リズムネタとは名ばかりのEDM(エレクトロダンスミュージック)で人気を博するお笑い芸人・オリエンタルラジオ。何を隠そう私(中澤)は彼らの大ファンである。特に10年前にやっていたオールナイトニッポンでの、時にガチ喧嘩もしてしまう自由気ままな深夜トークは最高だった。
それはともかく、この10年間の彼らを見てきて思ったことがある。それは『武勇伝』からいくらネタが変わっても、ツッコミの藤森慎吾さんが「あっちゃん(中田敦彦)カッコいい」しか言ってないことだ。確かにカッコ悪くはないが10年間も連呼するほどか? 気になったので、本当にあっちゃんはカッコいいのか確かめてみることにした!
・どうやって会おうか
とは言っても、何の繋がりもない私が、どうやったら芸能人のあっちゃんの会うことができるだろう……。と、考えながらググっていると、パズルゲーム『ぷよぷよ』のアプリ『ぷよぷよ!!クエスト』の特別レポーターにあっちゃんが就任したという情報をキャッチした。
https://www.youtube.com/watch?v=zk1kcutdtXU
しかも、2016年9月14日に「リアルタイム対戦」機能がリリースされ、対戦が可能になったとのこと。スーパーファミコンの『ぷよぷよ』であれば、2段積みで10連鎖以上はお手のもののぷよマスターである私。あっちゃんが最強プレイヤーを目指す動画「あっちゃんの!ぷよクエ最強プレイヤーへの道~緊急事態篇~」を見てみると、相当ぷよぷよに自信があるようだ。
・ぷよマスターと孤独は隣合わせ
しかも、「正直対戦相手みんな弱すぎません?」「強い人と戦わせてよ」と完全に相手に飢えている様子。強くなればなるほどに孤独になっていく……ぷよマスターとは因果なものだ。まあ、私は対戦する友達がいなかったけどね。
それはともかく、その孤独を私が癒してあげよう。だから、私も癒してくれ。というわけで、ぷよクエの新CM発表会の会場に乗り込んでみた。
・発表会開始
発表会は、ぷよぷよシリーズプロデューサーの細山田Pや、しのちぇること元柔道家の篠原信一さん、フルーツポンチ、そしてあっちゃんが登場。ぷよクエ素人の篠原さんがフルポンの村上さんに挑んでフルボッコにされていた。
・あっちゃんは本当に強いのか疑惑
また、あっちゃんはぷよクエをプレイしなかった。っていうか、まだ1回もぷよってるところを見てないんだが、実は弱いんじゃないのか? 逃げてんじゃないのか! あれ、あっちゃんカッコ悪くね? かつて本物のりゅうちぇるの座を争った篠原さんの敵討ちも含め、ここはやはり直接ぷよで語り合うしかないだろう。楽屋に突撃だ! たのもーーーーーー!!
広い楽屋の隅っこにあっちゃんは座っていた。私が部屋に入っても驚く素振りもない。それどころか「君が来ることは分かっていた」とでも言いたげである。まず、私は聞いてみた。
──動画では「みんな弱すぎじゃありません?」「もうちょっと強い相手用意してくれません?」と発言されてますが、中田さんって強いんですか?
中田敦彦「強いよ。孤独感さえ覚えるほどに……一番高い山の頂上に立ってしまうと雲海しか見えないのと同じかな」
──イベントでは篠原さんの相手をフルポンの村上さんに任せて、ぷよクエをプレイしていませんでしたが、中田さんって本当に強いんですか?
中田敦彦「なるほど。自ら手を下さなかったことに疑念が湧いたというわけか。これに関しては、アンディ・ウォーホールの作品の作り方を参考にしてほしい」
──ちょっとよくわからないんですが。
中田敦彦「アンディ・ウォーホールは20世紀のポップアートの巨匠なんですが、彼のスタイルは当時物議を醸したんだ。なぜなら、『自分で描いてなかった』から。自分で発注をして、工場で作らせていた。ファクトリーで作るアート。ところが彼は20世紀最大のポップアーティストと言われている……」
──つまり、中田さんって強いんですかね?
中田敦彦「そうだね。自ら手を下さずとも、フルーツポンチに『こうすれば篠原さん程度には勝てるよ』と助言をさせていただいたので、その闘いも僕の作品の一部と言えるんじゃないだろうか?」
──吹いてんじゃねえ。もはや言葉はいらない。ぷよマスターならぷよで語れ。そして私の心が叫んだ。ワイとぷよクエで勝負せいやァァァァァァァアアアアアアアァァァァァアアアアァァァァァ!!!!!!!!!!!
その心の叫びに呼応するように、あっちゃんがついに重い腰を椅子から上げた……その時! どこからともなく声が響いた。「そこまでダ!」と。だ、誰だ!? そこには意外な人物が! 私とあっちゃんのバトルはどうなってしまうのか? 衝撃の急展開は次ページで!!
参考リンク:『ぷよぷよ!! クエスト』
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
【衝撃】オリラジのネタ「あっちゃんカッコいい」に隠された秘密! 中田敦彦は本当に “カッコいい” のか突撃取材してみた!!(その2)
あっちゃんがついに重い腰を椅子から上げようとした……その時! どこからともなく声が響いた。「そこまでダ!」と。
──だ、誰だ!!
「俺、ボブ」
──マジで誰?
ボブ「俺はナカータのSPダ。今、お前の脳内に直接話しかけてル。よろしくな!!」
──よ、よろしく……
・ルールに厳しいボブ
ボブ「挨拶も済んだところでルールを守レ。ナカータとぷよりたければ、ぷよクエゲーム内で行われる予選イベントを勝ち上がってこい。もし、どうしても今ここでやると言うなら、ボーイの人生もここまでだ。俺のマグナムでダンシン・イン・ザ・ヘルすることになるZE」
──予選大会なんてあったのか。それは俺が悪かったよボブ。だからそのマグナムをしまってくれ。
ボブ「OK! 分かれば良いのさ。物騒なこと言って悪かったな。俺、ルールを守らねぇヤツが嫌いなんだ。そう、あれは俺が10歳の時……グフッ!」
──どうしたんだ!? ボブ!
ボブ「ファック……どうやら力を使いすぎちまったようダ。最期にお前みたいな男に会えてよかったZE。グッドラック、カミカゼ・ボーイ。地獄で……会おう……ガク」
──ボブーーーーーーーーーーーーー!!! その後、いくら呼びかけてもボブから返事はなかった。無茶しやがって……。あっちゃんの目にも涙が光る。その時私は理解した。あっちゃんが自分の手を汚さなかったのは、ボブを大切に思っていたからだということに。
・ボブの死は無駄にしない
ボブの死を越えて再び対峙する2人。だが、あっちゃんが私を見る目はさっきまでと明らかに違う。「この男とは決着をつけなければならない」そう言いたげである。やっと私を倒すべき相手として認識したというわけか。一方の私もここで引くわけにはいかない。
そこで今回は、「いっせーの、せっ!」で決着をつけることにした。掛け声とともに親指を立てるアレだ。さっそく、じゃんけんで順番を決めた後、両手をグーにして突き合わせる。先行は私。いっせーのーで、にっ!
私の先制攻撃をかわした後、返す刀で切りつけてくるあっちゃん。いっせーのーで、いち! 紙一重でかわす。そんなヒリヒリした攻防が続く中、あっちゃんの鋭い眼光で走馬燈のように10年前のことがフラッシュバックする──
当時、私は20代前半。音楽でプロを目指して、大阪から上京してきたもののバンドメンバーがなかなか見つからず、プロギタリストのアシスタントをしていた。深夜遅く、プロギタリストを機材車で家に送った帰り道、くじけそうになる心を奮い立たせてくれたのが、車の中で聞いていた同い年の芸人のオールナイトニッポンだった。
聞き始めは、同い年にもかかわらず大成功を収めたそのコンビへの嫉妬だったように思う。「どれくらい面白いのか見てやろう」と。だが、たくさんあった看板番組が次々に終了していく中で、彼らがラジオで漏らす本音は間違いなく同い年で、気づけば毎週楽しみにしている自分がいた。仕事がない日は駐車場でニッポン放送を聞いた。
彼らの語る「このままでは終われない」という気持ちに何度励まされたかわからない。そんな人の前に私は今立っている。……いや、10年前から私はこの人の前に立っていたのかもしれない。いっけェェェェエエエエ!!!!!!
……後日談。誰もいなくなったホールにドタンバタンという音が響く。ステージに立っているのは2人。私と篠原さんだ。全てが終わった後、ウロウロしていた篠原さんを捕まえて、ガチで投げてもらうようにお願いした。私は気合いを入れなければならない。なぜならもう一度あっちゃんに会わなければならないからだ。
・なぜ「あっちゃんカッコいい」なのか?
負けた直後、ずっとファンだったことを伝え、なぜオリラジのネタは「あっちゃんカッコいい」なのかを聞いたところ、彼は下記のように真摯に答えてくれた。
中田敦彦「僕は子どもの頃から蒲田行進曲が好きだったんだけど、最後に『銀ちゃんカッコいい』というセリフがある。それで『男性が男性のことをカッコいいと言うのは凄く良いな』と思ってた。日本人にはそういうことを美徳ととらえるカルチャーがあるのかもしれない……と。
あと、デザイナーの山本寛斎(やまもとかんさい)さんの影響かな。寛斎さんが若い頃に自分のコレクションを開いた時のことなんだけど、デザインした服を着てモデルさんが出てきても、無名だから歓声が上がる感じではなかった。その時、寛斎さんは自分自身で『その服カッコいい!』と一番後ろから大声で叫んだという話があって、そのマインドも僕は非常に好きだなあと。
責任を取ってるというか生命力を感じるのが良いと思う。その2つから『あっちゃんカッコいい』の着想を得た」
──とのこと。最後の別れ際、あっちゃんは言った「励みになりました。また、会える日を楽しみにしてます」と。そこには、ぷよクエのCMで「誰か、私を倒してくれませんか?」と挑発する孤高のカリスマとは違う、同い年の青年の素の表情があった。
https://www.youtube.com/watch?v=oas5_fI54N8&feature=youtu.be
これは、予選を勝ち上がってこいという彼なりのエールだ。今こそ、万感の思いを込めてこのセリフを言いたい。あっちゃんカッコいいーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!
参考リンク:『ぷよぷよ!! クエスト』
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.