「日本で本格的台湾ブームが始まった」と言われて久しい。エンタメ分野でも台湾映画の公開が増えるなど少しずつだが相互の行き来が始まっているのかなぁ、始まっていたらいいなぁと感じている人もいるかもしれない。
そんななか、最もコンスタントに日本で活動を見せているアーティストのひとつが “アジアのスーパーバンド” と呼ばれる「Mayday(メイデイ / 五月天)」である。
彼らは、日本でのアーティスト活動には「新人になったつもりで」臨んでいるそうだ。中華圏では不動の人気なのに、どうしてわざわざ日本に来て “0からの活動” を始めたのだろうか。わからないなら直接本人に聞こう! というわけで Mayday に突撃、いろいろと聞いてみたぞ!!
・Maydayのメンバー5人に聞いてみた
Mayday については過去の記事でも紹介しているが、サラっとおさらいすると台湾で1999年に結成した5人組のバンド。メンバーは、ボーカルの “アシン” 、ギター担当が “モンスター” と “ストーン” 、ベースの “マサ” 、そしてドラムの “ミン” である。
バンドとしての人気はもちろん、地元台湾ではその成功までの道のりが教科書に載ってしまうほど。また、中国北京オリンピックスタジアムの10万人ライブ × 2Days を即完売させる動員力は、C-POP界ではもはやレジェンドである。
そんな彼らが目指していたのが1万人規模の日本武道館だ。最初は「自分たちにハッパをかけるため」「ライブ会場を盛り上げるため」に言い始めたことだったというが、それが2015年8月28、29日に実現することになった。
記者:2013年11月~の日本の本格活動開始から1年半での武道館ライブですね! とても速い展開だと思うのですが、決まったときはいかがでしたか?
モンスター「怖いと思いました。こんなに早くこの日が来るとは思わなくて。昔は夢や冗談という感じで“武道館の舞台に立ちたい”と言っていたので、プレッシャーはなかったのですが……。実現したからには、ちゃんと準備をして、いいものにしたいと思っています」
ミン「聞いたとき不思議な感じがしました。以前、 ZeppTokyo のライブのときにトークで “今度は武道館のステージに立ちたいな” と言いましたが、まさか夢がこんなに早く実現するとは思わなくてすごく興奮しています。この武道館 2Days をいいコンサートにしたいと思っています」
記者:すでに中華圏では “ビッグアーティスト” であるにもかかわらず、日本では「新人の気持ちでやっていく」と話されていましたが、それはどういう気持ちだったのでしょうか?
ストーン「音楽をつくる、バンドをつくるということは、つきつめると、周りの皆さんとコミュニケーションをとることだと思っています。
初めてギターを持ったとき、まず親に聞いてもらいたいと思いました。そしてクラスメイトに歌ってあげて、パブや Zepp など様々なステップがあったのですが、どこにいても私たちの目的は皆さんに私たちの考えていること、関心があることを伝えたいということです。
今回、日本活動というチャンスをいただいたとき、一番の課題は、やはり歌詞をどう伝えるかでした。もちろんそのまま自分の言葉で歌ってもいいし、現地の言語の字幕をつけても伝えられる。もしくは映像でも歌のメッセージは伝わります。
私自身は、言葉以外の “う~” とか “あ~” などの音でも伝わると思っているんです」
記者:では、日本の活動開始から1年半の間に「思いが伝わった」と感じたのはどんな瞬間でしたか?
ストーン「やっぱり、日本の皆さんが一緒に歌ってくれるときですね!」
なるほど、なるほど、Mayday にとって音楽とはコミュニケーションツールのひとつでもあるらしい。だから、台湾で作ったものをそのままスライドさせるのではなく、日本では日本語の楽曲をリリースしたり、ライブでも日本の観客を意識した演出をしているんだなぁ。それが “新人の気持ち” なのかもしれない。
そのあたりをもう少し具体的に、と6月リリースのシングルについて聞いてみたところ……。
前半のマジメな話から一変! 場も暖まっていたせいか、メンバー同士でツッコミあって異常な盛り上がりを見せたのだ!! インタビュー中、最も笑いが絶えなかった後半部分は次ページへGO!
参考リンク:Mayday公式サイト
Report:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.
【インタビュー】台湾の国民的バンド「Mayday」に直接インタビュー! 中華圏で絶大な人気なのにあえて “日本で0から挑戦”する理由を聞いてみた
2015年6月17日に発売されたシングル「YOUR LEGEND ~燃ゆる命~」には表題の曲のほか、5曲が収録されている。そのなかの一曲「追憶のナインボール」は2003年に発表された曲「九號球」の日本語版である。
実はこの曲は、2014年には、ギターのモンスターが監督主演した映画の主題歌として、モンスター自身がカバーしている。つまり、今回、日本語楽曲として、アシンとモンスターのWボーカルで3度目の誕生を迎えるわけだが、この曲について熱く語ってもらったぞ。
記者:今回で、3種類目となる「ナインボール」はどういう曲になりましたか?
モンスター「この曲は2003年にリリースしたもので、Mayday の曲として私が初めて作った曲なんです。まさかこの10年後に、私が主演した映画『逆転勝ち』のためにリアレンジして新しいバージョンを作ることができるとは思いませんでした。
(日本語版では)もっと円熟味を持たせたいと思いました。円熟味のある声と言えばアシンの声じゃないかと。(Wボーカルではなく)私の声だけだと青臭い感じがしそうで」
アシン「モンスターの声こそ円熟味のある大人の声じゃない?」
モンスター「じゃあ私が大人っぽくて、アシンが若いんだね(笑)」
モンスター「この曲は、私が初めてスタジオに入って歌う曲なんです。初めてギタリストからボーカリストという立場になりました。
だったら、ギターの部分は別の方に演奏していただきたいと思って、思いあたったのは私の憧れである B’z の松本孝弘さん! お願いしたところ快諾してもらえました!!
松本さんにはギターのソロとアウトロを演奏していただいていて、この曲のレベルをさらに引き上げてもらえたんじゃないかなと思っています。それもひとつの聞き所ですね」
アシン「この曲はつい最近、(映画の)サントラに収録され、今また Mayday の日本版シングルに収録されるのですが、一体感をどうやって出し続けるかが課題でした。みんなで相談した結果、私の声も入れたほうがいいとなったんです。
でも、モンスターの声の素直なところをキープしたかったので、自分の声は補助的な部分、コーラス的なところにとどめています。
(モンスターに対して)B’z の松本さんにソロを弾いてもらって、アシンにコーラスを担当させていい気分でしょ!?」
モンスター「山の頂点にいる感じだね(笑)」
マサ「アシンはコーラスのとき、モンスターの歌い方をちゃんと真似した?」
アシン「ちょっと真似した(笑)モンスターの歌い方にできるだけ近づけようと思って」
マサ「自分の歌でもコーラスをやらないアシンがコーラスをやったんだから、モンスターは光栄だと思ってるでしょ?」
モンスター「(笑)」
アシン「また、こういうチャンスがあったら嬉しいよね。今度のアルバムはモンスターがメインボーカルで、私はコーラス担当。実際に歌ってみれば、自分(モンスター)の作曲した曲のキーがどれだけ高いかわかるよ!」
モンスター「知ってる、知ってる」
アシン「モンスターは毎回毎回キーが高い曲ばかり書いているから」
モンスター「アシンの限界に挑戦してるんだって。(歌うときに力が入って)アシンの首に筋が浮いてきたら気分がいい(笑)」
メンバー全員「(笑)」
記者:ところで、日本におけるアーティスト活動のなかで、今度の武道館ライブはひとつの区切りになると思いますが、その後、日本活動において具体的なプランや展開はありますか?
ストーン「北海道にスキーをしに行きたい(笑)……やっぱり、アルバムを作ることかなぁ。私たちは本当に音楽が好きですし、歌うことも好きだから。
前のツアーはすでに多くの人に見ていただいているので、新しいものを作りたいです。それは、自分たちの刺激であると同時に、皆さんへも刺激を与えたいと思います。自分たちにできることは何でもチャレンジしたい」
マサ「武道館の後は、他の地方のツアーでも回れたらいいかなぁ。今までも、プライベートで旅行するときは、車もホテルも自分で手配していろんなところに行ったのですが、もしツアーがあれば、ツアーのついでに遊べるし」
モンスター「全部、会社が手配してくれるしね」
マサ「そうだよ、誰か連れて行ってくれないかなぁ!(笑)」
──以上である!
ずっと言い続けていた念願の武道館ライブの実現。これは一見「ゴール」のようであるが、彼らはその先にも新しい挑戦を見い出していることを垣間見せてくれた。
……と、ここで終了かと思ったそのとき、メンバー全員がドラムのミンをガン見! すると、しばらく話していなかったミンから、
「今後は、ツアーのときに武道館は必ず押さえないといけない会場のひとつになるかも。もしかして、毎年来ちゃうとかあるかもしれません!」
という発言まで飛び出したぞ。涼しい顔をして大きく出たなぁ!! しかし、冗談だと言いながら、言葉にしたことを次々と実現させている Mayday ならもしかして……。まずは武道館、そしてその次の展開にも注目したい!
参考リンク:Mayday公式サイト
Report:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.
▼こちらが6月17日に発売された「YOUR LEGEND ~燃ゆる命~」
▼こちらは「追憶のナインボール」の中国語版・2種類。今回発売された日本語版と聞き比べてみてもいいかもしれない!
▼