みなさんに質問だ。もしもラーメン屋台で、チキンラーメンが出てきたら、どう思うだろうか? 普通は「この店、マジかよ!」と思うに違いない。即席めんを堂々と出すラーメン屋台なんて、「客をなめてんのか!」と怒りの声が聞こえて来そうだ。
ところが、東京・新宿に期間限定で出店している屋台は、1杯300円でチキンラーメンを出しているのに、お客さんが続々と集まってくる。行列までできる勢いだ。一体なぜなのか?
・新宿駅南口
屋台があるのは、JR新宿駅南口を出てすぐの商業施設「サナギ新宿」の敷地内だ。いわゆる『キッチンカー』が止めてあり、テーブル・椅子を並べている。チキンラーメンを出すとわかっているはずなのに、店前には行列が。一体どうして……?
しかし、よ〜くキッチンカー見てみると……
あれ? 堂々と「チキンラーメン」と書いてある。これってもしかして、日清公式の屋台なの?
実はコレ、日清食品の創業者である安藤百福氏が、チキンラーメンの研究開発を行った小屋をイメージして作られたキッチンカーで、新宿を皮切りに全国主要都市で、チキンラーメンを提供する予定なのだとか。
てっきりラーメン屋台が手を抜いてチキンラーメンを出しているのかと思ったら、むしろ逆。チキンラーメンの本家本元、日清が作ったキャンペーンカー、その名も『チキンラーメン屋台』だったのである。
・チキンラーメンのみ
メニューはチキンラーメンのみで、1杯300円(税込)だ。生卵とネギは最初から乗っており、なると・キムチ・コーン・チェダーチーズから1つ、トッピングを選ぶシステムになっている。
注文すると、チキンラーメンオリジナルのシリコン蓋の乗った丼と、キッチンタイマーの乗ったトレーが出てくる。タイマーで3分が経過したら完成だ。
時間通りに3分でフタをあけてみると……ホワッ!
わ〜! 間違いなくチキンラーメンだァ~!! なんだか久しぶりに食べる気がする。うんうん、これこれ、この香り。これがチキンラーメンの香りだよね。この匂いを嗅ぐと、懐かしい気持ちになる人は、私(佐藤)だけではないはず……って、ハッ!!
ふと思い出した。遠い昔のチキンラーメンの味と香りを。
あれは私が小学生の頃……ミンミンとセミが鳴いていた季節……
そう、夏休みだ。
母親が昼食を作るのを忘れて……
仕方なくチキンラーメンを食べていたんだっけ……
なつかしいなァ……
……と、私のチキンラーメンメモリーはそのくらいしかないのだが、とにかく懐かしい気持ちで胸がいっぱいになった。
・お湯の温度についての考察
ちなみに私は、チキンラーメンを作るお湯はアツアツの方が好きだ。麺が少しフンニャリと緩んだくらいが、ちょうど良いと思っている。
しかしここは、お客さんに配慮してなのか、お湯は若干ぬるめだった。したがって、麺は硬めに仕上がっている。できれば、もう少し熱くしてくれると最高……って、ハッ!!
ひょ、ひょっとして……この “若干ぬるめの湯で作るチキンラーメン” こそが、公式の食べ方だったりするのかも……!? なんて一瞬は思ったりもしたが、腹いっぱいで面倒になり、次の瞬間には違うことを考えていた。
1杯300円のチキンラーメン。しょっちゅう食べる人にとっては高価に感じるかもしれないが、私が感じたのは30年以上も前の “懐かしさ” だった。もしかしたら行列に並んでいる人たちも、ラーメン以外の「何か」を求めているのかもしれない。
・今回紹介した店舗の情報
店名 チキンラーメン屋台
場所 サナギ新宿(東京都新宿区新宿3-35-6)
出店期間 10月2日~10月8日(以後、全国主要都市駅前に出店予定)
出店時間 17:00~22:00(出店場所によって異なる)
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24