最悪、死に至ることもあるインフルエンザ。しかし、子供の頃から慣れ親しんだ(?)病名であるため、どこか風邪の強化版のようなイメージがあることも事実。少なくとも私(あひるねこ)はそうだった。あの時までは。
去年、私は相当久しぶりにインフルエンザにかかった。そこで多くの人がそうするように、病院へ行き、薬をもらい、それを服用した。しかしその後、私は発狂しかけることになる。あれは、今でもよく問題になっている薬による「異常行動」だったのか?
私の身に起きたことの詳細を記しつつ、そのことと薬の関連を製薬会社に聞いてみたのでお伝えしよう。これは、あなたにとっても他人事ではないはずだ。
・インフルエンザに感染
ちょうど1年くらい前だったか。突如高熱に襲われた私は、丸1日寝込んだ翌日におぼつかない足で病院へと向かった。たしか熱は39度台だったと思う。予想通りインフルエンザと診断され、その時処方されたのが「イナビル」という薬だった。
・処方された薬を服用
イナビルは水で飲むのではなく、吸い込むタイプの薬だ。薬剤師さんから吸入の説明を受けながら、「へー今はこんな薬があるんだなぁ」なんてことを意識が朦朧(もうろう)とする中で思ったことを覚えている。帰宅後、すぐに服用。そのしばらく後、私は頭がおかしくなるのである。
これから書くことは、おそらく意味がよくわからないと思う。だが、すべて間違いなく私の身に起きたことだ。
・私に起きた異変
誰かに右肩を後ろからポンと叩かれたとしよう。自分で軽く叩いてみてもいい。その時、耳に入る物理的な「トン」という音以外に、叩かれた感覚として頭が認識する「トン」がある。これはおそらく、触覚から脳に刺激が伝わっているのだろう。そして、私はこの「トン」が頭から消えなくなった。
トン、トン、トン、トン、トン、トン、トン、トン……。その感覚が頭、いや脳の右上あたりで延々と続くのだ。まるで、バグった動画がある1つのシーンを何度も執拗に繰り返しているような状態である。当然手で払うことなど出来ない。最初は「ん?」という程度の違和感だったが、徐々に恐怖へと変わっていく。
・発狂しかける
気が付くと、私は部屋をウロウロと歩き回っていた。「やばいやばい、何だこれ何だこれ……」と、完全に口に出していた。この日、まともに動けない私を病院まで連れて行ってくれた知人がいたのだが、そんな私を見て、本当に頭がおかしくなったのかと思ったらしい。
「頭の中でトンって音がするんだよ。トンって音がするんだよ。何でわからないんだ!」と、その知人に怒鳴った記憶がある。どうしても「トン」が頭にこびり付いて離れない。体中から汗が吹き出し服はびっしょりだ。それでも、どうにか冷静になろうと洗面所に行き、何度も顔を洗った。このあたりのことは思い出したくもない。
・ちらつく死
救急車を呼んだ方がいいのだろうか? でも、この症状をなんて説明したらいいんだ? わからない。いっそのこと、頭を切り開いて脳からこの「トン」を取り除いてほしい。まさかこれが一生続くんじゃ? 冗談だろ、そんなの耐えられない。これはもう、死ぬしかないのでは……。
半ばパニック状態だったため、一瞬だが本気でそこまで考えてしまったのだ。とはいえ、私もいい大人だ。何をバカなことを……と気を静め、布団に入り無理矢理じっと耐えた。すると、薬の効果もあったのだろう。すぐに眠りにつくことが出来たのである。
・異常行動だったのか?
夢は見ていなかったと思う。目が覚めると体は楽になっており、熱もだいぶ下がっている。どうやら回復したようだった。それ以来、あの症状は出ていない。はたして、あれは薬によるものだったのか? 気になった私は、製薬会社に話を聞いてみた。その結果は次のページでお伝えしよう。
参考リンク:第一三共
Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
・実際に聞いてみた
私の身に起きたあの症状は、一体何だったのか? イナビルの販売元である製薬会社「第一三共」に電話で問い合わせてみた。以下はその対話である。
──大人の「異常行動」について、前例はあるのでしょうか?
「イナビルを含む抗インフルエンザ薬の服用の有無にかかわらず、異常行動の発現は報告されています。ただ、基本的には未成年の方に起こることが多く、成人の方の発現については、はっきりとは把握しておりません」
──私は服用後にパニック状態になったのですが、そういったことはあり得る?
「そうですね、可能性は0ではないと思います」
──イナビルと異常行動に、因果関係はあるのでしょうか?
「はっきりとはしておりません。それらの因果関係についてはドクターや医療機関が判断することでして、当社でははっきりとした判断はしていないのです」
以上が回答である。やはり、明確な答えを得るのは難しいようだ。ただ単にインフルエンザから来る症状だったのかもしれないし、薬による何かしらの副作用だったのかもしれない。真相は神のみぞ知る、といったところか。
・あれは何だったのか?
あの体験は私にとって、恐怖以外の何ものでもなかった。しかし、丸1日寝込んで苦しんでいたのが、薬の服用後にスッと楽になったのは事実だ。原因については気になるところだが、すっかり元気になったことだけでも喜ぶべきなのかもしれない。
参考リンク:第一三共
Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.