前、最高の物件を見つけてくれたな! 想像以上に良かったから、この物件はロケットニュース24編集部・長野支社として開設しようかと考えている。地方ネタも拾えるし一石二鳥だろ。
ただ、本当にこの物件を借りるかどうかはまだ分からない。だから、俺はホームズくんとここに残って、諸々調査してから帰ろうと思う。悪いけど、先に東京に戻っててくれる?」
……ちょっと意味が分からなかったので、もう一発 Yoshio の後頭部をひっぱたいてみた。しかし、アドレナリンが出ているのかずーっと笑っていた。よし、こんな男は置いて帰ろう! さらば Yoshio、永遠に……。
・本当の福利厚生
そんな感じで、私は Yoshio と別れ東京に戻ってきた。そして現在、上司がいない事務所で羽を伸ばしている。というか、上司の机の上で足を伸ばしている。
Yoshio からの連絡はいまだにない。そのため、「日々の疲れを癒せるような場所」とやらがどうなったのかは不明だ。が、今となっては、そんなことはどうでもいいだろう。これが、上司のいないこの状態こそが、私にとって最高の福利厚生なのだから。
参考リンク:LIFULL HOME’S オンライン内見について、ホームズくんがおもしろいおウチなどをご紹介!
取材協力:正木屋
Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
▼オンライン内見だと、遠方の物件でも隙間時間に見ることができた
▼東京にいながら長野の物件を内見
▼時間とお金の節約になったぞ
▼不動産屋さんと話しながらスマホで見られるのも便利だ
▼オンライン内見で見た通り物件! これで家賃5万円とかマジかよ!!