ロケットニュース24

【突撃】「なぜ日清カップヌードルのCMはいつの時代も面白いのか?」宣伝部のエライ人に聞いてみた

2016年4月6日

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古くは「Hungry? 編」に始まり、最近では “いいぞ、もっとやれ” の「金田一耕助編」など、いつの世も時代の最先端を突っ走る『日清カップヌードル』のテレビコマーシャル

最新作「今だ! バカやろう! 編」では、ビートたけしさんや矢口真理さんの起用が話題となっているが、1つのCMが面白いだけでなく “常に面白いCM” が続々と登場するのは、ある意味で異常である。日清め……何かやってやがるな?

というわけで、今回は日清カップヌードルを手掛ける日清食品宣伝部のエラい人に、直接その秘密を聞いてきたのでご覧いただきたい。

・エラい人にインタビュー

今回話を聞かせてくれたのは、日清ホールディングス宣伝部の佐野課長。カップヌードル担当になってから7年のキャリアを持つ、テレビコマーシャル最前線のエラい人である。以下がインタビュー内容となっているぞ。

記者:「本日わざわざお時間をいただいたのは、日清カップヌードルが常に面白いCMを手掛けられる秘密をお聞きするためです。特に最近の “金田一耕助編” は秀逸でした。ズバリ、日清のCMが面白い理由などはあるのでしょうか?」

佐野課長:「そうですね。これは日清ホールディングスの安藤CEOの信念なんですが、特にテレビCMは “おもしろくなきゃCMじゃない” というものがあります」

記者:「ほうほう」

佐野課長:「関西弁でいうところの “笑ける”、指をさしてケラケラ笑えるようなものです。また、“おもしろいことを真剣にやれ” とも仰ってるんですね。それはテレビCM以外のプロモーションもそうなんですが、くだらないことを真剣にやることが、より面白いものになっていくと考えています」

記者:「ふむふむ」

佐野課長:「先ほどの “金田一耕助編” も、長野でロケをしてますし、キャストにもこだわっています。真剣にやった結果が、いいものになったのだと思います」

記者:「たしかに、昔オンエアされていたMISIAさんを起用したCMも、PVとほとんど変わらない完成度でしたもんね。あれも真剣にやった結果ということですかね?」

佐野課長:「その通りです。実は渋谷のビジョンであのCMを流したんですが、替え歌なのに誰もカップヌードルのCMだと気付いてくれないんです。それくらいクオリティの高いものを作る本気度というのは、常に持ち続けていますね」

記者:「なるほど。“おもしろいことを真剣にやる” というのが基本理念なんですね」

佐野課長:「そうですね。特にカップヌードルは中身がどうこうではなく、お客様に常に楽しんでいただけるように心がけています」

記者:「大定番ですもんね。ところでそのテレビCMは、実際にどういった手順で制作されているのでしょうか?」

佐野課長:「年に1度、一発勝負のコンペをさせていただいています。基本的なお題はあるんですが、実は当日までどんなCMが出来上がってくるのか我々にもわからないんです」

記者:「それは新鮮ですね。大喜利スタイルというか。その自由な社風は、創業者の安藤百福氏の精神なのか、それとも何かのきっかけがあってそうなっていったのかどちらなんでしょうか?」

佐野課長:「もちろん元々の社風としてあったかとは思いますが、特に最近は加速度的にその精神が広まっている気がしますね。それは日清食品の安藤徳隆社長がテレビCMを得意分野としていることも大きいと思います」

記者:「ほうほう」

佐野課長:「“おもしろくなきゃCMじゃない” と仰っている方の息子さんが社長になっているわけですからね。そうなるのも自然かと」

「おもしろくなきゃCMじゃない」という基本理念が判明したところで、さらなる核心に迫る続きは2ページ目へGOだ!

参考リンク:日清「カップヌードル」
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

【突撃】「なぜ日清カップヌードルのCMはいつの時代も面白いのか?」宣伝部の人にエライ人に聞いてみた

記者:「なるほど。ちなみに宣伝部として、他社のCMを見たりはしますか?」

佐野課長:「見てます。やはり新しいものに触れていないといけないので、週に1回勉強会を開催しています

記者:「そうなんですね。特に最近は流れが早いですもんね。ちなみに、最近気になる他社さんのCMなどはありますか」

佐野課長:「auさんは面白いですね。内容はもちろん、手数の打ち方がすごいと思います」

記者:「なるほど。では佐野課長が携わったカップヌードルのCMの中で、思い入れが深いものはありますか?」

佐野課長:「そうですね、やはりMISIAさんなどの『替え歌編』や、ダチョウ倶楽部さんなどの『サムライ・フジヤマ・カップヌードル編』などは、完成前から誰かに見せたくてしょうがないほどワクワクしました。今回の『今だ! バカやろう! 編』もそうですね」

記者:「ふむふむ」

佐野課長:「ただ、失笑されるんですけどね」

記者:「失笑ですか?」

佐野課長:「またこんなくだらないもの作って……と。ただ、それが最高の褒め言葉だと思っています。安藤CEOにも完成品は見ていただくんですが、言葉がないほど失笑されたり『こんなん恥ずかしいわ』と言われると、心の中でガッツポーズしてますね」

記者:「いい褒め言葉ですね」

佐野課長:「だからといって、お褒めの言葉だけではなく、ユーザー様から『いかがなものか?』とご批判をいただくこともございます。それは非常に心苦しいんですが、100年ブランド(今年は45周年)を目指すには、新しいことにも挑戦しないといけないので……」

記者:「わかります。何を始めるにもリスクや批判はありますが、現状維持さえしていればリスクがないというわけではないですもんね」

佐野課長:「そうですね。今回のCMも挑戦といえば挑戦ですが、日清らしさは示せたかと思います」

記者:「ちなみになんですが、日清はカップヌードル以外の “どん兵衛” や “UFO”、“ラ王” なども個性的なテレビCMですよね。それはやはり、“おもしろくなきゃCMじゃない” が息づいているのでしょうか?」

佐野課長:「かと思います。他のブランドがどんなことをしているのか、実はよくわからないんですが、負けないように切磋琢磨しているのは事実だと思います

記者:「同じ社内にライバルがいるのはいい環境ですね。ちょっと話は変わるんですが、カップヌードルのCMといえば『Hungry? 編』は外せないと思うんですが、社内ではどんな位置付けなのでしょうか?」

佐野課長:「アレはスゴイです。カンヌ受賞作ですし、カップヌードルのCM史上最も反響のあった作品ではないでしょうか」

記者:「という意味では指針になっている作品なのでしょうか?」

佐野課長:あれに追いつけ追い越せですね

記者:「先人がすごいと大変ですね」

佐野課長:「それ以外にも『NO BORDER編』など、目指すべき作品は多くあります。テレビCMは最終的にカップヌードルのファンになっていただくことを目標にしていますので、これからも面白いCMをお届けできるようにしたいですね」

記者:「なるほど、よくわかった気がします。本日は本当にありがとうございました!」

総括すると、日清カップヌードルのテレビCMが常におもしろいのは、「おもしろくなければCMじゃない」という信念のもと、くだらないことを真剣に突き詰めていること。さらには社内に切磋琢磨するライバルがいること、目標となる偉大なCMがあることなどが理由のようだ。

インタビュー中にもあったように、100年ブランドを目指しているというカップヌードル。これからもますます面白いテレビCMを展開してくれそうだ。

参考リンク:日清「カップヌードル」
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

▼現在公開中の、カップヌードル「OBAKA’s大学に春が来た! 篇」だ。

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