ロケットニュース24

【怖すぎ冤罪】警察の「ウソ調書」によって大麻取締法違反で逮捕された事件についてドラッグ事情通に話を聞いてみた

2016年12月2日

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いま日本は薬物がらみの事件に関心が集まっているが、大麻関連の事件も地味に多い。自分には関係のない話……と思うなかれ。なんら大麻にゆかりのない誰しもが、突然「大麻取締法違反」で逮捕される可能性があるという事件を今回は紹介したい。

毎日新聞や神奈川新聞によると、大麻取締法違反(所持)の罪で逮捕・起訴された男性(25)が、2016年12月12日の判決で無罪になる可能性が高いという。一体なぜ無罪になりそうなのか? そのあたりを、毎度おなじみのアノ人に聞いてみよう!

・毎度おなじみボブさん登場

今回の『大麻で起訴されたのに無罪になるっぽい件』の話をしてくれたのは、毎度おなじみ、危険ドラッグに警鐘を鳴らしまくる正義のドラッグ事情通・ボブ麻亜礼(まあれい)氏である。特に大麻に関しての造詣は深く、専門家と言っても差し支えない。

──ボブさ〜ん! なんだか裁判の話なので、難しそうなんですけど大丈夫ですか?

ボブ「おうよ! メッチャ簡単に解説するから安心してくれ。そんじゃさっそく、コトの経緯を説明すっぞ。まず去年2015年11月、ひとりの男が大麻0.9グラムを所持したとして逮捕・起訴された

──よくある話ですね。

ボブ「なぜ逮捕されたのかっつーと、「男が自宅前に停めているバイクに大麻があった」との通報があったらしい。その通報をもとに出された礼状で神奈川県警はガサ入れして、通報どおりバイクから大麻が見つかったんだってさ」

──バイクに隠しておくとは、なかなかの策士。

ボブ「ところがだ。ここからが問題で、通報者は「バイクに大麻があった」と話していただけなのに、警察官は「家の中にあるバッグ内でも見た」と、通報の内容を大げさにした、ウソの内容を調書に記載したんだ」

──えっ、なんで!? ともあれ、家の中にあると報告されたら、そりゃガサ入れしますわね。

ボブ「でも結局は、家の中じゃなくて、バイクから見つかった。よって逮捕&起訴された。しかし被告は「俺のもんじゃねえ!」と、大麻所持の認識は無し。当然、弁護側も、捜査段階から「大麻は被告のものではない」と無罪を主張

──えええっ!? つまりこれ、どういうことですか?

ボブ「真実はともかく、俺の憶測だけでメッチャ簡単に言うぞ。誰かが被告のバイクに大麻をしかけた。その誰かが、警察に「バイクにあるよ」と通報した。警察官は勝手に「バイクだけじゃなくて家にもあるよ」と調書を書いた。その調書で神奈川県警は令状とってガサ入れしたらバイクから大麻が見つかって、ハイ逮捕、だ」

──ぎょえええええええええええ! ハメられたってことですか!?

ボブ「それは、わからん。でも、このウソの調書を書いた警察官は、今年の8月に懲戒免職になっている。さらに証拠隠滅の罪で罰金50万円の略式命令まで受けている。つまりだ。“バイクに仕込んだ誰か” と “通報した誰か” と “ウソ書いた警察官” によって、なんの罪もない人が逮捕され、起訴されちまったってことだ」

──こ、こええ……。しかも、起訴されたってことは……

ボブ「そう。被告の男性が保釈制度を使って家に帰れたのかどうかは不明だけど、ともかく起訴されたら法務省の管理している拘置所だ。ちなみに警察に逮捕されたらまず留置所(容疑者・被疑者)で、検察官に起訴されたら拘置所(被告)で、有罪になったら刑務所だ。判決出るまで “被告” なんだぜ。これ覚えておこうな」

──やたら詳しいですね(笑) で、これ、起訴した検察の動きはどうなっているんですか?

ボブ「一般的に、検察ってのは「おめえ、絶対にやってるだろ」っていう姿勢で裁判するよな。それを「やってねえよ!」ってのが弁護側で。わかりやすく流れをまとめると、こうだ。

通報者「あいつのバイクに大麻がありますぜ」
警察「バイクだけじゃなくて、家の中のバッグにもあるらしい……って書いちゃお」
裁判所「そんな具体的な場所にあることまで……! よしガサ入れしていいぞ」
警察「家の中にはないけど……ほら、バイクにあった! 逮捕、逮捕〜!」
男性「なんだそれ!? 俺のじゃねえよ!」
警察「お前のバイクから出てきたんだ! 大麻所持で逮捕する!」
男性「な、なんで……( ;∀;)」

男性「何度も言うけどオレ知らないっす……( ;∀;)」
検察「証拠もある! 有罪にしたる! 起訴、起訴〜!!」
弁護側「マジでオレのじゃないっす……( ;∀;)」
検察「ムリムリ〜! 証拠もある! そんな言い訳、ムリ〜!!」
男性「( ;∀;)」

警察「す、すみません、ホラ吹いてました……」
検察「えっ?」
警察「調書、大げさに書いてしまいました……」
弁護側「ほれみたことか!」
検察「!!」

警察「ウソこいた刑事課の巡査部長は懲戒免職にするんで許してチョ……」
弁護側「最初から全部デタラメじゃねえか!!」
警察「クビだけじゃなく、罰金も50万円とりましたんで……」
弁護側「おめえらが証拠って言い張ってるバイクの大麻、とりさげろ!!」
検察「で、でもこれ証拠……」
弁護側「その大麻、誰かが勝手にバイクに仕込んだんだろ!!」
検察「……しかるべく」

ってな感じなんだけど、なんなんだよ「しかるべく」って。ともかく、これで無罪にならなかったら、マジで法律ってなんなんだろう……ってなるよな」

──これ、ウソ書いた警察官も悪いけど、通報者もメチャクチャ怪しい! この後、ボブ氏は「この事件は誰にでも起こりうる。あした逮捕されるのは、これを読んでいる君かもな……」と、実に恐ろしげな事を言い始めたが、おそらく誰もが「お前だろ」と心の中でツッコんだことはさておいて、話の続きは次ページ(その2)に掲載したい。

参照元:毎日新聞神奈川新聞
執筆:GO羽鳥
協力:ボブ麻亜礼
Photo:RocketNews24.

【怖すぎ冤罪】警察の「ウソ調書」によって大麻取締法違反で逮捕された事件についてドラッグ事情通に話を聞いてみた(その2)

──これ、ウソ書いた警察官も悪いけど、通報者もメチャクチャ怪しいじゃないですか!!

ボブ「だよな。俺も、そう思う。この通報者がハメたのかどうかは定かではないけど、ともかく第三者が大麻を仕込んだと考えるほうが自然だよな。むしろ、通報者のほうを調べたほうが良かったんじゃないかなって思ったりもするよな」

──なんかこれ、痴漢冤罪の『それでもボクはやってない』みたいですね。

ボブ「まさに『それでもボクは持ってない』だよな。たぶんこの男性は無罪になるよ。でも、逮捕されてから1年以上、我々の想像を絶する犠牲を強いられたと思うんだよ。弁護士費用とかもあるだろう。仕事だって、どうなるんだ?

──アメリカの冤罪事件を追ったNetflixの犯罪ドキュメンタリー『殺人者への道』のようでもありますね。

ボブ「ほんとソレ。人生一度きりなんだから、取り返しつかない。にもかかわらず、今回の大麻事件でウソの調書を書いた警察官は、人の人生メチャクチャにしておきながら懲戒免職&罰金50万円だけで済まされてるんだよ。どうなのコレ」

──こわいっす。これ、警察官のウソ調書がバレなかったら、きっと男性は全く身に覚えのないことで有罪(犯罪者)になってましたよね?

ボブ「なってたよ。そこが怖いんだよ。事実をすっとばして、やりたい放題できるんだから。でも、なにより一番怖いのは、こういうケースは誰にでも起こりうるってこと。例えばオレの家のポストに、誰かが大麻を入れておく。そんで通報する」

──警察が来る。ポストにある。所持、ハイ逮捕〜\(^O^)/

ボブ「もしポストに入れるなら警察よりも先に俺に一報くれよ、ぜんぶ吸っておくから……ってのは冗談で(←笑えない)、いとも簡単に “容疑者” になっちまう。サンタクロースが勝手に大麻を配達しまくってから通報しても同じことになる」

──そんなサンタさんイヤです!

ボブ「そんで今回の男性や、いま起訴されてる最中の高樹沙耶被告ばりに「オレのじゃねえ!」って言っても、検察は「いいやお前のだ」って起訴する。そんで拘置所よ。裁判で勝って無罪を勝ち取るまで、世間から白い目で見られるわけよ」

──ボブさん、なんか俺、こええっす( ;∀;) 日本こええっす!

ボブ「海外だってよくあるだろ。警察官が宿にドラッグを仕込んでおいて、いきなり踏み込んできて賄賂を要求するとか。でもよ、よくよく考えてみれば賄賂を要求って、相手の意図が分かりやすいから、まだなんか許せるよな。陽気で」

──許せません! あ、そういえばアフリカでも同じような事件あるみたいですよ。タクシーとか、車の中に大麻を投げ入れられて賄賂を要求されるとか。しかも少しでも触ったら指紋チェックで有罪になるという(笑)

ボブ「バレーボールの要領で車内に入る直前に両手ブロックしたとしても、ベッタリ指紋がつくので有罪(3〜6カ月の禁錮刑)って書いてあったけど……マジで陽気だよな! でも今回のケースは逆で、かなり陰湿。これが日本なのかな……って」

──ウソ書いて逮捕して、いったい誰が得したんだろう。それが気になります。

ボブ「誰だろうな。間違いないのは、バイクに大麻を仕込んだ “誰か” がいるってことだ。おそらく そいつが得をした。とにもかくにも、被告男性の判決が出るのは12日。無罪になることを心から願ってる。オレから言えるのはそれだけだな」

【追記:12月12日】
NHKによると、こちらの判決はボブさんの願い通り、横浜地方裁判所の國井恒志裁判官は「大麻を所持した事実を作り出すために調書が偽造され、この調書に基づく捜査は重大な法律違反だ」と指摘し、無罪を言い渡したそうな。一方の神奈川県警は「証拠の偽造などの極めて不適正な行為があったことは重く受け止めており、再発防止に努めたい」とコメントしているとのことです。

参照元:毎日新聞神奈川新聞NHK
執筆:GO羽鳥
協力:ボブ麻亜礼
Photo:RocketNews24.

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