世界中に「珍味」と呼ばれるものは星の数ほど存在するが、これほど衝撃的なグルメもそうないだろう。その名は「童子蛋(トンズーダン)」、男児のオシッコで作るゆで卵である。
「そんなの都市伝説なんじゃねーの!?」 とお思いの方もいるかもしれない。それは否(いな)。中国のある地方における春の風物詩であり、この2018年にもバッチリと激撮されていた。作り方も併せて紹介したい。
・「童子蛋」 とは!
「童子蛋」、またの名を「童子尿蛋(トンズーニャオダン)」「童尿蛋(トンニャオダン)」などと呼ばれる美食。これは中国・浙江省東陽市の伝統食である。
字面のとおり、子供のオシッコで煮た卵のこと。他の調味料は一切使わない。なお、子供とは男児を、それも8才以下のオシッコに限るというのだ。年齢については10才以下という説もあるが、とにかく生殖能力を獲得していない幼い少年であることがポイントである。
・童子蛋の作り方
作り方はいたって簡単だ。まず鍋に卵と男児のオシッコを入れ、ゆで卵を作る要領で煮込む。ゆであがったら、一度、卵を取り出し、ひとつひとつヒビを入れ、再度鍋へ。卵の内部にまでオシッコが染み込んでいく……そうやって火加減を見ながら、ときどきオシッコを足し、一昼夜煮込めば完成なのだという。
プロセス自体は非常にシンプルで、ご家庭でも作れるレベルだが、少子化が進む日本で「幼い少年の新鮮な尿」を必要分用意するのはなかなか高いハードルだ。現地では幼稚園や小学校にバケツが用意され、男子の尿が回収されていくのだとか。
・味は?
オシッコで煮て煮て、煮詰める卵とは一体どんな味なのだろう。2018年3月下旬に公開された動画「童子尿鸡蛋居然还有这么多人愿意吃」で、実際に食べた人の感想を聞くことができる。
一般的に、塩気のあるお味と言われているが、その感想はというと……
「変な感じ!」
「美味しい」
「ついパクパク食べてしまう」
「ニオイはするけど、味はそんなに濃くないかな?」
などなど。また中華圏の煮卵「茶葉蛋」を例に、茶葉蛋から茶葉の香りを抜いたような味、という意見もある。それって卵の醤油煮やないか!
・男児の尿とは何系の発想なのか……
なぜオッサンではダメなのか。なぜ少年なのか。それは古くから少年の尿には薬理作用がある、と信じられてきたためだという。とくに夏バテ防止になり、煮汁まで飲むとより効果的なのだとか。
しかし、現代では効能について医学的な根拠は認められていないそうだ。とは言うものの、東陽市では、春の訪れを告げる風物詩として今でも存在するのだそう。好んで食べる人も苦手な人もいるというが、男児のオシッコを煮る香りがしたら、「あ、もうすぐ春だな」とウキウキしちゃうのかもしれない。
・ついに文化遺産に
そんな東陽市の文化と深く結びついている童子蛋は2008年に市の無形文化遺産に登録されたのだそうな。3月末~4月に訪れればきっと出会えるだろう。ちなみに英語表記は「Virgin Eggs」もしくは「Virgin Boy Eggs」。間違いはない。
https://www.youtube.com/watch?v=1BCAnGQ7a_Q
▼詳しい作り方はこちら(やや閲覧注意)
https://www.youtube.com/watch?v=6cm2PVK1u-E