日本一の養殖うなぎの水揚げ量を誇る、鹿児島県。そんな鹿児島県で最大規模となるうなぎの産地が、大隅半島の最東部に位置する「志布志市(しぶしし)」だ。
今、その志布志市がYouTube上に公開した「養殖うなぎを女性に擬人化した動画」がネット上で多くの賛否を呼んでいる。「気持ち悪い」など、批判の声が多く挙がっているこの動画だが、志布志市がどのような意図で制作したのか、そして、多くの意見をどのように受け止めているのかを、志布志市に直接電話して聞いてみた。
・カメラに向かって「養って」と求める水着の女性
ネットで話題となっている動画の舞台は、真夏のプールだ。水着を着たひとりの女性がそのプールに浮かんでいると、「彼女と出会ったのは、1年前の夏だった」という語り手の男性の声が流れる。
カメラに向かって「養って」と求める水着の女性。「できる限りのことをしてやる。決めた」というその語り手の男性は、プールの水を天然の地下水だけにし、美味しいものをお腹いっぱい食べさせ、ぐっすりと眠れるようにしたと言う。
そして次の夏、その女性は「さよなら」と言い残し去っていく。女性がプールに飛び込むと、その姿はうなぎへと変わり、続いてラストシーン間際ではジューっと音を立てながら焼かれるうなぎの蒲焼が映し出され、動画は幕を閉じる。
・志布志市で人気の品が「養殖うなぎ」
これが、冒頭でもお伝えした、養殖うなぎ水揚げ量日本一である鹿児島県の中での有数のうなぎの産地である、志布志市が、ふるさと納税を推進するために制作したPR動画だ。
「ふるさと納税」とは、国民が自ら好きな地方自治体へ寄附出来る制度。寄附のお礼として各自治体が “お礼の品” を進呈しているのが特徴で、県内トップクラスのふるさと納税額を誇る志布志市で人気の品が、養殖うなぎというわけである。
動画が話題となっているその理由は、食べるために飼育されている養殖うなぎを女性に擬人化した点にあるようだ。ネットの声を探ってみると……
・ネットの声
「養殖うなぎのほとんどはオス」
「コレはどう考えても良くないな」
「本気で気持ち悪い」
「なぜふるさと納税を年上男性が若い女性を養うことに例えるのか」
「擬人化しないで普通に美味しいそうな鰻の動画でいいような」
「批判する程の代物には見えないんだが」
「面白いと思うよ」
「表現の自由でしょ」
「特産がうなぎとは知らなかったので買ってみたいと思いました」
「良くない」「気持ち悪い」という批判の声が多く見受けられる一方、「面白い」「特産がうなぎと知らなかったので買ってみたい」などという声も挙がっているようだ。
・志布志市に直接電話で聞いてみる
では、本動画公開にあたっての騒動を志布志市はどのように受け止めているのだろうか、筆者は志布志市役所に直接電話してきいてみたところ……
筆者:「動画はどのような意図で制作したのですか?」
「豊かな自然と天然水で大切にうなぎを育てているということを伝えるためにこの動画を制作しました」
筆者:「ここまでの騒ぎになることは予想していましたか?」
ある程度の反応は想定していましたが、ここまで多く批判の声が挙がるとは思っていませんでした
筆者:「動画の賛否に対してどのように考えていますか?」
「本日中(2016年9月26日)に動画を非公開にすることが決定しました。これは、うなぎ養殖業者や販売業者などにまで悪影響が及んでしまう可能性があると考えたためです」
……以上である。
・動画が見られる時間はあとわずか
スマホや自動車など、商品を擬人化したCMは多く見受けられるが、うなぎは生物であり食べ物であるために、ここまでの騒動に発展してしまったのかもしれない。いずれにせよ、動画が見られる時間はあとわずかとなる。
▼本日2016年9月26日に非公開となる動画「UNAKO」がこちら
https://youtu.be/Uw1Isd8QgSE